昨夜は翼TVチャンネルニコ生「航空ファン10月号最新情報トーク」に出演、
そのときにも今月の特集、MUTHA(マザー)についてお話ししました。
海軍の戦闘機乗りたちが奪い合うMUTHAトロフィー、
小さな信楽焼の狸の置物が、彼らにとって、なぜそれほどまでに重要なのか、
今回の特集で紹介しています。
なにせ宇宙にまで行ってしまったわけですから、海軍の戦闘機乗りたちの
彼女(特集でも紹介していますし、名前からも分かると思いますが、
この狸は子連れのメスなのです)に対する思い入れが伝わってきます。
いつもなら『航空ファン』では機体の技術的解説や戦史、運用といった
テーマの特集を組みますが、今月はMUTHAトロフィーが設立されて50周年という
節目のタイミングでもあり、海軍機大好きな編集も多いことから、
思い切った特集にいたったというわけ。
執筆も僭越ながら私が担当させていただきました。
特集にあたり、MUTHAを海軍に納めたエース・ノーベルティ商会の2代目社長、
小川智弘氏にもいろいろなお話をうかがい、資料の提供を受けました。
そうしたなかで、いろいろな発見もありましたが、そのあたりはぜひ
本誌の特集を熟読いただければ幸いです。
余談ですが、アニメのマクロスシリーズでもお馴染みの河森正治氏もやはり
トムキャット(≒バルキリー)のご縁か海軍は大好きなようで、
『マクロスF』では、歴戦のパイロット、オズマ・リーの部屋に
MUTHAのような狸の置物が飾ってあるシーンもありました。
そんなMUTHAの思い出です。
1995年にVF-21がMUTHAトロフィーを受賞した際、私はシスタースコードロンの
VF-154との親交が深く、ライバル関係にあるVF-21が持っていた彼女を
実際に目にするチャンスはありませんでした(編集部雨宮はVF-21と懇意で
当時写真を撮影しています)。
そしてMUTHAが大西洋艦隊のVFA-106管理になって久しい2011年2月1日、
別件で取材にお邪魔していたVFA-102のレディルームに大きな箱が届きました。
「なに? この大きな包み」と若い士官に聞くと、にやにやしながら
「まあいいから、これから開けるんで、写真を撮ってよ」と箱に手をかけます。
開封した箱から、エアパッキンに包まれた人形ケースが見えたとき、
彼らのにやけ顔の理由とその中身が完璧に理解でき、ゾクゾクっと
身震いしたのを覚えています。
「こいつら、盗んできたんだ…」と。
海軍機を好きになって30年以上、MUTHAのことは知っていたものの
日本に里帰りする機会がほとんどなく、米本土でも
お目にかかったことはなかった私にとって、この瞬間はまさに
海外のスーパースターの来日にたまたま出くわしたような興奮でした。
VFA-102のJO(若手士官)たちも、自慢げな笑みをうかべていますよね。
このMUTHAの二度目の里帰りでは、エース商会で親類の狸に会わせるなど
さまざまな企画も持ち上がり、私も協力する気満々だったのですが、
奪い取ったVFA-213との関係、3月11日に発生した東日本大震災など、
いろいろな要因が重なって、残念ながら彼女は静かに日本を去りました。
ちなみに盗まれたVFA-213の当時の隊長は元VF-154所属のF-14 RIOで、
既知の仲だったため今回の特集に際して盗難時のエピソードを
メール取材したのですが、残念ながらその件に関する返答は
いっさいいただけませんでした…。士官学校時代のクラスメートだった
VFA-102の当時の隊長との仲にもヒビが入ったと聞きましたが、
いまもその関係はギクシャクし続けているのでしょうか…。
そしてMUTHAトロフィー50周年に際し、供給主のエース商会では
これを記念したパッチが作られています。
宇宙空間に浮かぶ地球をバックに、MUTHAの愛らしい姿と
F-8クルーセイダー、F-14トムキャット、F/A-18スーパーホーネット、
MUTHAにかかわる3機種に加え、2010年に訪問したISSをデザインした
このパッチは、現在の管理者でもあるVFA-106と、今年の受賞部隊
VFA-103にも納められるということです。
エース・ノーベルティ商会のホームページはこちら。 (神野)
GIGIの件は私も気になって少しだけ調べてみたのですが、もともとはA-3飛行隊が始めたトロフィーですが、どうやらVAH、VAKの解散とともに立ち消えになってしまっているような感じですね…。そう考えると、MUTHAがここまで残っているのは意義のあることなのかもしれません。
そういえばこの所アイスバケツチャレンジが流行っているようですがこれも最初見た時「何でみんなラストフライトのまねを」と思っていました。
それで現在イタリア空軍では全体で喪に服しています、24日に予定されている航空ショーではフレッチェは上空通過だけになるみたいです。