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航空専門誌の文林堂『航空ファン』&『世界の傑作機』公式ブログ

EMALS

2011-06-12 16:48:12 | 編集部日記
昨年の12月18日、ニュージャージー州NAVAIRレイクハーストで、EMALSと呼ばれる
空母の新しい発艦システムの初射出試験が行なわれました。
『航空ファン』2011年3月号海外ニュースで少しだけ紹介したこのシステム、正確には
Electromagnetic Aircraft Launch System(電磁式航空機発艦システム)といい、
これまでの蒸気式カタパルトに替わってUSSジェラルド・フォード(CVN-78)から
装備が開始される予定の新しいカタパルトです。



この初射出を担当したパイロットは元VFA-102所属で、当時から付き合いがあったのですが、
今回出張で来日するとの連絡をもらい、会うことができました。
彼はVFA-102での任期満了後にメリーランド州NASパタクセントリバーの
USNTPS(米海軍テストパイロットスクール)に入校、無事1年間の課程を修了し、
現在はテストパイロットとして同じパックスリバーのVX-23“Salty Dogs”に勤務しています。
VFA-102所属時から小柄ながら操縦技術には部隊内でも評価が高かった彼は、
非常に几帳面な性格で、いま考えるとテストパイロット向きな人材だったのかもしれません。
じつは2006年5月号では、当時のタイトーがリリースしたXbox360用のフライトゲーム
『エナジーエアフォースOverG』の誌上紹介でフライトインプレッションにも
協力してもらったことがあるのです(当時の本をお持ちの方はぜひご確認を)。
今回の彼の来日は、米海軍が保有するすべての空母に2年に一度義務付けられている
艦載機と空母の発着艦システムの適合性の試験のため。日本に展開配備されている
USSジョージ・ワシントン(CVN-73)もその例外ではないということですね
(写真で彼が手にしているのが、その担当者を示すパッチ)。



今回、EMALSについて聞いてみると
「動作性もとくにスチーム(蒸気式)カタパルトとの大きな差は感じない。でも動き出しは
少し滑らかな感じかもしれないな。パワーは充分に感じたし」
とのこと。最初の試験ということで不安はなかったのかと質問すると、以下のような答え。
「試験用カタパルトは空母ではなく普通の滑走路に設置されているから、もしトラブルが
あってもなんの問題もないし、実際トラブルはなかった。なにも不安は感じなかった」

とはいうものの、こうも付け加えてくれました。
「蒸気の出ないカタパルトは、なんだか違和感はあるよね」

映画『トップガン』のオープニングでも象徴的に映し出されていた飛行甲板上の水蒸気、
未来の空母では見えなくなってしまうと思うと、ちょっとさびしいですね。(神野)


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