手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

徒手的テクニックの使い分け 3 ~関節面への他動運動~

2010-07-31 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回のシリーズのテーマは、「手技療法のテクニックを、どのように使い分けるのか」 ということです


前回、治療刺激を加える 「方向」 と、刺激の 「加え方」 の2つの要素を選びました。


そして、それぞれ 「筋筋膜」 と 「関節面」、「他動運動」 「自動介助運動」 「自動運動」 を下位項目として2×3の表を作成しました。


今回からは、「系統別・治療手技の展開」で紹介されているテクニックを表の中に分類していきます







まず、刺激を加える方向が 「関節面」 に沿っていて、「他動運動」 で行うテクニックは、「系統別・治療手技の展開」 の中では、Kaltenborn , Maitland , Parisの関節モビライゼーションと、関節ファシリテーションが該当するでしょう





各テクニックの詳細につきましては、「系統別・治療手技の展開」 などを参照してくださいね。


同書で紹介されている以外のこの種の技法としては、オステオパシーのアーティキュレーションや、カイロプラクティックのアジャストメント。


またはクラインフォーゲルバッハの機能的運動療法や、日本で有名な関節運動学的アプローチ(AKA)、構造医学などが挙げられるでしょう。







これらのテクニックに共通することは、関節を構成する一方の骨を固定し、もう一方の骨を関節面に沿って動かすことで、関節可動域の回復を促すというものです


「テコの力」 を用いて関節を動かすわけですが、関節を構成する骨に直接コンタクトして動かすのは、小さなテコを使ったモビライゼーションになります。 


下の写真のように









これに対して、肋骨を動かすために上肢を操作したり、腰椎を可動させるために骨盤を回旋させたりという離れた部位にある骨を操作するものは、大きなテコを使ったモビライゼーションです




小さなテコのほうが関節面に沿った動きを誘導させやすく、大きなテコのほうは大きな力を安定して出しやすいという特徴があります






ところで、他動的な関節モビライゼーションを行う際に、関節面を接近させる圧縮法を用いるのか、離解させる牽引法を用いるのかという方法の違いがあります


伝統的な方法は牽引させることが多いのですが、関節ファシリテーションや構造医学など、比較的最近になって発表されているテクニックは圧縮を勧めているものが多くなっています。


牽引派?の主張は、関節面を離開させると、関節周囲の軟部組織にも伸張刺激を及ぼすことができ、また関節のロッキングも行いやすくなるというところが主なものです。


これに対して圧縮派の主張は、関節面を接近させると、接触する関節面の摩擦が少なくなり、よりなめらかな関節運動を行うことができるというもので、水力学的モデルや潤滑モデルとも呼ばれています。


牽引派が関節を機械的に捉えている色合いが強いのと比べて、圧縮派のほうがより機能的に捉えているといえるかもしれません。







はてさて、双方の主張に挟まれて、現場にいる私たちはどうすればよいのでしょうか?







考え方については、それぞれうなずけます。

ですから、理論だけを追いかけて判断しようとすれば、迷いに迷ってしまいます


とにかく現場のプレイヤーである私たちにとっては、目の前にいるその患者さんに対して、どのように働き掛けるべきかという問題が最大の関心ごとですよね


ここで大切なことは、臨床の場で牽引が上手くいっていることもあるし、圧縮で上手くいっていることもあるという現実をみつめることだと思います。


両方ともあり得るということは、どちらが正しいというよりも、それぞれ効果を挙げる状況が違っているのではないかということになりますね


そうなると、それぞれの使い分け方を考えなければなりません。







統一された考え方はまだないように思いますが、私自身は、まず離開させてモビライゼーションをかけ、関節包などの軟部組織を伸張させてから、圧縮を加えて動かすようにしています。

まず 「量」 を確保し、「質」 を高めるという考え方です。



もちろん例外もありますし、牽引も圧縮もせず、そのまま動かしていることも少なくありません。







私は自分の考え方を、できるだけシンプルなものにしようとしていますので、基本的には 「量を確保し、質を高める」 という進め方を、すべてにおいて適用しています


今回の場合、大切なのは何はともあれ可動域が回復すればまずはよいということです。


(ずいぶんザックリ書きましたが、片マヒの方にみられる適応的な拘縮などは例外です


そのため、可動域という量を確保し、動きの滑らかさという質に働きかけるようにしています。







新しい考え方がそれまでの考え方と異なっているとき、どちらが正しいかを考えるのもひとつのあり方でしょう


しかし、白黒つけがたいときは両方の考え方を飲み込んで、それぞれが適用できる状況の違いを考える、という方法もありだと思います。


適用できる違いがわからないうちは、まずは禁忌を除外した上で、組織の反応をみながら 「あれがダメならこれを使う」 というように対応して、試行錯誤しながら適用の条件を探していくようにしています。



このように、常に臨床という地に足をつけて思考し、理論だけが空転するようなことがないようにしたいと私は思っています









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徒手的テクニックの使い分け 2 ~刺激の方向と加え方による分類~

2010-07-24 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
テクニックの使い分け方を判断するためには、各テクニックの特徴を分類・整理する必要があります。


ここでのポイントは 「刺激を加える」 という観点から分類するということです


テクニックが身体に及ぼす機能的・生理的変化はもちろん大切ですが、ここでそれを持ち込むと、かえってややこしくなってしまいます。







思いつくまま並べてみますと、刺激を加える「部位」 「範囲」 「深さ」 「方向」 「加え方」 「リズム」 「強さ」などが候補として挙げられるでしょうか。


さらにわかりやすくするため、この中から2つの特徴を選んで表を作成します。


私は下位項目の分けやすさという点から、治療刺激を加える 「方向」 と、刺激の 「加え方」 の2つの要素を選びました。







まず、どの 「方向」 に刺激を加えるのか?について、下位項目を決めたいと思います。


その前にちょっと復習ですが、体性機能障害には軟部組織の緊張・短縮、筋力の低下や、動的安定性の欠如などさまざまなタイプがあります。


なかでも手技療法の主な対象は、軟部組織の緊張・短縮・癒着・瘢痕・拘縮になります。


関節機能障害も、つまるところは、関節周囲の軟部組織の緊張・短縮などによって引き起こされているといってもよいでしょう。


軟部組織の緊張・短縮などは、触診では「かたさ」として触知することになります


「どこに」その「かたさ」があるかがわかったら、それが「どの範囲で」「どの深さの」「どの方向に」存在するかを調べ、「解剖学的に何であるのか」 を判断するということはこれまでもお話ししてきました

  ≪ 軟部組織の触診は連続的変化を追う【触診五話 その三】をご参照ください ≫


ここで注目する「どの方向に」に至るには、上記のプロセスを経た上での話ということを覚えておいて下さい。







手技療法で治療刺激を加える方向は、体表面に沿う方向と関節面に沿う方向に分けられます。


かたさの方向が、体表面に沿っているなら筋筋膜へのアプローチ、関節面に沿っているなら関節面へのアプローチということになります


ちなみに、「筋筋膜」が「関節包外」、「関節面」が「関節包内」の機能障害と表現されることもあります。







では次に、刺激の「加え方」について下位項目を決めましょう。


刺激を加えるとは、運動するということでもあります。


運動の種類は「他動運動」「自動介助運動」「自動運動」の三種に分けられます


リハビリの進め方でも基本的に、身体機能の程度に応じて「他動」⇒「自動介助」⇒「自動」と進めていきます。


この分類が便利なので、ここでも用いることにします。







こうして、刺激を加える方向として「筋筋膜」と「関節面」が、刺激の加え方として「他動運動」「自動介助運動」「自動運動」を下位項目とする2×3の表ができました











次回からは、A~Fまでの各セルに「系統別・治療手技の展開」で紹介されているテクニックを振り分けていきたいと思います。










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徒手的テクニックの使い分け 1

2010-07-17 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
「系統別・治療手技の展開」 という書籍があります


この本は、さまざまな手技療法のテクニックを筋系や神経系、関節系など系統別にわかりやすく分類・整理されていて、私の気に入っている書籍のひとつです


序論では、各系統に対する第一義的な治療手技として、以下のテクニックを一覧表にして紹介しています。


☆感覚器系(特に外皮)
 触圧覚刺激法

☆結合組織
 筋膜リリース
 筋膜マニュピレーション
 軟部組織モビライゼーション:横断マッサージ・機能的マッサージ
 伝統的マッサージ
 結合組織マッサージ
 ロルフィング
 指圧

☆リンパ系
 リンパマッサージ

☆筋系
 ストレッチング
 マイオチューニング
 プレイティング
 ストレイン・カウンターストレイン

☆神経系
 神経系モビライゼーション
 マイオセラピー

☆関節系
 関節モビライゼーション
  :Kaltenborn , Maitland , Paris
 マッスルエナジーテクニック
 マリガンコンセプト
 マッケンジー法
 関節ファシリテーション

☆その他
 中枢神経系:頭蓋仙骨治療
 内臓系:内臓マニュピレーション
 エネルギー系:鍼 ゼロバランス
 感情/精神ストレス: 体性感情開放

続いて各章で、代表的なテクニックの要点がコンパクトにまとめられています。


最後に、その他の治療手技として、

 メディカルトレーニングセラピー
 MSIアプローチ-運動系機能障害症候群の評価・治療-
 フェルデンクライス・メソッド

の3つが紹介されています。


このように、あらゆるテクニックを網羅している書籍は珍しく、全体を見わたし要点をつかむにはとてもよい本だと私は思います







その反面、心配することがあります


手技療法を学ぼうとする学生さんや、新卒の方がこの本を手にしたとき、どのように感じるかということです。


さまざまなテクニックを前にして、

「これはスゴイ!!
「面白そう

と感じて、ヤル気を燃やす方もいらっしゃるでしょう。







けれども中には、

「こんなにいろいろあるテクニックを、どうやって使い分けたらいいの?
「どれから手をつけて良いかわからない

と、途方に暮れる方や、もしくは、

「こんなにあるのを全部覚えないといけないの?

と感じて、気持ちが折れてしまう方もいらっしゃるかもしれません。







みなさんはどう感じられましたか?







このテキストでは系統別に分類されているために、知識の整理としてはたいへん優れていると思います


しかし、実際の臨床で目の前にいる患者さんに対して、どれを選択して働きかければよいかを判断するところまでは触れられていません。


手技療法の世界を見渡しても、それぞれのテクニックごとに評価方法が分類されているというのが現状です。


各系統をまたがるようなより大きな視点から、適用するテクニックを判断していく方法については、まだまだ整理が及んでいないと思います。







前々から何とかそれを整理できないものかと悩んでいたのですが、試行錯誤したものを昨年のシリーズ「手技療法習得のステップ」で少しご紹介しました。


あれから1年が過ぎ、徐々にまとまってきましたので、今回のシリーズでは、「テクニックの使い分け方」について取り組んでみたいと思います。


私が試みようとすることは、ひとつのテクニックを普及させようと、一生懸命に努力されている方にとっては「ナント乱暴な!!」という印象をもたれるかもしれません。


けれども、学んで使う側の立場としては、使い分け方や、全体の中での位置づけを、大まかにでも理解しておくというのは、とても大切なことだと思っています。


ですから、不十分なところもあるかと思いますが、あえてバッサリと切り分けたいと思います







参考にするテキストは冒頭でご紹介した「系統別・治療手技の展開」です。


このテキストに載せられているテクニックを中心に、少しでも臨床で使いやすいように整理してみたいと思います。


昨年の「手技療法習得のステップ」につづく、今年の一大巨編です






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体性機能障害の評価の流れ5 ~関節終端感覚3と組織質感~ 

2010-07-10 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
エンドフィールのさいごは 「骨性の硬さ (Bony Hard / BH)」 です


骨性の硬さ (Bony Hard / BH) とは、関節を動かして終端部に達したとき、骨同士がぶつかっている感触のことです。


肘関節を伸展したとき、尺骨の肘頭が上腕骨の肘頭窩に入ったときに感じる、コツンコツンというあの感触です。



  









肘関節の伸展でみられるのは生理的なものですが、これが他の一般的な関節でも感じられるようなら異常です。


重度の変形や関節遊離体(いわゆる「関節ねずみ」)などでみられます。


もしくは、まったく弾力性がなく、関節部分が一本の棒のようになってしまっているなら、骨癒合を起こしている可能性があるサインです。


骨性の硬さを感じたら、関節モビライゼーションなどの関節面に直接アプローチするような治療手技は禁忌となります







ところで脊柱では、骨癒合と非常に強い拘縮を起こしているケースとの感じ分けが難しいことがあります。


ほんのわずかな 『しなり』 があるかないかで判断する、というのが容易ではないところですが、一般的には高齢者では癒合が、青壮年では拘縮を起こしている可能性が高いです。



ですから脊椎の可動性検査をしていて、骨性の硬さか、拘縮かを迷うようなときは、患者さんがご高齢なら、関節への直接的なアプローチはまず控え、筋筋膜へのアプローチを行ったほうがよいと思います。


青壮年なら、試行的に軽いモビライゼーションを行い、痛みが増強せず、弾力性やしなりが増すようなら継続するようにしていきましょう。


3回にわたって長くなりましたが、以上の可動範囲・動きの質・関節終端感覚が 「関節可動域」 で評価する内容です。







左右の非対称性 ⇒ 関節可動域 と進んできまして、いよいよ最後が 「組織質感」です。

組織質感では、緊張亢進・緊張低下・腫脹・膨隆・萎縮などをみます。
 


(エンドフィールも、組織質感をみているといえるでしょう )


これによって、治療手技を用いる上での最終的な評価が決定されます。







このシリーズのはじめに「挙上制限のある右肩が上がっている」という例を示しました



では、そのような状態になっているのはなぜか?


たとえば三角筋が緊張し、かつ優位に働きやすい状態であるためか、または、肩甲上腕関節が拘縮を起こしているためか。


あるいは、体幹に生じた弯曲によって、肩甲骨が挙上位で固定されてしまったためか?などなど。







このような、どこにどのような異常があるのかは、組織質感の評価によって特定されます。


そして、組織質感を評価するために必要不可欠なのが触診技術です。


この技術の基礎に当たるのが、前回のシリーズ 「触診五話」 で、お伝えしてきたことです。







その他の触診技術に関係する過去の記事は以下になります。

「手技療法は触診が『命』」

「ひとりでできる!! 触診練習法 1~4」

「ズレではないズレ」

「触診で制限をみつけるコツ 1~2」

「転んでもタダでは起きず」

「関節が先か?筋肉が先か?」

「整形外科テストと軟部組織の評価を同時に行う」

「制限のある方向にASTRをかける」

「治療で用いる刺激レベルの判断はどうする? 1~2」

「等尺性収縮後リラクゼーションを触診で感じよう! 1~3」







このようにして評価が決定し、治療、そして再評価へという流れが出来上がっていいくわけですね







おまけですが、今回の「体性機能障害の評価の流れ」シリーズの根底に流れている、基本的な考え方に関係するのが以下の記事です

「手技療法は掃除と同じ(機能的障害と器質的障害)」

「掃除(治療)にかかる手間と時間」

「『散らかっている(機能的障害)』から『故障している(器質的障害)』へ」

「治療する (片づける)順序はどうする? 1~2」

「社会人アスリートのスポーツ障害」

「体性機能障害はビタミン欠乏症に似ている 1~4」

「手技療法にできることは『土を耕す』ことと同じ」







この 「手技療法の寺子屋」 ブログをはじめて2年半が過ぎました。


タイトルの副題に掲げた、私が夢にしている 「手技療法の体系化」 にはまだまだですが、こうして振り返ると、少しずついろいろとまとまって来たように思います


体性機能障害の評価の流れ4 ~ エンドフィール 2 ~

2010-07-03 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
関節の終端感覚、つまりエンドフィールは、以下の3つに大別できます。

  軟らかい弾力性(Elastic Soft / ES)
  硬い弾力性 (Elastic Hard / EH)
  骨性の硬さ (Bony Hard / BH)


前回は 「軟らかい弾力性」 と 「硬い弾力性」 の質的な違いを感じ分ける方法を紹介しました。


その中で 「軟らかい弾力性」 は正常としましたが、注意が必要なのは 「可動性亢進(または過剰可動)」 の存在です。







可動性亢進は、関節周囲の靭帯などが弛緩することにより、正常以上の可動域をもってしまっている関節のことです


つまり、抜けかけの歯のようにグラグラになっている関節です。


可動性亢進関節には、関節モビライゼーションは禁忌です。


グラグラになっているところに、グラグラになるような刺激を加えるのは、とんでもないことだからです







では、いかにして可動性亢進関節を見分けるのか?


肩関節のルーズショルダーや、内反捻挫を繰り返した足首ように、四肢でそれをみつけるのはさほど難しくありません。


けれども脊柱に関しては、可動性が減少した関節をみつけるよりも、難易度は高いと思います。


可動性亢進は、胸椎よりも頸椎・腰椎に多くみられます







私が感じている感触ですが、可動性亢進関節を動かしたときは、とくに動かし始めに 「フワッ」 と抵抗なく動く感じがします。

正常な関節なら周囲の軟部組織には、力を抜いていたとしても、ある程度のトーヌスがあるので、軽くても自転車をこぎ始めたときのような抵抗感があります 

ところが、可動性亢進関節にはそれが乏しく、まるでチェーンの外れた自転車をこいだときのようなあの感じ
わかりますか?

自転車に乗っている人なら、一度は経験あるのではないでしょうか


それに近い感覚を覚えます。







「スカッ」 という感じ、ともいえるとかもしれません。


他には、「肩すかしをくらった感じ」 「のれんに腕押しという感じ」 そんな感じが、動かし始めの可動性亢進関節にはあります。


ほんのわずかな感覚ですよ


いつくか並べてみましたが、これは感触なので体験して感じる意外に伝える方法がありません。


それまでは、ご自分にしっくりくる表現をイメージしておいて下さい







「早くこの感覚を身につけないと、不用意に脊椎の可動性亢進関節を動かしてしまうなんてことはないのですか?


と、心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大丈夫です


「硬い弾力性」 の関節はどこかをみようという意識で調べているなら、正常よりも動きの大きい可動性亢進関節は自然と除外されています。


(ただし治療をするには、刺激を限局化させるローカリゼーションの技術は身につけておく必要があります


ですから、はじめのうちは徹底的に「硬い弾力性」 の経験値を重ねることを私はおすすめします。


その経験があるレベル以上になると、対極に位置する 「軟らかすぎる」 という感触も知覚しやすくなります。


あせらず地道に進んで下さい