そのジャンルには精通している、と自分で思っているひとが、ジャンルを極めた世界を目にしたとき、どんな反応を示すのだろうか?そう思ってしまったはなし。
先日の日曜日、芦花公園にある世田谷文学館にて「宮脇俊三と鉄道紀行展」なる展示会を見に行ってきた。このブログでも一度、紹介させていただいたが、自分達の出番はまだ一月以上先である。展示物や会場内は撮影禁止のため、展示物の資料、雑誌記事の生原稿や写真など、そのひとつひとつに既に圧倒されてしまい、ことばも出ない、別のところへ行っても気になってまた帰ってくる、とそんな感じだった。
鉄道紀行のジャンルを切り開いたとされる宮脇氏。しかしぼくは、氏の本はじつは殆ど読んでいなかった。同じ鉄道系の小説ならN村K太郎の方を選んでいたし。あとは資料として持っていた「世田谷・たまでん時代」というハードカバーの本くらいしか知らない。しかし今回、かの「時刻表2万キロ」の白地図や「最長片道切符の旅」での本物の切符(途中下車を示す駅スタンプがびっしりおされているやつ)を見るにつけ、これは読んでおかなきゃいけないかな、という気に少しずつなっていった。何より凄かったのが、旅の記録を書き留めた総数100冊という取材ノート。展示会場のいたるところにどっさり展示されている。中身は見ることはできないけど、タイトルや年月日からどの作品に使われているかがおおよそ把握できる。壮大な作品のデッサンともいうべきこの膨大なノート、記録を取ることをおろそかにしがちなぼくは、少し反省させられた。
夏の間はこの展示会、ずっと開かれているので、時間があれば足を運んでみるのもいいのでは。そうそう、ぼくはといえば、彼の作品を何か読んでみたくて、帰りに売店で例の「最長片道切符の旅」ハードカバー復刻版を買っちゃいました。次訪れるときまでには読んでおきたいな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます