手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!腰椎の可動性検査 その4

2011-01-29 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回は側屈です。


この動きは棘突起間が、「く」の字に動いているように確認できます。





素直に体幹を傾ける方法でもよいのですが、脊柱起立筋の緊張が強まるために、わかりにくくなることがあります。



そこで、試していただきたいのが、片膝を曲げるという方法です。





左への側屈を調べたいときには、右膝を曲げるようにします。




(セルフタイマーで撮ると、うまいポジションで写すのがなかなか大変です。)


こうすると、右の腸骨が足方に下がるのに伴って、腰椎が下位から左側屈していきます。


この動きは脊柱起立筋の強い緊張を伴わないので、側屈運動を感じ取りやすいですよ。





「起立筋はやっぱり緊張しているのですけど


という方、もしかしたら軽く屈曲位を取っているのかもしれません。


手を後ろに回して脊柱にコンタクトすると、肩の可動域にもよりますが、体幹は屈曲させたくなります。


屈曲検査の復習になりますが、体幹は屈曲すると、脊柱起立筋に遠心性収縮が起こるために緊張するわけです。





そんな時は、ごく軽く伸展させるようにしてみてください。


起立筋の弛緩が確認できると思います。


ほんのわずかのことですが、まったく変わってきますよね。


「触診がうまくできない」「テクニックが効かない」という場合も、このわずかな違いが原因になっていることもあります。


次回は、回旋です。

ひとりでできる!!腰椎の可動性検査 その3

2011-01-22 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
腰椎の屈曲伸展の動きが、どこか一分節でもわかったなら、棘間部に当てた指を、尾側の分節にひとつずつ移動していきます。


棘間部分が確認しにくい場合は、骨盤を後傾させると腰椎の屈曲に伴って棘間が開くので、わかりやすくなるのではないかと思います。


確認できたら、前回ご紹介した方法、もしくは自分がわかる方法で、屈曲伸展検査を繰り返してみてください。





やがて、屈曲伸展の動きを全く感じない分節にあたると思います。


そこがS1-S2間です。正中仙骨稜のライン上にコンタクトしていることになるわけですね。


このS1-S2間の「動いていない」という感覚を覚えておきましょう。


脊椎分節の可動制限は、このS1ーS2ほどはっきり「動いていない」という感覚を持てるわけではないのですが、可動制限を感じるファーストステップとして役に立ちます。





そこからひとつ上に戻って、動きを感じたらL5-S1間、腰仙部です。


L5の棘突起は小さくてわかりにくいこともあるので、このように動かない仙骨の間を確認し、動き始める分節を確認するという方法もよいでしょう。


このあたりは、皮膚の上から直接コンタクトして確認したほうがよいと思います。


腰仙部は臨床でも重要なので、きちんと触診できるように練習しておいてください。





続いて側屈・回旋です。


コンタクトはこれまでと同じように1ヵ所でもよいのですが、


上下2つの分節にコンタクトして練習するというのもよいかもしれません。



2か所をモニターしておくことで、側屈や回旋の動きが順に起こることを確認できるからです。


あくまでも好みですが、練習なのでいろいろ試してみて、自分に合う方法を見つけ出してみてください。





それでは、側屈・回旋を感じ取りやすいように工夫しながら練習してみてください。


次回は側屈を取り上げたいと思います。



ひとりでできる!!腰椎の可動性検査 その2

2011-01-15 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
前回、立位で腰椎の棘間部にコンタクトした状態で、屈曲の動きをより感じ取りやすくするためには、どのように工夫して身体を操作すればよいかということを考えていただきました。


いかがでしたか?





それでは、私がおすすめする方法をご紹介しますね。


それは、恥骨を前上方に持ち上げるように動かすという方法です。


ちょうど、マイケルジャクソンさんが股間に手を当てて「ポウッ(?)」と言いながら恥骨を前に出してダンスしていた、あの動きです。


私がやってもサマになりませんが…。





恥骨を前上方に持ち上げるということは、骨盤を後傾させることになります。


骨盤を後傾させると、腰椎は下位から屈曲方向に動いていきます。


このような動かし方をすると、脊柱起立筋はさほど働かないために、胸背筋膜の緊張も防ぐことができ、棘間部の動きも追跡しやすいですよ。


いちど試してみてください。





恥骨が前方に移動するに従い、膝も曲がろうとするはずですが、それは自然にまかせてかまいません。


このときに、胸(体幹)は動かさないよう注意してください。


いかがでしょう。


体幹を前屈させる方法と比べて、どちらがより屈曲の動きを感じ取りやすいでしょうか。


勢いよく動かすのではなく、ゆっくり動かしてくださいね。




次に伸展ですが、これは中立位で棘間部にコンタクトした状態から体幹を反らしても、胸背筋膜は緊張しないのでわかりやすいかもしれません。



ただ、中立位でも棘突起間はある程度接近しているために、伸展に伴う棘間部の閉じる(接近する)動きは感じにくいことがあります。


その場合おすすめしたいのが、恥骨を前に出し骨盤を後傾させた屈曲位からスタートし、伸展してくる動きを感じるということです。


      


中立位から伸展位までよりも、屈曲位から伸展位までの振幅のほうが当然大きいので、より感じ取りやすくなります。


もともと可動域の少ない関節の可動性検査をするときは、このように振幅を大きくして評価するように工夫するというのも、臨床では役に立ちます。





もし、動きがわからなくても、グイっと強く棘間部に指を押し当てないでください。


指先の感覚が低下して、よりわかりにくくなる可能性が高いです。


まぶたの上から目を押えても、不快に感じないていどの力で触れて感じる練習をしましょう。


慣れないうちはズボンではなく、皮膚の上から直接コンタクトして練習するとよいですよ。


ひとりでできる!!腰椎の可動性検査 その1

2011-01-08 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
これまで何度か「ひとりでできる!!触診練習法」シリーズをご紹介してきましたが、今回は、腰椎の可動性検査です。


腰椎については、ずいぶん前にも少しご紹介しましたが、屈曲・伸展をサラッとご紹介しただけでしたので、コツをもう少し付け加えて、さらに側屈・回旋も練習したいと思います。

 「ひとりでできる!!触診練習法 その3」





耳にタコかもしれませんが、脊柱の機能障害を評価し治療するためには、その前提として、ひとつひとつの椎骨の可動性を調べる分節的な検査ができなければいけません。


今回は立位での練習ですが、それは座位での可動性検査はもちろん、



側臥位での屈曲・伸展検査



そして、側屈検査



回旋検査



さらには腰椎の関節モビライゼーションまでつながっていきます。



ですからしっかり練習しましょう。





まずは屈曲から。


立位で腰椎の棘突起の間にコンタクトします。



どの指でもお好みで構いません。写真では人差し指ですが、この場合、私は中指を使っています。






そのまま身体を前屈させて、棘突起間が開くような動きが確認できれば、その分節は屈曲ができているといことになります。



ちなみにC2~7の典型的頸椎の棘突起間にコンタクトしている場合は、椎間関節の形状から上位の棘突起は前上方にすべって棘間が開いていきます。


腰椎の場合は、地面に対して垂直な方向に関節面を持ち、棘突起も縦に並んでいるので、上下にパカッと開くような動きになります。





ところが体幹を前に倒したら、周囲の脊柱起立筋が遠心性収縮をして胸背筋膜が緊張するために、屈曲に伴う棘間部の開きがうまく感じ取れないことがあります。


そのような時はどうすればよいでしょう?





触診を行う上でもっとも大切なことは、「いかに感じ取るか」ということです。


そして、正確に感じ取るためには、自分や患者さんの体をどう操作するかということがポイントになります。



ですから今回の例で、どのように自分の体を操作すれば、腰椎の屈曲をよりスムーズに感じやすくなるか、みなさんで工夫なさってみてください。


合わせて、伸展の動きも感じ取ってみましょう。


私がオススメする方法は、次回ご紹介します。



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☆ブログの目次(PDF)を作りました 2014.01.03☆)
手技療法の寺子屋ブログを始めてから今月でまる6年になり、おかげさまで記事も300を越えました。
これだけの量になると、全体をみたり記事を探すのも手間がかかるかもしれません。
そこで、少しでもタイトルを調べやすくできるように、このお休みを使って目次を作ってみました。
手技療法を学ばれている方、興味を持たれている方にご活用いただき、お役に立てれば幸いです。

手技療法の寺子屋ブログ「目次」


しあわせなさいご

2011-01-01 20:00:00 | よもやま話
6年ほど前、私はケアマネージャーをしていたのですが、そのころ担当していた利用者さんのご家族(娘さん)が、昨年の暮れにあいさつにみえました。


利用者さんが先日、亡くなられたというお話でした。





そのようなご報告は時々いただくのですが、これまで経験なかったほどに明るくサッパリしたご様子が、私には不思議に思えました。


不謹慎かもしれませんが、思い切ってそのことをお尋ねすると、おだやかな笑みを浮かべてお話されました。


「最高のお別れができたんです」






利用者さんはご病気のため入院されていたのですが、さいごのとき、ご家族におっしゃったそうです。


「もう、頑張らなくてもいいかい?」


それを聞いて、ご家族も「もう頑張らなくてもいいよ」と返事をなさいました。


すると、


「じゃあ、さいなら」


と言って、そのまま息を引き取られたそうです。





もちろんお母さんを亡くされた悲しみは大きかったはずです。


でもそれ以上に、亡くなるまできちんと看病でき、お母さんらしいお別れの仕方ができたことを満足されていたようでした。


お話を聞いていて、私もつい「ご愁傷さまです」ではなく、「すばらしいお別れでしたね」と答えてしまったほど心に響くお話でした。


凛とした利用者さんのことを知っていたので、なおそのように感じたのかもしれません。


デイケアで、書道の作品を嬉しそうに私に見せてくださった姿の記憶が、鮮やかによみがえりました。





おわりを全うするとは、このようなことをいうのだと思います。





どのような亡くなり方がよいと考えるのか、それは人それぞれでしょう。


でも、この利用者さんのような亡くなり方というのは、理想のひとつではないでしょうか。


私が自分のことを想像しても、身近な人に「ホナ、さいなら」と言って、サッパリとこの世とお別れできるというのは、とてもしあわせなさいごの迎え方だと思います。





ところで、みなさんはこれまで友人や仲間との間で、一度くらいは「生まれ変わりを信じるか」という話をした経験をお持ちだと思います。


私はどう考えているかというと、信じているようないないようなという感じで、味気ないかもしれませんがどちらでもいいと思っているほうです。


ただ、生まれ変わりがあるなら、生まれ変わった世界がより良くなっているように、今できることをしておかないといけないでしょう。


反対に、生まれ変わりがないのなら、一度しかない人生なのだから、今できることをして世の中の役に立っておくことが自分が生まれてきた証になります。


これを「地球に引っかきキズをのこす」ということばで、表現されている方もいらっしゃいますよね。


というわけで、いずれにしても今をきちんと生きなければいけないことに変わりないわけですから、大切なのは自分の目の前にあるものにしっかり取り組むことだと私は思っています。





しあせなさいごというのは、きっとその積み重ねの先に待っているものではないかなと感じています。





「新年早々に、自分が亡くなる話なんて縁起でもない」なんて感じられた方もいらっしゃるでしょう。


私も、年中そのようなことを考えているわけではありません。


でも、日頃はそのようなことを意識せず毎日を送っているからこそ、新しい年の門出に、自分がどのように生き、どのように亡くなっていきたいかということを考えるのも一興ではないでしょうか。


だれもが迎えるさいごの時を想像することで、今生きている意味や価値が、よりはっきりするのではないかと思います。





「この世に生きているのは果たすべき役割があるから」という話を、これまで何度か見聞きしてきました。


そうだとすれば、おたがいに役割を与えられ、こうして新しい年明けを共に迎えられたというのはとてもめでたいことです。


そのように思って、おたがいに笑顔で新年のあいさつしてみてはいかがでしょう。





それでは、私からみなさんへ。


「あけましておめでとうございます」