ポジショニングとは、触診によって評価したり手技療法を用いる時における、セラピストと患者相互の体勢と位置関係のことです。
ポジショニングはとても大切で、これが悪いと触診による評価の正確性が低下したり、テクニックを用いるときのコントロールも不十分になります。
結果的に、治療効果が望めないばかりか逆に悪化させたり、セラピスト自身も腰痛などを起こして身体を傷めるリスクも高めてしまいます。
ポジショニングは複数の条件が合わさり、その時々に応じたベストな位置が決まります。
ベッドか床か、クリニックか在宅か、セラピストと患者の体格差、あるいは患者の不安の程度など心理的な状態によっても適切な距離は変わって来るもの。
適切な位置を速やかに決めるのは、初めのうちはなかなか難しいところがあるかもしれません。
そのため、まず練習の時にはパートナーのことは気にせず、自分が「楽に操作できる」ところを探すようにするとよいでしょう。
「楽操」ですね。
自分にとって楽に操作が出来る力があるからこそ、相手のことを考える余裕が生まれるわけです。
余裕がなければ、きちんと診ることは難しくなります。
その余裕を作るため、はじめのうちは自己中心で練習して構わないと私は思っています。
ポジションを決める基準の基礎として私がお勧めしているのは、おじぎをして手が着いたら刺激が加わる位置にとるというものです。
握手をするときに自然と手を出す位置、でもよいでしょう。
それらの位置が自分にとって、より自然に力を出しやすいところのはずです。
この位置を取るために、順序としてはまず相手(患者や練習パートナー)の位置を変えるようにします。
自分からではなく、相手からというのがポイントです。
近づけたり遠ざけたり、傾けたり回転させるなど口頭で指示しながら手で補助し、おじぎをしたら手が着く位置に動いていただきます。
例えば側臥位で腰部に対し、外方から内方へ圧迫を加えたい時。
私が楽に押さえるなら、このようなかたち。
こちらは前傾し過ぎています。
自然と手を着く位置ではありません。
この体制のまま圧迫しようとすれば、セラピストは前のめりになって無理な体勢になります。
反対にこちらは後傾し過ぎています。
先程と同じく自然と手を着く位置ではありません。
手首が背屈し過ぎて、力を伝えにくいでしょう。
それぞれ言葉と手で誘導しながら、おじぎをしたら手が着く位置に身体の傾きを変えていただくようにします。
あたり前の話のような気がするかもしれません。
ところが現場に出ると、患者さんに動いていただくことを申し訳なく思っているのか、そのままの体勢にしたまま自分だけ動こうとするセラピストもいます。
気持ちはわかりますし、相手を思う気持ちは大切にして欲しいのですが、ムリな体勢で操作することが互いにとって良くない結果を生むのであれば、協力していただいたほうがよいでしょう。
そのため練習のうちから、動いていただくよう指示することに慣れておいた方がよいと私は思っています。
もちろん、患者さんが身体を動かせない場合は別ですが、そうでければ遠慮なくお願いするようにしましょう。
次回は、セラピストの動く順序についてです。
≪雑誌掲載のお知らせ)≫
医道の日本9月号にて寄稿した記事が掲載されています。
「抑うつを有する患者への 頭蓋仙骨療法を併用した徒手的施術例」
よろければご覧ください。
医道の日本
ポジショニングはとても大切で、これが悪いと触診による評価の正確性が低下したり、テクニックを用いるときのコントロールも不十分になります。
結果的に、治療効果が望めないばかりか逆に悪化させたり、セラピスト自身も腰痛などを起こして身体を傷めるリスクも高めてしまいます。
ポジショニングは複数の条件が合わさり、その時々に応じたベストな位置が決まります。
ベッドか床か、クリニックか在宅か、セラピストと患者の体格差、あるいは患者の不安の程度など心理的な状態によっても適切な距離は変わって来るもの。
適切な位置を速やかに決めるのは、初めのうちはなかなか難しいところがあるかもしれません。
そのため、まず練習の時にはパートナーのことは気にせず、自分が「楽に操作できる」ところを探すようにするとよいでしょう。
「楽操」ですね。
自分にとって楽に操作が出来る力があるからこそ、相手のことを考える余裕が生まれるわけです。
余裕がなければ、きちんと診ることは難しくなります。
その余裕を作るため、はじめのうちは自己中心で練習して構わないと私は思っています。
ポジションを決める基準の基礎として私がお勧めしているのは、おじぎをして手が着いたら刺激が加わる位置にとるというものです。
握手をするときに自然と手を出す位置、でもよいでしょう。
それらの位置が自分にとって、より自然に力を出しやすいところのはずです。
この位置を取るために、順序としてはまず相手(患者や練習パートナー)の位置を変えるようにします。
自分からではなく、相手からというのがポイントです。
近づけたり遠ざけたり、傾けたり回転させるなど口頭で指示しながら手で補助し、おじぎをしたら手が着く位置に動いていただきます。
例えば側臥位で腰部に対し、外方から内方へ圧迫を加えたい時。
私が楽に押さえるなら、このようなかたち。
こちらは前傾し過ぎています。
自然と手を着く位置ではありません。
この体制のまま圧迫しようとすれば、セラピストは前のめりになって無理な体勢になります。
反対にこちらは後傾し過ぎています。
先程と同じく自然と手を着く位置ではありません。
手首が背屈し過ぎて、力を伝えにくいでしょう。
それぞれ言葉と手で誘導しながら、おじぎをしたら手が着く位置に身体の傾きを変えていただくようにします。
あたり前の話のような気がするかもしれません。
ところが現場に出ると、患者さんに動いていただくことを申し訳なく思っているのか、そのままの体勢にしたまま自分だけ動こうとするセラピストもいます。
気持ちはわかりますし、相手を思う気持ちは大切にして欲しいのですが、ムリな体勢で操作することが互いにとって良くない結果を生むのであれば、協力していただいたほうがよいでしょう。
そのため練習のうちから、動いていただくよう指示することに慣れておいた方がよいと私は思っています。
もちろん、患者さんが身体を動かせない場合は別ですが、そうでければ遠慮なくお願いするようにしましょう。
次回は、セラピストの動く順序についてです。
≪雑誌掲載のお知らせ)≫
医道の日本9月号にて寄稿した記事が掲載されています。
「抑うつを有する患者への 頭蓋仙骨療法を併用した徒手的施術例」
よろければご覧ください。
医道の日本