触診したときの感触というのは、実際に体験してみないとなかなかわからないものです。
それは料理の味を知るというのと同じこと。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0241.gif)
でも言葉でその雰囲気を知っておくことも、何かの参考になるかもしれません。
そのような思いで、ひとつのエピソードをご紹介したいと思います。
先日、PTそしてトレーナーとして活躍されている方が来院されました。
「追い込んでトレーニングをした直後の身体を、どのようにケアするのか体験したいです
」というめずらしいご要望でした。
激しいトレーニングをした後は、筋肉も炎症を起こして熱を持っていることがよくあります。
そのためマッサージを行うときもさするように、ゆさぶるようにして、軽く刺激を加えることによって「流れをよくする」ようなイメージで行うのがふつうです。
もちろん筋肉そのものに対して、強い刺激を加えるなど持ってのほか、とされています。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ang.gif)
でも、それくらいしかできないというわけではありません。
皮下組織などの浅筋膜を滑らせたり、筋間中隔などの深筋膜の間を分け入っていくような感じで手を進め、その隙間を広げるようなイメージで刺激を加えることもあります。
例えば今回のケースで行ったことなら、大胸筋表面の皮下組織を滑走させ、大胸筋と小胸筋との間に奥まで指を進めて組織を離開させる。
大腿直筋と内側広筋、外側広筋の両サイドの筋間部分から手を進めていく、などです。
浅筋膜や深筋膜にはリンパなどの脈管系も発達していることから、それによってその還流が促されるためなのか、より速やかに回復していくような印象を持っています。
ですから「流れをよくする」というよりも「流れがよくなる」状況を作っておくようなイメージでしょうか。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/rabi_right.gif)
もともと筋膜に制限があった方ほど、変化を自覚しやすいようです。
この方法は、それなりに刺激を加えます。
そのため、筋肉そのものにはできるだけ負担をかけないよう、癒着を起こした結合組織に刺激を集める、あるいは炎症部分を避ける触診の技術、とくに深部の筋間部分を狙うなら解剖学の知識は必要です。
では、炎症を起こした筋の感触とはどのようなものでしょうか?![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_keibetsu.gif)
高い熱を持って明らかに腫れているならわかりやすいでしょう。
でもそこまでいっていない、軽度の炎症であるケースもよくあります。
その場合は、軽く触れると表面がふわっとして妙にやわらかく、軽く圧迫を加えると虚脱した感じで、正常な組織にみられる適度な弾力性がありません。
そして、はじめはわかりにくいかもしれませんが、じっとそのまま待っていると奥のほうからジンジンとした軽い熱感が伝わってくる、このような感覚があります。
これに対して癒着を起こした筋膜は、筋間部分から触れていくとビーンと糸が張っているようなツッパリ感があり、押さえると明らかに正常よりも強い弾力性があります。
このように炎症を起こした組織と、癒着のある組織はコントラストが比較的ハッキリしています。
その違いを感じ分けながら、筋間部分に刺激を集めるようにコントロールしていきます。
言葉で書くと簡単ですが、もちろん経験を重ねることは必要です。
私の場合は、自分がケガをしたときに練習していました。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0204.gif)
≪「転んでもタダでは起きず」をご参照ください。≫
話を戻し、続いて脛骨内側と筋肉の境目に、シンスプリント後のような瘢痕部分を認めました。
触診で、ここには追い込んでトレーニングをした痕跡がないことが確認できたので、ASTRを使って癒着をはがしていきました。
ここは受けていても泣きがけっこう入るところです。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_naki.gif)
この部分の癒着をはがしたときは、「ビリッ」とか「バシッ」とか「メリメリ」などと音を立てて外れることがあるので、最初はビビります。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyob_hat.gif)
でも音が出たときに痛みが走るということは経験上ありません。
このときの感触は、ちょうど机につけたセロテープを両端から引っぱって外れたときのような感じです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/21/e4e92162e67f92d35b0f805adad09bb8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/af/a450edfe3acb22b95e751c5d2e25c84e.jpg)
決して、糸が切れたような、ちぎれる感覚ではありません。
音も軽い感じです。
これに対して、肉離れなど組織が断裂したときは、「ブツッ」とか「グズッ」というように重く鈍い音です。
だから慣れてくると、バチッと音がしても平然として続けることができます。
今回は「軽度の炎症」や「癒着を剥離」した時の感触について、私なりの表現を用いてご紹介したのですが、このような言葉は実際にやってみたときにヒントになるというだけのものです。
言葉をいくら覚えたところで、触れて経験しなければ役に立ちません。
知識が増えても実践が伴わなければ、不安だけが増えていきます。
だから「百聞は一見にしかず」そして「百見は一触にしかず(byとっすぃー)」
まずは仲間同士で、徹底的に身体に触れて感じて体験してください。
一度でも体験すれば自分のものにできます。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_do.gif)
ご注意)仲間同士とはいえ、断裂を経験する必要はありませんのであしからず!!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0220.gif)
次回は、1月10日(土)更新です。
今年もありがとうございました。
みなさん、どうぞよいお年を。
それは料理の味を知るというのと同じこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0241.gif)
でも言葉でその雰囲気を知っておくことも、何かの参考になるかもしれません。
そのような思いで、ひとつのエピソードをご紹介したいと思います。
先日、PTそしてトレーナーとして活躍されている方が来院されました。
「追い込んでトレーニングをした直後の身体を、どのようにケアするのか体験したいです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_hohoemi.gif)
激しいトレーニングをした後は、筋肉も炎症を起こして熱を持っていることがよくあります。
そのためマッサージを行うときもさするように、ゆさぶるようにして、軽く刺激を加えることによって「流れをよくする」ようなイメージで行うのがふつうです。
もちろん筋肉そのものに対して、強い刺激を加えるなど持ってのほか、とされています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ang.gif)
でも、それくらいしかできないというわけではありません。
皮下組織などの浅筋膜を滑らせたり、筋間中隔などの深筋膜の間を分け入っていくような感じで手を進め、その隙間を広げるようなイメージで刺激を加えることもあります。
例えば今回のケースで行ったことなら、大胸筋表面の皮下組織を滑走させ、大胸筋と小胸筋との間に奥まで指を進めて組織を離開させる。
大腿直筋と内側広筋、外側広筋の両サイドの筋間部分から手を進めていく、などです。
浅筋膜や深筋膜にはリンパなどの脈管系も発達していることから、それによってその還流が促されるためなのか、より速やかに回復していくような印象を持っています。
ですから「流れをよくする」というよりも「流れがよくなる」状況を作っておくようなイメージでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/rabi_right.gif)
もともと筋膜に制限があった方ほど、変化を自覚しやすいようです。
この方法は、それなりに刺激を加えます。
そのため、筋肉そのものにはできるだけ負担をかけないよう、癒着を起こした結合組織に刺激を集める、あるいは炎症部分を避ける触診の技術、とくに深部の筋間部分を狙うなら解剖学の知識は必要です。
では、炎症を起こした筋の感触とはどのようなものでしょうか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_keibetsu.gif)
高い熱を持って明らかに腫れているならわかりやすいでしょう。
でもそこまでいっていない、軽度の炎症であるケースもよくあります。
その場合は、軽く触れると表面がふわっとして妙にやわらかく、軽く圧迫を加えると虚脱した感じで、正常な組織にみられる適度な弾力性がありません。
そして、はじめはわかりにくいかもしれませんが、じっとそのまま待っていると奥のほうからジンジンとした軽い熱感が伝わってくる、このような感覚があります。
これに対して癒着を起こした筋膜は、筋間部分から触れていくとビーンと糸が張っているようなツッパリ感があり、押さえると明らかに正常よりも強い弾力性があります。
このように炎症を起こした組織と、癒着のある組織はコントラストが比較的ハッキリしています。
その違いを感じ分けながら、筋間部分に刺激を集めるようにコントロールしていきます。
言葉で書くと簡単ですが、もちろん経験を重ねることは必要です。
私の場合は、自分がケガをしたときに練習していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0204.gif)
≪「転んでもタダでは起きず」をご参照ください。≫
話を戻し、続いて脛骨内側と筋肉の境目に、シンスプリント後のような瘢痕部分を認めました。
触診で、ここには追い込んでトレーニングをした痕跡がないことが確認できたので、ASTRを使って癒着をはがしていきました。
ここは受けていても泣きがけっこう入るところです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_naki.gif)
この部分の癒着をはがしたときは、「ビリッ」とか「バシッ」とか「メリメリ」などと音を立てて外れることがあるので、最初はビビります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyob_hat.gif)
でも音が出たときに痛みが走るということは経験上ありません。
このときの感触は、ちょうど机につけたセロテープを両端から引っぱって外れたときのような感じです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/21/e4e92162e67f92d35b0f805adad09bb8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/af/a450edfe3acb22b95e751c5d2e25c84e.jpg)
決して、糸が切れたような、ちぎれる感覚ではありません。
音も軽い感じです。
これに対して、肉離れなど組織が断裂したときは、「ブツッ」とか「グズッ」というように重く鈍い音です。
だから慣れてくると、バチッと音がしても平然として続けることができます。
今回は「軽度の炎症」や「癒着を剥離」した時の感触について、私なりの表現を用いてご紹介したのですが、このような言葉は実際にやってみたときにヒントになるというだけのものです。
言葉をいくら覚えたところで、触れて経験しなければ役に立ちません。
知識が増えても実践が伴わなければ、不安だけが増えていきます。
だから「百聞は一見にしかず」そして「百見は一触にしかず(byとっすぃー)」
まずは仲間同士で、徹底的に身体に触れて感じて体験してください。
一度でも体験すれば自分のものにできます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_do.gif)
ご注意)仲間同士とはいえ、断裂を経験する必要はありませんのであしからず!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0220.gif)
次回は、1月10日(土)更新です。
今年もありがとうございました。
みなさん、どうぞよいお年を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fine.gif)