「深川萬年橋」 (東京都江東区清澄)
紐でくくられ、手桶につり下げられた亀の姿に ぎょつ とする。ここは深川万年橋。隅田川と旧中川を結ぶ小名木川西端の橋である。江戸に伝わる種々の行事のうち、旧暦8月15日の仏教の放生会には、生き物を買って大川に放し、死者の冥福と自身の後世を祈った。近辺の砂村は鯉や亀の養殖地として知られ、図の亀も「放し亀」として売られていたのであろう。鶴は千年、亀は万年といわれることから、万年橋の名にかけた遊びであろう。欄干のかなた、三叉の中洲の向こうに万年雪を頂いた富士山がそびえる。まさに万年尽くしの本図は、吉祥主題を好んだ江戸の人々にも喜んで受け入れられたであろう。
春日井市在住、1935年私的な挿絵等に全て自由にご使用ください。
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