手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

めずらしく経営のこと その4~想いを知っていただくことの大切さ

2013-09-28 20:00:00 | 治療についてのひとりごと
前回の「本業に徹する」ことに続いて今回はPR、つまり「自分の想いを知っていただくことの大切さ」のお話しです。

今ではおかげさまで、治療院の経営はご紹介でほぼ成り立っています。

自分が理想としていたかたちですし、きっと開業を考えられている方の多くも、それを望んでいると思います。



ただこれを、開業して最初から期待すると、失敗する可能性が高いかもしれません。

とくに、はじめから口コミに期待してしまうのは、本業に自信を持っている方ほど高いように思います。

腕になまじ自信があると、PRを怠りやすいのですね。

お恥ずかしい限りですが、私の場合もそうでした。



このあたりのことに関しては、『感謝感謝の3周年』『感謝感謝の4周年』をご覧ください。



口コミなどの紹介でまわるというのは3段変速機付きの自転車なら、ペダルは重たいけれど少しこげばどんどん進む「3」のギアようなものです。

はじめからそのギアを使ったら重すぎてなかなか前に進まず、下手をするとコケます。

このギアは、あるていどスピードが出てから使うものですよね。



はじめは「1」の軽いギアからスタートするもの。

軽いギアは、一生懸命こがないとなかなか前に進まないけれど、コケる心配は少ない。

この軽い「1」のギアが、積極的なPRに当たると思います。



一生懸命PRしないと、なかなか人は集まりません。

自費の治療院なら、なおさらです。

そして一生懸命PRしていると、少しずつでも前に進めます。



このように言っても昔の私ならピンと来ず、「ふ~ん」と聞き流してしまいそうなので別の表現をしましょう。

PRをしなくても、はじめからお客さんが来てくれると思うこと。

それは、好きにな人ができても何もせず、想っているだけで気持ちが通じると考えていうようなものです。



ふつうはあり得ません。

そうですよね、みなさん?

このように話されると、私も片思いが多かったので、昔の自分もギクッと来るはず。



もちろんなかには、アッという間に口コミが広がるうらやましい方もいらっしゃいますが、残念ながら私の場合はそうではありませでした。

東京から札幌にきて一年余り、土地勘も人脈も資金もない状態での開業だったので、積極的に働きかけなかったというのは命取り。

結局、一年半も赤字が続きました。



恋愛におく手というのは可愛げがありますが、商売におく手ではそのうち潰れます。

私も潰れかけて、はじめてそれに気づきました。

お世話になった先輩に力になっていただきながら試行錯誤したのは、上に紹介した過去記事のとおりです。

既存客のいない新規開業後のPRの大切さは、どれほど強調しても言い過ぎることはありません。



ただPRの費用は、かけ始めたらきりがありません。

手持ちの資金があふれているならいいのですが、ほとんどの方がそういうわけではないので、できるだけ低予算で行った方がよいと思います。

私が開業した時はチラシとホームページが中心でしたが、今ならFacebookやYoutubeなど手段がより広がっているのでいろいろ活用できるでしょう。

「金がないなら知恵を出せ」ですね。



知恵のヒントは書籍はもちろんですが、街にもあふれています。

私の場合は同業はもちろん、ラーメン屋さんなど個人で営んでいるお店をよく観察しました。

本からの情報収集も大切ですが、フィールドワークはより生きた知恵を手に入れることができます。



自分が親しんでいる、尊敬している先輩の方法をマネしてもよいでしょう。

ただし、マネをするのは先輩が構築した仕組みであって、上っ面のことではありませんよ。



上っ面といえば、「肩こりならおまかせ下さい」とか「どこにいっても治らなかった腰痛が治る」というキャッチをよく見かけます。

このようなキャッチも構わないのでしょうが、これってラーメン屋さんののぼり旗にある「味自慢」というようなもの。

みんなやっていることなので、それだけではどうかと思います。

また反対に、そのようなキャッチを見ると警戒する方もいるでしょう。



個人で独立してPRをするときは、自分の想いを自分の言葉で伝え、自分のことを知って頂くような方法が良いのではないかと思います。

自分ならではのストーリーがないと、その他大勢の中に埋もれてしまいます。

そういう意味ではチラシを作るというよりも、大切な人に手紙を書くような気持ちで作り始めるとよいかもしれません。



自分にできること、仕事にかける想いを自分の言葉で伝える。

相手の立場に立って、その気持ちに寄りそうように書いてみる。

私の場合はそのつもりで作ったチラシの反応がいちばんよかったですし、ホームページを見て来院される方も増えました。



今の私なら、自分の言葉で伝えるものが作れないうちは、開業するのは待った方がよいとアドバイスするするかもしれません。

情熱を伝え、相手に寄り添う言葉で表現できないうちは、自分の中でまだ考えが十分に整理できていないと考えるからです。

そのような状態で開業したしたら、厳しい現実に直面したとき、気持ちがぶれることがあります。



いずれ開業を考えている方も、今の時点で作れるものを作っておくといいですよ。

本格的な開業準備に入ったら、このようなことをゆっくり考えているヒマはなくなります。

そのとき、たたき台になるものが出来ていれば、きっと役立つはずです。



さて、PRの重要性についていろいろ書いてきました。

今ではその大切さは身にしみてわかっているつもりですが、軌道に乗ってからはほとんどやっておらず怠けています。

そういう性分なのかもしれません。

このようにしていられるのも、私がひとりで治療院をしているからです。

スタッフを雇って規模が大きくなってきたら持続的に新規の集客と、既存客のリピート率を高める努力を続ける必要があります。



次回、シリーズ最終回は「自費の治療院を経営するということ」



めずらしく経営のこと その3~「本業に徹する」ということ

2013-09-21 20:00:00 | 治療についてのひとりごと
私が治療院を経営するにおいて、実践してきたこと。

ひとつ目は「本業に徹する」ということです。

今回は後輩のみなさん、特に20代の方へのエールのつもりで書いてみました。



本業に徹するといっても、何も無理してストイックにしているのではなく、自分にはそれが向いているからそうしているだけのことです。

決して「みんな本業に徹さなければならない!」なんてことを考えているわけではありません。

経営者さんの中には多店舗展開したり、他業種に進出したり手を広げていく方もいます。

人それぞれのあり方ですから、それは自由です。



店主ひとりでやっているラーメン屋さんもあれば、チェーン展開していくラーメン屋さんもある。

ラーメンだけの店もあれば、チャーハンや餃子を出す店もある。

味噌ラーメンにこだわっている店もあれば、塩ラーメンにこだわっている店もある。

いろいろあるのが世の中なのだから、それでやっていけるのであれば、自分の好きなスタイルでよいでしょう。



本業に徹して特化しすぎえると「つぶしが利かない」という面もあるでしょうし、手広くやることでは「中小企業と屏風は拡げすぎると倒れる」という言葉もあります。

どのようなスタイルをとっても、強みもあれば弱みもある。




それだけに自分のやっていることが、本心から好きなスタイルなのかということを、よく見つめないといけません。

すべてのリスクを背負って独立するのに、わざわざ自分が好きでもない、性分に合わないスタイルで行うというのは、もったいないことだと思います。



だから大切なのは自分を知ること。

まわりに煽られてではなく、本当に自分が望んでいることは何であるかを冷静に知ること。

自分の特性を理解し、それに合ったスタイルを確立することだと思います




何をしてるときが自分は楽しいと感じるのかを知っているというのは、幸せに生きるための大切なことだと思います。

この場合の楽しいとは、快楽のような一時的なものではなく、心のおだやかさのように持続するもの。

着火剤ではなく、炭火のようなもの。

私の場合はそれを求めた結果、本業に徹するというスタイルになっただけのことです。



本業に徹するといっても、どの範囲までを本業とするかで、ある程度の幅はあるでしょう。

私の場合は「手でどれだけ人の苦痛を和らげることができるか」という問いと向き合ってきましたので、手技療法に徹するということになりました。

自分の問いと向き合うために開業しているので、それに関係する以外のものに労力を割かれるような仕事は、できるだけ避けるようにしてきました。

私のようなタイプでは、このように特化したものにしないと生き残るのは厳しいと思っています。



もちろん、はじめから本業に徹することについて確信があったわけではありません。

行動して上手くいったり失敗したりする中で、自分というものがわかっていき、「俺にはこれっ!!」と思えるようになりました。

何もせずに自分をわかっている人など少ないのではないでしょうか。

「自分は何をしていいかわからない」といって止まっていることほど、もったいないことはありません。




行動した結果から得られるフィードバックほど、自分を知るための教材になるものはないと思います。

上手くいって浮かれたり、失敗して落ち込んだりするのは仕方ありませんが、そんな暇はないともいえます。

結果に対して、さらに進むべきなのか、道を変えるべきになのか、自分はどうあるべきなのかをよく見つめ考えないといけません。

成功していても変えるべき時もあるでしょうし、失敗してもそのまま進むべき時もあるでしょう。



私もとくに20代の頃は、自分の可能性を拡げようといろいろチャレンジしました。

手技療法以外のアプローチ方法や、このシリーズのはじめに触れたような事業を行うにあたって必要になる経理や事務やマネージメント、組織というものについて本気で学ぼうとしました。

けれども結局身にならず、無理をして気持ちがやられツブれてしまい、半年ほど病院に通ったこともありました。

本業の手技療法ですら、嫌になったり怖くなったりして、現場からいったん逃げ出し、再び舞い戻るようなこともしました。

そのような出来事を経て本業に徹することに迷いがなくなり、自分のスタイルが出来上がっていきました。



繰り返しになりますが、行動しないと何も始まりません。

行動しても一直線に進むのではなくて、山登りのようにジグザグに進むものだと思います。



体調を崩したり失敗したりというのは自分を知るよい機会ですし、試練というのは信念を強固にする機会です。

思い通りにいかず、まわり道をしなければならないときもあるけど、きっとそれが人生の面白みというものなのでしょうね。



行動していると、すんなりとスムーズにいく人と、思ったようになかなか進まない人がいます。

センスの有無というのはどうしてもありますが、最終的には「あきらめない」ということが、能力があるということになると思います。

手技療法でご飯を食べるなんて、スポーツや音楽のプロとしてご飯を食べて行くことに比べたら、ぜんぜん狭き門ではありません。

自分でやる価値を感じ、あきらめずに粘り強く続けるならできるはずです。



私も不器用なので、すんなり技術を身につけられたわけではありませんがでしたが、今ではこの仕事で生活ができています。

めげることはあっても、いろいろな人に支えられながら、あきらめずにコツコツやってきたからだと思っています。

器用な人と不器用な人シリーズもご参照ください≫



失敗や試練から学んではい上がろうとする人でないと、周囲の人が差し伸べてくれる手をつかむことはできません。

少なくともそのようなガッツがないと、独立してもそれを継続させることは難しいということは言えると思います。




なんだかタイトルからずいぶん外れた話しになりましたね

独立して継続させる能力で必要なことをまとめると「自分を知るということ」「行動すること」「粘り強さ」この3つだと思います。

その3つが私の場合「本業に徹する」ということに集約されているわけです。



続いて「自分の想いを知っていただくこと」です。



めずらしく経営のこと その2~経営理念について

2013-09-14 17:57:01 | 治療についてのひとりごと
私がめずらしく経営について語るシリーズ、今回は経営理念について。

経営をするには、社会のなかで自分のお店や会社が果たす役割、あるいは自分たちの目指すもの、それを経営理念として軸に据えます。

とはいえ自営業をはじめるときには、そんなことじっくり考えない人もいます。

目の前のことをこなしていくだけで、手いっぱいのことが多いですから。

けれども長く続ける中で理念は必要だし、長く続けている人はかたちとしてなくても、不文律のようにして持っているものだと思います。



それにしても経営理念なんて、何だか仰々しい言葉ですね。

実際に企業の経営理念をのぞいてみるとその中に、「創造」や「誠心誠意」や「顧客満足」などという言葉が並んでいます。



私もこのような改まったかたちで、理念というものを持っているわけではありません。

でも、大切にしている想いというものはあります。

以下、先日Facebookにアップした記事からの転載です。



・・・・・


本日9月2日、開院8周年を迎えることができました。
ご縁をいただき、支えてくださっている皆様に、改めて感謝申し上げます。

私は自分の好きな手技療法を、自分のスタイルで打ち込むために、自分の治療院を開業しました。
でも今の治療院は「自分の」ではなく、さまざまな方の想いがつながってできた結び目がかたちとなり、治療院として続いているのだと思います。
とてもありがたいことです。

「手でどれだけ人の苦痛を和らげることができるのか?」
この道に進むきっかけになった、自分への問い。
開業してからもずっとそれだけを考え、問いと向き合ってきました。

けれども一方で、経営者としての私は全くなっていませんでした。
治療院としての展望や目標は、とくに持っていません。
事業や経営というものに、関心が薄いのだと思います。

ただ開業以来、経営について胸に留めていたことがあります。
それは、岡田徹さん(1904~1957)という経営指導をされていた方の詩です。

『小さな店であることを
 恥じることはないよ
 その
 小さなあなたの店に
 人の心の美しさを
 一杯に満たそうよ』

『あなたの今日の仕事は
 タッタ一人でよい
 この店に買いにきてよかったと
 満足して下さるお客さまを
 作ることです。
 あなたの店があるおかげで
 一人のお客さまが
 人生は愉しいと
 知ってくださることです。』

このようなお店になれるよう、心掛けてきました。

もうひとつは、子どもの頃に母から教わったことです。
母は中学を出て商工会議所で働き、いろいろな経営者をみてきたそうです。
そんな母が、当時小学生だった私に尋ねてきました。

母 「あんたなぁ。商売するんやったら 『損してトクとれ』 っていうやろ。このトクっていう字は何て書くんや?」
私 「お買い得の『得』やろ」
母 「いやいや、ちゃうんやで。徳川さんの『徳』って書くんや」

経営に無頓着な私でも、この2つの詩と、母から教わったことだけは大切にしてきたつもりです。

写真は患者さんからいただいた絵手紙。
ご来院された方がこのような気持ちになっていただけるよう、これからも励んで参りたいと思います。




・・・・・・

私が理念らしいものとして胸に留めているのはこの3つです。

個人ではじめて事業をされる方は、形式的な言葉を使うよりも、自分の想いを理念とされたら良いのではないかと思います。

そちらのほうが、血が通ったものに感じるかもしれませんね。



経営理念とは方位磁石のようなもの。

進むべき方向性を示してくれます。




札幌からどこかに向かおうとするなら「暖かい南を目指そう」というのが、それにあたるでしょうか。

続いて具体的な最終目的地として、例えば沖縄と決め、途中の仙台・東京・名古屋・大阪・福岡・鹿児島を目標通過点として定めるというのが一般的です。

そして最終目的地と次の目標通過点をイメージしながら、目の前の交通状況に注意して進んでいきます。

目的地をイメージしても、目の前のことにボンヤリしていたら事故を起こします。



ちなみに、私の場合は最終目的地を特に定めておらず、南を目指すことしか考えていないので、たどり着くのが沖縄か高知か、小笠原なのか。

はたまた仙台あたりで止まるのか、いやいや北海道から出れないのか、どっこいグアムやサイパンまで行けてしまうのか、自分でもわかりません。

なにせ、目指せわらしべ長者ですから。

方向性と目の前のことにだけ注意しながら、いったいどこに着くのか楽しみだというのが私のスタイルですが、あまり他人に勧められるものではありません。



また経営理念とは、憲法のようなものでもあると思います。

憲法は権力者(具体的には国家)が暴走しないように縛りをかけて国民を守るものです。

そして、人間は欲が行きすぎると暴走しやすいもの。

欲というのは燃料のようなものです。

それが適切なら「意欲」という言葉があるように、前進する力になりますが、「欲望」が多すぎてコントロール出来なければ、自分の身体に引火してしまいます。

ですから経営理念は、過剰な欲で暴走しないように人間の良心を守るもの。

私はそのように解釈しています。



旅の道中は、順風満帆な良いことばかりではありません。

そして、私たちは神様仏様ではありません。

ですから、ときには心がぐらついたり、打ちひしがれたりといろいろなことがあり、何というか悪魔のささやきが聞こえるときがあります。

そのとき、踏みとどまる力になるのも理念というものだと思います。



続いて、経営は理念だけではなく実践でもあります。

方向性や最終目的地を決めても、何でどうやって進むのか、ということがはっきりしないと前に行けません。

同じように理念が立派でも、何をどうするという実践がお粗末なら、経営は成り立ちません。



経営の実践について、私が行ってきたのは次の二つ。

『本業に徹すること。』

『自分の想いを知っていただくこと。』

これだけです。


次回は『本業に徹する』ということのお話しです。



めずらしく経営のこと≪ 感謝感謝の8周年 ≫ その1

2013-09-07 20:00:00 | 治療についてのひとりごと
おかげさまで9月2日、開院8周年を迎えることができました。

ご縁をいただき、支えてくださる皆様に改めて感謝申し上げます。



開業して8年も経つと、ときどき経営のことを尋ねられることがあります。

けれどもお恥ずかしいことながら、経営者として私はまったくいただけません。



もちろん開業までや開業後間がないころは、経営書なるものは読みあさって自分なりに勉強したつもりです。

それどころか、松下幸之助や本田宗一郎などの本は中学生のころから好きで読んでいましたし、とくに松下幸之助の『道をひらく』はいつも自分のそばに置いていて、上京の時も持っていったほど。

これは高校生の頃に買ったものですが、今でも大切にしています。


「もしドラ」でブームになったドラッガーも詳しい内容は知らないのですが、経営名言集も読んではいました。



けれどもいざ起業してみたら、本業に意欲は湧くものの、経営そのものに関心を持ちませんでした。

自分のやりたいことをするためには、仕方がないのでやってきたという感じでしょうか。



経営だけではありません。



経理も学ばねばと、独学で簿記3級を取りましたが、自分にとって二十歳を過ぎてからあれほど苦痛だった勉強はありませんでした。

貸方・借方と、右左、右左と移動している間に、なぜか迷子になってしまいます。

取ってからも早々に貸借対照表や損益計算書のことなどはきれいさっぱり消え去りました。

今では、日々の売り上げやおつりの計算、領収書集めも渋々やっています。



ケアマネージャーをしていたころは、事務作業やカンファなどの連絡調整はさっぱりダメ。

とくに書類については役所の人から「同じ書類で3回も間違える人なんて、あなたが初めてだよ」と窓口であきれ顔で言われ、トドメの4回目は「私が代わりに直しておきますから」と電話口で言われる始末。

自分ではちゃんと見直しているつもりですが、もれてしまっているんですね。



また、ある程度大きな組織の中では何かをするときには稟議を通さなければなりませんが、それにもウンザリでしたし、業務命令という言葉を聞くと具合が悪くなっていました。

もともと高校生の頃から、修行中の20代は別にして、30代になってからも誰かの下で働くなんて想像できていませんでしたから、組織には向いていないかもしれません。



何よりマズイのは、目標を立てるのが好きではないということ。

経営をしていたら具体的な目標を立て、そこから逆算するようなかたちで行動計画を立てて実行するのが定石です。

けれども私は目標を立てたら、何だかしらけてしまうという天の邪鬼的な性格。

ですから今でも売り上げ目標など立てていませんし、去年より売り上げが下がっていても生活できるレベルならとくに気にしない。

これでは人を雇うほどの甲斐性も生まれません。



やってきたことといえば、ただ目の前のことに集中すること。

目の前のことに専念していたら道が開け、ここまでやって来ました。

それに味をしめ、目指しているのは平成のわらしべ長者ですが、今のところその気配はありません。

きっと自分のペースで仕事ができないと嫌なので、長者になるのは難しいでしょう。



こういう有様ですから、私が経営のことを語るというのはどうかとは思います。

けれども、もしかしたらそんな私だからこそ、自分が日ごろ心がけていることは、個人で小さなお店を開業されることを考えている方に少しは役立つのかもしれません。

何せ最小限のことしか考えていませんので。



それに経営一般についてはともかく、体験談を語るのはそれなりに意味があるのかもしれない。

そのように思い立ち、この機会に少しお話ししておこうと思います。

まずは経営理念というものから。