切り絵

浮世絵を切り絵に

二代豊国 名勝八景 富士暮雪

2014年07月25日 | Weblog

富士暮雪」下仙元従宮中宿企図

富士山本宮の浅間神社宿坊から、これらの建物の全容を収め、背景の富士山ごと望んで写した意のようである。富士山の浅間神社は、現在の富士宮市にあり、全国の浅間神社の本社的存在である。富士講の参詣者が多く、画面中にも、菅笠白衣の道者たちの群れが、社殿境内や、遠方の登山道に見えている。社殿の後ろにそびえ立つ富士山は、偉容といった感じを与える。暮雪に当てた趣旨から、雪を冠った部位が相当大きいが、白一色の象徴的表現でなく、数条の山襞を薄墨で施し、写実昧を出した感覚が珍しい。

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広重 富士三十六景 甲斐御坂越 

2014年07月15日 | Weblog

甲斐御坂越」 

杖を手にした旅人が、峠の頂で立ち止まり、右手で笠を押し上げて富士を見遣っている。御坂峠を登りきって顔を上げると、富士と河口湖の雄大な景観が眼に飛び込んでくる様子を旅人の目線で描かれている。絶景を眼にしたときの感動を追体験させてくれる一枚である。御坂峠は甲府盆地から富士山麓へ抜ける鎌倉往還上にあり、峠の頂に辿り着くと、長大な裾野を曳いて河口湖を抱く富士の壮麗な姿を見渡すことができて、そのスケールの大きさに圧倒される。鎌倉往還は甲斐国から駿河国や相模国へと続く重要な街道で、御坂峠はいにしえより富士の名所として知られていた。

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