手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

母指圧迫:指紋部で押す工夫 その3(あま手編)

2013-12-14 18:01:08 | 学生さん・研修中の方のために
母指の指節間(IP)関節が反りすぎるという「あま手」。

あま手の人の中には、指紋部で押そうとするあまり、指を最大限反った状態を作って関節を安定させて力を加えている方がいます。


これは関節に大きなストレスをかけているのが明らかなので、指を傷めるリスクが高くなるはず。

そうならないための工夫をご紹介します。



今回も「にが手」の時と同じように、指紋部すべてを使うという考え方は脇に置きましょう。

あま手の場合は、指紋部の下半分を使うようにします。




イメージとして、IP関節の末梢側に引っ掛けるような、そこに体を乗せるような感じでもかまいません。

すると、IP関節を伸展を最小限にして圧迫することができます。



それにこの操作によって、前腕から母指までの骨格で支えやすくなるのですね。

にが手の人は、特に意識しなくても骨格で支えやすいのですが、あま手の人は骨格で支えるという意識を持たないと、靭帯や筋肉に負担をかけやすいので注意が必要です。



身体の使い方としては、母指の前方から体重をかけると、指が反りやすくなります。

(母指を見えやすくさせるために四指を回転させています)

母指の真上でも反りすぎる場合は、母指の手前で体重をかけるようにするとよいでしょう。


そうなると、「体重を乗せるということ」でお伝えした、指に体重をかけるのではなく、腰を落とすことで指に体重が勝手にかかるような力の加え方が大切になります。

この際、多少前方に押し出すような力のかかり方になってしまうのは仕方ありません。



もしかしたら、「骨で押している感じがする」という方もいるかもしれません。(私は指が反らないので、机の角で説明します。写真はコンタクトポイントに当たる机と骨が直接当たっているところ)


骨で押している感じがするといっても、受けている方にとっては「にが手」の時のように、爪を立てるよりも違和感は少ないでしょう。



でも気になるようなら、前回の「にが手」同様にコンタクトする時、いちど軽く指紋部を広くペタッと着けたら、指先の方に向かって軽く押します。

そうすると、IP関節部分に肉が集まります。(写真はコンタクトポイントに当たる机と、骨の間に肉が集まっているところ)




そのまま押すかたちを作ってみましょう。

圧迫を加えても肉の厚みが大きくなっているので、骨で押している感覚は少なくなるのではないでしょうか。



もし、母指の支えがつらくなるようなら示指を曲げて母指IP関節の下に入れ、支えを作るのもよいかもしれません。



指が反っても痛くない方は、たまにはこのような使い方をしてもよいでしょう。

たまにはですよ、たまには。



いくつかの使い方を組み合わせることにより、負担を分散させられれば、疲労を最小限に抑えることができます。

これが引いては、指の故障を防ぐことにもなります。



さて今回のお話は、私があま手の方から相談を受け、アドバイスしたことを試して頂く中で出来ていったものです。

私自身はにが手のため、自分の体験に基づいた話ではありません。

ですからこの話を鵜呑みにするのではなく、自分に合うのかどうかを確認し、納得してから取り入れるようにしてください。

個人差によって合わない方もいるかもしれません。

必ず自分の目と手で確認し、自分の頭で判断するようにしましょう。



さて、母指の指紋部で圧迫するときは「あま手」「にが手」に関係なく、四指での支えも大切になります。

次回は支えのバリエーションも少しお話しましょう。





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