手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

身体に合ったセルフケア

2016-10-19 09:04:59 | 治療についてのひとりごと
《Facebookの投稿より》

5年半前に腰痛の相談で一度だけ受診された方が、腰の痛みが治らないとのことで久しぶりにいらっしゃいました。

それにしても5年半もの間、腰痛は大丈夫だったのでしょうか?


「最初に教えてもらった、テニスボールでコリをほぐす体操。

あれを少し気になったときにやったら、すぐに良くなっていたんですよ。

でも今回はなかなか治らなくて(-_-;)」


お身体を拝見してみると悪い病気のサインはなく、問題となっていたところが前回とは違っていただけでした。

そこに手技療法を用いて痛みがなくなったことを確認し、新たなセルフケアをアドバイス。

きちんとケアをされる方だったので、その他にも黄色信号になっているところの方法もいくつかお伝えして終了。

「それではまた5年半後に」とお話すると笑って帰られました。


今回のように、その方に合ったセルフケアができれば、長期にわたって上手くコントロールできるケースもあります。

反対に合っていなければ、せっかくがんばっても効果を挙げることができず、もったいないことになるケースも。

また、刺激の加え方が合わなくても効果が現れにくくなります。


ある方は、ふくらはぎがツリやすいので、がんばってストレッチをしていましたが、なかなか効きませんでした。

その方にとっての正解は、押さえてほぐすことでした。


ある方は肩こりが楽になるように、筋肉を押さえてほぐしていましたが効きません。

この方には、ストレッチして伸ばすことが有効でした。


またある方は腰を反った時の痛みを和らげるため、腰を押さえたりストレッチをされていたのですが良くなりません。

この方は、皮膚をつまんで動かすことで、痛みなく反れるようになりました。


押さえたり、ストレッチした時は良くても、すぐに腰痛がぶり返してしまう方がいました。

この方には、信頼できるトレーナーさんを紹介して適切なトレーニングを行い、鍛えることで良くなりました。


ほぐしたり鍛えたりしても、使い方を変えないと良くならないこともあるのですが、これを意識することもセルフケアのひとつでしょう。

そして何もしないことが、いちばんのケアになる時だってある。

このようにセルフケアは、自分の現在の状態に合った方法を用いる必要があります。


時々、あの方法は良くてあの方法は良くないという話を聞くことがありますが、それはあくまでふさわしい時とそうでない時がある、という話し。

いつでもどこでも正しく、いつでもどこでも間違っている方法というのはありません。

悪かったとしたら使い方が間違っていたということです。


子どもの頃、コーヒーに塩を入れてしまい吹き出したことがあったのですが、だからといって塩が悪いわけではありません。

砂糖と入れ間違えた私が悪い。

セルフケアも同じこと。

料理に応じた調味料を使うように、その時の状態に応じたセルフケアが必要なのですね。

2000の人生と仕事の深み

2016-10-05 07:54:21 | 治療についてのひとりごと
《Facebookより》
先日、カルテの枚数が2000枚を越えました。

開業して11年で、2000人の方がご来院。


でもこれは、数だけを表しているのではありません。

ひとつの人生との出会いが、2000あったということです。


はるか昔から命のバトンを受け継ぎ、今に至る人の生「人生」が2000も。

そしてこの出会いによって、もしかしたら未来が変わるかもしれない。

そう考えたら、一人で細々続けている小さな治療院ですが、やっていることは決して小さなことではありません。

きっとそれは、どんな仕事でも同じことでしょう。


「仕事に深みがある」という言葉があるけれど、きっとそれは単に知識や技術が優れているというだけではなく、

紡がれてきた人生の重みを実感として持ちつつ内に秘め、

外見上はその重さを感じさせない、軽快で自然な振る舞いのなかに出てくるものではないか。

そのように感じています。


深みが出るまでの道は遠いけど、だからこそ生涯をかける価値があるのでしょう。

私の場合は、身体にあらわれた人生の足跡を、手を通して紐解いていくことが仕事。

日ごろは「コリをほぐします」って言っているだけですけどねf(^^;

この仕事を通して、自分自身の人生も深めていくことができたらと思っています。