今回は、うつ病を通じて体験した、癒しや治療についての個人的な雑感。
手技療法とはちょっと離れた内容が中心ですが、何かのご参考になれば幸いです
うつ病から回復するきっかけをつくるには、親鳥のように外からの刺激を保護してくれる存在が必要だというのは前回お話ししました。
私にとっての親鳥は、林を散歩すること、周囲のとくに家族の理解と支え、そして抗うつ剤でした。
本業の手技療法もよいはずなのですが、受ける機会がありませんでした。
いえ、結果的に自分でそのような機会をつくらなかったといえます
北海道に来て1年目ということもあり、相談できる同業の仲間がまだいなかったということもあるかもしれません。
「まだ自分でやれる」という空回りする気持ちだけは強かったのかもしれません。
結果的には、自分で自分の身体に触れる気力も湧かなかったので、これは体験しておくべきでした。
惜しいことをしたと今でも思っています。
ただ、この病気になった経験から、それまでの私は「何でも自分でやる」という気持ちが強かったのですが、「頼るときは頼る」「任せるときは任せる」ということを学んだように思います。
林を散歩することは山で育ったことも関係するのか、その中にいると木々から慰められているような気がしてとても安らぎました。

実際に散歩をすることはうつの改善に役立つともされています。
実感として確かにその通りでしょう。
散歩に限らず、子どもの頃から慣れ親しんだものと触れ合うのは大きな助けになるように思います。
スポーツだってそうでしょう。
ただ活動的なことができるのは、ある程度良くなってからのお話かもしれません。
続いて周囲の理解と支え、これはとても大切です。
はじめの回で触れましたが、本格的なうつ病のときは、少し回復すれば再び心に力が入ってしまい、その力が自分を責める、焦るという方向に向かいがちのような気がします。
そのため、よかれと思って励ましたことが、かえって負担になってしまうということもあるかもしれません。
つかず離れず、関わることを通して「あなたはここにいていいんだよ
」というメッセージを伝えるということが、とても大切だと思います。
とはいえ、周囲の人だって調子のよい時もあればわるい時もある。
身近な人ほどついつい「何とかして欲しい
」という思いが抑えきれなくなったり、気持ちが高ぶったりすると言いすぎてしまうこともある。
同じ人間なのだから仕方ありません。
これがなかなか難しいところですね。
また、人によっては状態が回復してきているのに「自分は病人なんだ
」という甘えによって、動かなくなっていることもあるように思います。
何を隠そうそれは私のこと。
悲劇のヒロインを自作自演しているのです。
それを見抜いた妻に、こっぴどく叱られました。


当時は「病人に向かってなんてひどいことを!!
」
と思ったのですが、いまではそれが正しかったと思っています。
これを見抜くのは難しいところがあると思います。
あくまで参考としてですが、自分の好きなことをする時は、元気な頃と変わらないくらいテンポよく動いている。
けれども苦手なこと、やりたくないことをしなければならないとなると、とたんに具合が悪くなる、というサインもそのひとつかもしれません。
個人差も大きいことですから、そのような経験を持つ人がいるというお話として聞いておいて下さいね。
幸いなことに私の場合、妻がそのあたりを心得ていてくれていて、ほどよく放っておいてくれたり、喝を入れてくれたりしたので助かりました。
これには今でも感謝しています
さて、次に進んで抗うつ剤。
この抗うつ剤は近ごろ何かと批判されることが多く、まるで治癒の役に立たないという表現を使われる方もいらっしゃいます。
薬について私は責任のあることをお話しできませんが、自分の経験から抗うつ剤も大切な手段のひとつだと思います。
抗うつ剤を使うことで、外からの刺激に対して過剰に反応することが少なくなる。
それが卵を温める親鳥のような役割を果たすと思うからです。
確かにザワついた気持ちが静まりました。
ただ薬が強すぎる、あるいは多すぎると、生活をする上で必要な活動力も抑え込んでしまうことになります。
そうなると、一見うつ病が悪化したように見えてしまうかもしれません。
これを真に受けてしまうとさらに投薬量が増え、状態が悪化していくという悪循環を生むことになります。
卵を温めるはずが、卵を押しつぶしてしまうことになり本末転倒になってしまうわけですね。
そんなこんなで悪役にされることのある抗うつ剤ですが、そもそも生活を送る中で発生したうつ病に対して、生活をさほど変えることなく薬に多くを頼っているとすれば、それは無理があるというもの。
その挙句に悪者扱いをされたとしたら、抗うつ剤が気の毒です。
同じようなことは、ステロイドに対する評価の経緯と似ているところがあるように思います。
魔法の薬、奇跡の薬としてもてはやされてさんざん多用された挙句、副作用が大きな問題となったら今度は手の平を返して全否定される。
世間的には、現在でも否定的な印象を持たれたままになっています。
これは何も薬だけにとどまりません。
このお話は次回4月4日(土)の更新にも続きます。
《おかげさまで350回》
2008年1月からスタートした「手技療法の寺子屋ブログ」もおかげさまで350回を迎えることができました。
3日坊主の私が、まさかこんなに長く続けてこられるなんて思っていませんでした。
ありがとうございます。
みなさんからのメッセージもとても大きな励みになっていました。
このブログのおかげで、私も多くの仲間と出会うことができ、輪が広がっていきました。
あらためて振り返ると、ブログでお伝えできることはおおよそ書いてきたように思います。
もう少し書き進めたら、過去の記事の改訂などができたらなぁと思っています。
これからもマイペースで続けていきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願い致します。
手技療法の寺子屋セミナー(札幌)のご案内
札幌にてセミナーを開催します。
北海道方面で手技療法に興味をお持ちの方、どうぞご参加下さい。
セミナー1「身につけておきたい手技療法の基本3 ~異常を見つけ出す触診技術と適応と禁忌の鑑別」
開催日時 15年04月11日(土) 18:30~21:00
受講費用 5,000円
セミナー2「顎関節を中心とした頭頸部への徒手的アプローチ」
開催日時 15年04月12日(日) 13:30~18:30
受講費用 10,000円
手技療法の寺子屋
大阪セミナーのご案内
はれやかグループさんからのご依頼で、大阪(岸和田市)にてセミナーをさせていただくことになりました。
関西方面で手技療法に興味をお持ちの方、どうぞご参加ください。
テーマ「頭頸部(顎関節)へのマニュアルセラピー」
開催日時:2015年04月19日(日) 09:00~17:00
受講料:12,960円(税込)
はれやかセミナー
寺子屋DVD発売のご案内
手技療法の寺子屋でご紹介しているような手技療法の基本が、医療情報研究所さんよりDVDとして発売されました。
私が大切にしていることを、出来る限りお伝えさせていただきました。
どうぞよろしくお願い致します。
医療情報研究所

☆ブログの目次(PDF)を作りました 2014.01.03☆)
手技療法の寺子屋ブログを始めてから今月でまる6年になり、おかげさまで記事も300を越えました。
これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。
手技療法の寺子屋ブログ「目次」
今のところまじめに更新中!
手技療法の寺子屋ブログ読者の方の友達リクエスト、歓迎します!!
(どなたかよくわからないときがありますので、メッセージを添えてください)

手技療法とはちょっと離れた内容が中心ですが、何かのご参考になれば幸いです

うつ病から回復するきっかけをつくるには、親鳥のように外からの刺激を保護してくれる存在が必要だというのは前回お話ししました。
私にとっての親鳥は、林を散歩すること、周囲のとくに家族の理解と支え、そして抗うつ剤でした。
本業の手技療法もよいはずなのですが、受ける機会がありませんでした。
いえ、結果的に自分でそのような機会をつくらなかったといえます

北海道に来て1年目ということもあり、相談できる同業の仲間がまだいなかったということもあるかもしれません。
「まだ自分でやれる」という空回りする気持ちだけは強かったのかもしれません。
結果的には、自分で自分の身体に触れる気力も湧かなかったので、これは体験しておくべきでした。
惜しいことをしたと今でも思っています。
ただ、この病気になった経験から、それまでの私は「何でも自分でやる」という気持ちが強かったのですが、「頼るときは頼る」「任せるときは任せる」ということを学んだように思います。
林を散歩することは山で育ったことも関係するのか、その中にいると木々から慰められているような気がしてとても安らぎました。

実際に散歩をすることはうつの改善に役立つともされています。
実感として確かにその通りでしょう。
散歩に限らず、子どもの頃から慣れ親しんだものと触れ合うのは大きな助けになるように思います。
スポーツだってそうでしょう。

ただ活動的なことができるのは、ある程度良くなってからのお話かもしれません。
続いて周囲の理解と支え、これはとても大切です。
はじめの回で触れましたが、本格的なうつ病のときは、少し回復すれば再び心に力が入ってしまい、その力が自分を責める、焦るという方向に向かいがちのような気がします。
そのため、よかれと思って励ましたことが、かえって負担になってしまうということもあるかもしれません。
つかず離れず、関わることを通して「あなたはここにいていいんだよ

とはいえ、周囲の人だって調子のよい時もあればわるい時もある。
身近な人ほどついつい「何とかして欲しい

同じ人間なのだから仕方ありません。
これがなかなか難しいところですね。
また、人によっては状態が回復してきているのに「自分は病人なんだ

何を隠そうそれは私のこと。
悲劇のヒロインを自作自演しているのです。
それを見抜いた妻に、こっぴどく叱られました。



当時は「病人に向かってなんてひどいことを!!

と思ったのですが、いまではそれが正しかったと思っています。
これを見抜くのは難しいところがあると思います。
あくまで参考としてですが、自分の好きなことをする時は、元気な頃と変わらないくらいテンポよく動いている。
けれども苦手なこと、やりたくないことをしなければならないとなると、とたんに具合が悪くなる、というサインもそのひとつかもしれません。
個人差も大きいことですから、そのような経験を持つ人がいるというお話として聞いておいて下さいね。

幸いなことに私の場合、妻がそのあたりを心得ていてくれていて、ほどよく放っておいてくれたり、喝を入れてくれたりしたので助かりました。
これには今でも感謝しています

さて、次に進んで抗うつ剤。
この抗うつ剤は近ごろ何かと批判されることが多く、まるで治癒の役に立たないという表現を使われる方もいらっしゃいます。
薬について私は責任のあることをお話しできませんが、自分の経験から抗うつ剤も大切な手段のひとつだと思います。
抗うつ剤を使うことで、外からの刺激に対して過剰に反応することが少なくなる。
それが卵を温める親鳥のような役割を果たすと思うからです。
確かにザワついた気持ちが静まりました。
ただ薬が強すぎる、あるいは多すぎると、生活をする上で必要な活動力も抑え込んでしまうことになります。
そうなると、一見うつ病が悪化したように見えてしまうかもしれません。
これを真に受けてしまうとさらに投薬量が増え、状態が悪化していくという悪循環を生むことになります。
卵を温めるはずが、卵を押しつぶしてしまうことになり本末転倒になってしまうわけですね。
そんなこんなで悪役にされることのある抗うつ剤ですが、そもそも生活を送る中で発生したうつ病に対して、生活をさほど変えることなく薬に多くを頼っているとすれば、それは無理があるというもの。
その挙句に悪者扱いをされたとしたら、抗うつ剤が気の毒です。
同じようなことは、ステロイドに対する評価の経緯と似ているところがあるように思います。
魔法の薬、奇跡の薬としてもてはやされてさんざん多用された挙句、副作用が大きな問題となったら今度は手の平を返して全否定される。
世間的には、現在でも否定的な印象を持たれたままになっています。
これは何も薬だけにとどまりません。
このお話は次回4月4日(土)の更新にも続きます。


2008年1月からスタートした「手技療法の寺子屋ブログ」もおかげさまで350回を迎えることができました。
3日坊主の私が、まさかこんなに長く続けてこられるなんて思っていませんでした。
ありがとうございます。
みなさんからのメッセージもとても大きな励みになっていました。
このブログのおかげで、私も多くの仲間と出会うことができ、輪が広がっていきました。
あらためて振り返ると、ブログでお伝えできることはおおよそ書いてきたように思います。
もう少し書き進めたら、過去の記事の改訂などができたらなぁと思っています。
これからもマイペースで続けていきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願い致します。


札幌にてセミナーを開催します。
北海道方面で手技療法に興味をお持ちの方、どうぞご参加下さい。
セミナー1「身につけておきたい手技療法の基本3 ~異常を見つけ出す触診技術と適応と禁忌の鑑別」
開催日時 15年04月11日(土) 18:30~21:00
受講費用 5,000円
セミナー2「顎関節を中心とした頭頸部への徒手的アプローチ」
開催日時 15年04月12日(日) 13:30~18:30
受講費用 10,000円
手技療法の寺子屋


はれやかグループさんからのご依頼で、大阪(岸和田市)にてセミナーをさせていただくことになりました。
関西方面で手技療法に興味をお持ちの方、どうぞご参加ください。
テーマ「頭頸部(顎関節)へのマニュアルセラピー」
開催日時:2015年04月19日(日) 09:00~17:00
受講料:12,960円(税込)
はれやかセミナー


手技療法の寺子屋でご紹介しているような手技療法の基本が、医療情報研究所さんよりDVDとして発売されました。
私が大切にしていることを、出来る限りお伝えさせていただきました。
どうぞよろしくお願い致します。
医療情報研究所



手技療法の寺子屋ブログを始めてから今月でまる6年になり、おかげさまで記事も300を越えました。
これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。
手技療法の寺子屋ブログ「目次」
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(どなたかよくわからないときがありますので、メッセージを添えてください)
