以前、小殿筋をどのように触診で感じとっているのか?というご質問をいただきました。
質問された方は、書籍で調べても小殿筋は中殿筋の深層にあって、走行も中殿筋とはっきりした違いはなく、また中殿筋前部とは働きも同じ。
そのため、小殿筋を区別して触診することは難しいとする文献が多いのですが、やはりそうなのでしょうか?という疑問をお持ちでした。
ご指摘の通り、小殿筋は中殿筋(大腿筋膜張筋も)と重なっているために、通常の状態では小殿筋のみを触知するというのは難しいですよね。
これを理解できるようになるためには、小殿筋に異常がある方と、そうでない方を触診して比較する経験を積むのがよいのではないかと思っています。
私の場合、触診によるトリガーポイントの関連痛の再現と、深さの感覚との一致という経験を重ねることから、およそ判断できるようになりました。
中・小殿筋の存在する部位に触れ、力を加えていくと、はじめに中殿筋、続いて小殿筋に圧がかかっていきます。
患者さんによっては、殿部にトリガーポイントが存在し、その刺激によって関連痛が再現される場合があります。
その場合、以下の図に示しましたように、中殿筋なら腰・殿部に関連痛は留まり、下肢まで及ぶことはないとされます。
これに対して小殿筋は殿部から下肢にまで及び、場合によっては足底まで広がることもあります。
中殿筋の関連痛
小殿筋の関連痛
(Travell & Simons' Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manualより)
臨床で圧痛検査を行って下肢に関連痛が再現された場合、その時の深さを記憶し、経験を重ねると小殿筋の深さに達した時の感覚というものがわかるようになっていきます。
もちろん中・小殿筋のいずれも緊張しているために、浅いところに圧を加えた時点で、殿部から下肢にまで関連痛が再現されることもあります。
その場合は表面からアプローチしていき、どの深さで組織がリリースした時、下肢への関連痛が消失したかということから判断することができます。
下肢の関連痛の消失した深さに存在するのが、小殿筋ということですね。
緊張が強ければ中殿筋から小殿筋がリリースするまで、数回の治療が必要になることもあります。
表層の中殿筋が先に柔らかくなると、深部にあって緊張が残っている小殿筋はよりハッキリとわかりやすくなり、その輪郭がたどれることもあります。
この体験をすると、より小殿筋の触診に自信を持てるようになります。
小殿筋を触診する時、表層は弛緩させておいた方が触れやすいので、側臥位で天井側の下肢を外転させて触れるようにします。
もしくは伏臥位で、股関節を外転外旋して触れてもよいでしょう。
(写真はASTRの資料を触診として用いています。モデルのポーズを参考になさって下さい。)
症状を出していなくても、刺激すると関連痛を起こすこともありますので(潜在性のトリガーポイント)、セラピスト仲間に協力(実験台?)してもらい、練習してみて下さい。
はじめは個人差で混乱するかもしれませんが、数を重ねて自分の手にデータが蓄積されると、深さの感覚がつかめるようになって、何となく「これがそうだろう」というものが理解できるようになると思います。
深さの感覚を養う触診の練習をセルフで行うなら、梨状筋を中心とした股関節の外旋筋群で練習するとよいでしょう。
伏臥位で膝を屈曲し、殿部に触れます。
そのまま股関節を内・外旋をさせ、外旋筋群の動きを感じとることで、深部にある組織の状態を把握する練習になります。
大殿筋の奥に意識を集中させ、感じ取るのがポイントです。
≪ 外旋 ≫
≪ 内旋 ≫
これなら一人でも自動運動で練習できますよね。
小殿筋など深部の筋を触知することは、簡単にすぐわかるというものではないかもしれませんが、このように地道に練習することでわかるようになっていきますよ。
あとは繰り返し練習して、経験を重ねるのみです!!
早く結果を得ようとして焦らず、ただ感じ取ることに集中して根気良く続けましょう。
そのうち感覚が養われていきます。
寺子屋DVD発売のご案内
手技療法の寺子屋でご紹介しているような手技療法の基本が、医療情報研究所さんよりDVDとして発売されました。
私が大切にしていることを、出来る限りお伝えさせていただきました。
どうぞよろしくお願い致します。
医療情報研究所
☆ブログの目次(PDF)を作りました 2014.01.03☆)
手技療法の寺子屋ブログを始めてから今月でまる6年になり、おかげさまで記事も300を越えました。
これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。
手技療法の寺子屋ブログ「目次」
質問された方は、書籍で調べても小殿筋は中殿筋の深層にあって、走行も中殿筋とはっきりした違いはなく、また中殿筋前部とは働きも同じ。
そのため、小殿筋を区別して触診することは難しいとする文献が多いのですが、やはりそうなのでしょうか?という疑問をお持ちでした。
ご指摘の通り、小殿筋は中殿筋(大腿筋膜張筋も)と重なっているために、通常の状態では小殿筋のみを触知するというのは難しいですよね。
これを理解できるようになるためには、小殿筋に異常がある方と、そうでない方を触診して比較する経験を積むのがよいのではないかと思っています。
私の場合、触診によるトリガーポイントの関連痛の再現と、深さの感覚との一致という経験を重ねることから、およそ判断できるようになりました。
中・小殿筋の存在する部位に触れ、力を加えていくと、はじめに中殿筋、続いて小殿筋に圧がかかっていきます。
患者さんによっては、殿部にトリガーポイントが存在し、その刺激によって関連痛が再現される場合があります。
その場合、以下の図に示しましたように、中殿筋なら腰・殿部に関連痛は留まり、下肢まで及ぶことはないとされます。
これに対して小殿筋は殿部から下肢にまで及び、場合によっては足底まで広がることもあります。
中殿筋の関連痛
小殿筋の関連痛
(Travell & Simons' Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manualより)
臨床で圧痛検査を行って下肢に関連痛が再現された場合、その時の深さを記憶し、経験を重ねると小殿筋の深さに達した時の感覚というものがわかるようになっていきます。
もちろん中・小殿筋のいずれも緊張しているために、浅いところに圧を加えた時点で、殿部から下肢にまで関連痛が再現されることもあります。
その場合は表面からアプローチしていき、どの深さで組織がリリースした時、下肢への関連痛が消失したかということから判断することができます。
下肢の関連痛の消失した深さに存在するのが、小殿筋ということですね。
緊張が強ければ中殿筋から小殿筋がリリースするまで、数回の治療が必要になることもあります。
表層の中殿筋が先に柔らかくなると、深部にあって緊張が残っている小殿筋はよりハッキリとわかりやすくなり、その輪郭がたどれることもあります。
この体験をすると、より小殿筋の触診に自信を持てるようになります。
小殿筋を触診する時、表層は弛緩させておいた方が触れやすいので、側臥位で天井側の下肢を外転させて触れるようにします。
もしくは伏臥位で、股関節を外転外旋して触れてもよいでしょう。
(写真はASTRの資料を触診として用いています。モデルのポーズを参考になさって下さい。)
症状を出していなくても、刺激すると関連痛を起こすこともありますので(潜在性のトリガーポイント)、セラピスト仲間に協力(実験台?)してもらい、練習してみて下さい。
はじめは個人差で混乱するかもしれませんが、数を重ねて自分の手にデータが蓄積されると、深さの感覚がつかめるようになって、何となく「これがそうだろう」というものが理解できるようになると思います。
深さの感覚を養う触診の練習をセルフで行うなら、梨状筋を中心とした股関節の外旋筋群で練習するとよいでしょう。
伏臥位で膝を屈曲し、殿部に触れます。
そのまま股関節を内・外旋をさせ、外旋筋群の動きを感じとることで、深部にある組織の状態を把握する練習になります。
大殿筋の奥に意識を集中させ、感じ取るのがポイントです。
≪ 外旋 ≫
≪ 内旋 ≫
これなら一人でも自動運動で練習できますよね。
小殿筋など深部の筋を触知することは、簡単にすぐわかるというものではないかもしれませんが、このように地道に練習することでわかるようになっていきますよ。
あとは繰り返し練習して、経験を重ねるのみです!!
早く結果を得ようとして焦らず、ただ感じ取ることに集中して根気良く続けましょう。
そのうち感覚が養われていきます。
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これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。
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