手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

狭窄症というけれど

2016-11-09 09:42:36 | 治療についてのひとりごと
医大図書館で文献を検索していたときのこと。

ふと「腰部脊柱管狭窄症による下肢痛が腰方形筋への介入によって著効した」

という、症例報告に目が留まりました。


似たような報告はよくあるけれど、よくよく考えたら、腰方形筋への介入によって症状が改善したのなら、そもそも腰部脊柱管狭窄症と言えたのか?

医師の診断や保険診療などの兼ね合いがあるから、業界的にそれはそれなのか。

でも、症状の原因と診断にズレがあったとしたら・・・

そしてこのズレが、いかがわしい健康情報が氾濫している原因のひとつとなっているのではないか。

いろいろ考えてしまいます。


先日も下肢のしびれで狭窄症の診断を受け、いろいろな方法を試したという方がいらしたのですが、イスに座っているとしびれでが出で、立ち上がると痛くて一歩目がなかなか出ないという訴えでした。

狭窄症のパターンではないし、しびれがあるという領域に、知覚の鈍麻もありません。

拝見すると身体のバランスの悪さのなかでも、小殿筋の緊張による影響が大きかったようで、幸い3回目にみえた時には症状は落ち着いていて、患者さんはとても喜ばれていました。


このようなケースに出会うと、何ともやりきれない気持ちになります。

もちろん患者さんが良くなったのは嬉しいのですが、社会的にはこのままでよいのでしょうか。

狭窄症を治した訳ではなく、言ってみたら腰のコリをほぐしただけなのに。


少なくとも、表面的な症状だけではなく、症状の出かたを詳しく問診することは心がけたいですね。

奇跡や魔法ではなく、治るものは治るべくして治る。

(もちろん難しいものは難しい)

という認識を世の中に持たせることができず、ただ巷にゴッドハンドが溢れているだけでは、私たちの業界はまだまだではないかと思います。

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