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発売中の『航空ファン』8月号でも紹介していますが、7月20日に全国でロードショー公開される
スタジオジブリの最新作『風立ちぬ』の試写会が、昨夜ありました。
この映画は大正から昭和へと移り行く時代を生きた航空設計技師の物語で、
主人公のモデルとなったのは、零戦の設計士として航空機ファンにはご存じの堀越二郎氏。
ストーリーは主人公が幼少の時代から日本が戦争へと突入していくまでの30年間を
つづっていきますが、この映画に出てくる堀越二郎は、本人の性格や、本人が実際に
体験したさまざまな事柄を踏襲しつつも、架空のエピソードなども織り交ぜられるという
半分架空の人物です。
タイトルは堀 辰雄の同名小説からとったもので、堀 辰雄に対するトリビュートもあり、
せつないラブストーリーにもなっています。
宮崎 駿監督がこの映画を完成させるまでの5年間に、東日本大震災も発生しましたが、
この映画では第二次世界大戦を前に関東大震災や世界恐慌などさまざまな困難に
立ち向かっていた当時の日本を舞台に、強く生き、自分の信念や夢に向かって突き進む
人たちの姿を描いています。
これまでのジブリ作品に多く見られるファンタジー調の演出もありますが、
当時の日本で、どのようにして航空機が設計、製造されていたのか、
人々はどんな暮らしをしていたのか、さまざまな見方ができる作品になっています。
またさすがスタジオジブリ、日本のアニメ、と思わせるようなすばらしい色彩や美術、
空気や風の表現と、登場人物たちの細やかな動きも見逃せません。
もちろん航空機ファンにとっては、架空の機体から実際に航空史を飾った機体まで
さまざまな航空機が登場するのも楽しいところです(とはいえ、ただ楽しいだけではなく
考えさせられるようなエッセンスが入っているのもジブリらしいところですが…)。
当時の三菱やユンカースなども登場しますが、技師の仕事や航空機の構造など、
細かな描写はきっとファンを魅了するでしょう。
エンディングの荒井由実(現松任谷由実)の歌う『ひこうき雲』も、
映画の世界観ととてもマッチしています。
純粋な「航空映画」ではありませんし、過去のジブリ作品ともまた違った『風立ちぬ』
お子様と観るアニメとしては少しだけ難しいかもしれませんが、ぜひ一緒に鑑賞してみては。
きっと子供には子供の捉え方があるはずです。