「上総 矢さしか浦 通名九十九里」
上総国は安房の北、下総の南にあたり、房総牛島の北部で、現在は千葉県に入っている。夷隅郡の東北端太東崎より下総海上郡飯岡に至る砂浜を九十九里浜という。海岸は遠浅で、汀線は湾曲して弓のようで、極めて単調な円弧を描いている。約五十六キロにわたる太平洋岸は鰯の地引網で栄えた。元和年(一六一五~二四)に紀州賀田浦の漁夫大甫七重郎がこの地に来て、地引網を使用したという。大漁を得れば、膏油をしぼり、日にさらして干鰮とし、その利益は大きかった。漁師の網を曳く様子を中心に、広々とした海岸と平野の一隅を描いている。
春日井市在住、1935年私的な挿絵等に全て自由にご使用ください。
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