手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

初期症状で鑑別する難しさ

2017-07-05 20:00:37 | 治療についてのひとりごと
時々相談にみえる患者さん。

今回は、頭から首へのコリ感と鈍痛の訴えでいらっしゃいました。


首の動きはさほど支障なく、倒すとつっぱる程度。

拝見するとあちこちにコリがあって、身体も傾いています。

コリをほぐし、左右のバランスを回復させたら症状も落ちつきました。


ところが翌日には症状が再発し、しばらくすると発疹が出てきたとの連絡が入りました。

すぐに皮膚科へ受診されるよう勧めたところ、結果は帯状疱疹。

受診時を振り返れば、痛みもヒリヒリ、チクチクではなく、重くコッた感じ。

注意を要する安静時の症状ではあったけれど、強いものではなく、ふつうのコリでも起こり得る程度。

何か見落としていたところはないか?といろいろ考える。


ややこしいのは、治療によって症状が改善したということ。

改善しなければ「ナゼか?」を考えるけど、なまじ良くなるとその場での判断は難しい。


二千年前からある東洋医学の古典に

「病の生ずるは 極めて微 極めて精なり (黄帝内経 素問)」

という下りがあったと記憶しているけど、初期段階での鑑別は今も昔も難しいもの。


でも難しいながらも、何かしらのサインが出ていないか、常に注意してのぞむ姿勢は必要。

そして一度良くなった時に、それで身体を見切ったように思わないこと。

身体は常に変化するものだし、場合によっては腫瘍だったということもあり得るのだから。


だから評価というものは、常に暫定的なものという意識を忘れない。

改めてその大切さを思い知らされ、反省したケースでした。