前回からのつづき。
≪今回のお話は、臨床に入ってまだ間がない方向けにつくってみました。≫
散らかった部屋を掃除をするとき、みなさんはどのような手順でそれを行いますか?
まずザッと部屋を見まわして、いちばん生活に支障をきたしているところ、ベッドの上が散らかって寝る場所もないとか、タンスの前にモノがあふれて引き出しが開けられないとか、そのようなところから始めようとするのではないでしょうか。
(ベッドにたどり着くまでの、足の踏み場をまずつくらなきゃいけないこともありますが…)
片づける場所を決めたら、その中でも大きくて目立つもの、脱ぎ散らかした服や、広げられた雑誌などから片づけるはずです。
こうして散らかり度合いのボリュームを減らし、あるていど動けるようにスペースをつくったうえで、閉まらなくなった引き出しを閉まるようにしたり、掃除機をかけたりすると思います。
最初から引き出しの中の小物を片づけたり、拭き掃除をするなんていう方…、いらっしゃるかもしれませんが、どちらかというと少数派ではないでしょうか。どうでしょう???
機能障害への治療の順序も、このような掃除と同じ発想で行うことができます。
問診や視診がすんで触診に移ったときには、その患者さんにとっていちばんツライ、生活に支障が出て困っているところから順に診ていくようにします。
そして、治療してはいけない禁忌の状態ではないと判断できたら、身体のなかにある大きくて目立つ制限から治療をはじめます。
続いて反応をみて、2番目に目立つところ、3番目に目立つところとすすめていきます。
とても大ざっぱな言い方ですが、機能障害とは、組織に疲労が積み重なって溜まりに溜まり、身体が耐え切れなくなって悲鳴をあげている状態が症状として現れたものというとらえ方もできます。
この場合、まずやるべきことは疲労のボリュームを減らしていくことだと考えるわけです。
ボリュームを減らすには、目立っている制限に大きな疲労がたまっていると予想されるので、そこから治療を始めたほうが効率はよいはずです。
これらを探す手掛かりが分からないときは、同じような作用をする協力筋、反対の作用をする拮抗筋、または隣接する関節などを診てゆくとよいでしょう。
これは頭の中だけで考えるのではなく、きちんとていねいに触診して確認することが大切です
とくに慢性的な症状になればなるほど、あちらこちらに回復力を妨げている要素があるはずです。そのため治療範囲はある程度広がるので、より広い範囲を視野に入れて診る必要があります
よく、『痛いところだけ治療しても良くならない』と言われるのは、このことを意味しているんですね。
「そんな広い範囲を診て判断することなんて、なかなかできません」という方、はじめは出来なくて当然ですから、アセらずに症状が出ている部位の近くから、順に疲労のボリュームを減らしていけば大丈夫ですよ
患者さんの症状の変化もよくみて下さい。あるていどまで回復して足踏み状態が続くようなら、身体のなかの隠れた疲労を見逃しているのかもしれません。生活の中に何か理由があるのかもしれません。または他の病気のためかもしれません。
よく話をきいて、とにかくていねいに身体を触診する。そして、「おかしい。これは、筋肉や関節の問題ではない」と思ったら、キチンと医師に診察していただくことが大切です。
筋肉の症状については、書籍でもよく紹介されている、トリガーポイントの関連痛領域も覚えておくと、とても役に立ちます
このように、一歩一歩すすめていく方法はとても地味なようですが、堅実な方法です。
ちょうど野球でいうならヒットでつなげて得点を上げていく方法でしょうか。これに対して、前回紹介したような特定の部位を予め重視して、そこを治療するのは一発ホームランを狙う方法といえるかもしれません。
どちらの方法をとるかは自分で決めることですが、個人的には今回ご紹介した方法をオススメしたいです。
理由はこちらの方が、その患者さんのありのままの状態を診ることになるからです。
この方法は、患者さんが生活の中でムリをしていることと、身体の状態を結びつけて一つのストーリーをつくりだすことが比較的容易です。
私自身はこのように身体からその患者さん独自のストーリーをつむぎ出すということも、手技療法で治療を行う意義のひとつではないかなと考えています
こうすることで患者さんは、何がどのように影響して症状が出たのか、ということをより理解しやすくなります。それによって不安が少なくなるとともに必要な対処法もわかるので、これからの生活をより元気に送っていけるのではないかと思っています
もちろん一歩ずつ手さぐりで診るといっても、各部位ごとの評価や治療のコツなど重要なポイントはありますから、それらはセミナーにてご紹介する予定です。
今回のお話はとても大きな内容をまとめたので、改めて読み直すとたいへん荒削りな内容ですが、ちょっとでも何かのヒントになれば嬉しいです
≪今回のお話は、臨床に入ってまだ間がない方向けにつくってみました。≫
散らかった部屋を掃除をするとき、みなさんはどのような手順でそれを行いますか?
まずザッと部屋を見まわして、いちばん生活に支障をきたしているところ、ベッドの上が散らかって寝る場所もないとか、タンスの前にモノがあふれて引き出しが開けられないとか、そのようなところから始めようとするのではないでしょうか。
(ベッドにたどり着くまでの、足の踏み場をまずつくらなきゃいけないこともありますが…)
片づける場所を決めたら、その中でも大きくて目立つもの、脱ぎ散らかした服や、広げられた雑誌などから片づけるはずです。
こうして散らかり度合いのボリュームを減らし、あるていど動けるようにスペースをつくったうえで、閉まらなくなった引き出しを閉まるようにしたり、掃除機をかけたりすると思います。
最初から引き出しの中の小物を片づけたり、拭き掃除をするなんていう方…、いらっしゃるかもしれませんが、どちらかというと少数派ではないでしょうか。どうでしょう???
機能障害への治療の順序も、このような掃除と同じ発想で行うことができます。
問診や視診がすんで触診に移ったときには、その患者さんにとっていちばんツライ、生活に支障が出て困っているところから順に診ていくようにします。
そして、治療してはいけない禁忌の状態ではないと判断できたら、身体のなかにある大きくて目立つ制限から治療をはじめます。
続いて反応をみて、2番目に目立つところ、3番目に目立つところとすすめていきます。
とても大ざっぱな言い方ですが、機能障害とは、組織に疲労が積み重なって溜まりに溜まり、身体が耐え切れなくなって悲鳴をあげている状態が症状として現れたものというとらえ方もできます。
この場合、まずやるべきことは疲労のボリュームを減らしていくことだと考えるわけです。
ボリュームを減らすには、目立っている制限に大きな疲労がたまっていると予想されるので、そこから治療を始めたほうが効率はよいはずです。
これらを探す手掛かりが分からないときは、同じような作用をする協力筋、反対の作用をする拮抗筋、または隣接する関節などを診てゆくとよいでしょう。
これは頭の中だけで考えるのではなく、きちんとていねいに触診して確認することが大切です
とくに慢性的な症状になればなるほど、あちらこちらに回復力を妨げている要素があるはずです。そのため治療範囲はある程度広がるので、より広い範囲を視野に入れて診る必要があります
よく、『痛いところだけ治療しても良くならない』と言われるのは、このことを意味しているんですね。
「そんな広い範囲を診て判断することなんて、なかなかできません」という方、はじめは出来なくて当然ですから、アセらずに症状が出ている部位の近くから、順に疲労のボリュームを減らしていけば大丈夫ですよ
患者さんの症状の変化もよくみて下さい。あるていどまで回復して足踏み状態が続くようなら、身体のなかの隠れた疲労を見逃しているのかもしれません。生活の中に何か理由があるのかもしれません。または他の病気のためかもしれません。
よく話をきいて、とにかくていねいに身体を触診する。そして、「おかしい。これは、筋肉や関節の問題ではない」と思ったら、キチンと医師に診察していただくことが大切です。
筋肉の症状については、書籍でもよく紹介されている、トリガーポイントの関連痛領域も覚えておくと、とても役に立ちます
このように、一歩一歩すすめていく方法はとても地味なようですが、堅実な方法です。
ちょうど野球でいうならヒットでつなげて得点を上げていく方法でしょうか。これに対して、前回紹介したような特定の部位を予め重視して、そこを治療するのは一発ホームランを狙う方法といえるかもしれません。
どちらの方法をとるかは自分で決めることですが、個人的には今回ご紹介した方法をオススメしたいです。
理由はこちらの方が、その患者さんのありのままの状態を診ることになるからです。
この方法は、患者さんが生活の中でムリをしていることと、身体の状態を結びつけて一つのストーリーをつくりだすことが比較的容易です。
私自身はこのように身体からその患者さん独自のストーリーをつむぎ出すということも、手技療法で治療を行う意義のひとつではないかなと考えています
こうすることで患者さんは、何がどのように影響して症状が出たのか、ということをより理解しやすくなります。それによって不安が少なくなるとともに必要な対処法もわかるので、これからの生活をより元気に送っていけるのではないかと思っています
もちろん一歩ずつ手さぐりで診るといっても、各部位ごとの評価や治療のコツなど重要なポイントはありますから、それらはセミナーにてご紹介する予定です。
今回のお話はとても大きな内容をまとめたので、改めて読み直すとたいへん荒削りな内容ですが、ちょっとでも何かのヒントになれば嬉しいです