前日は
郡山をふらふらしてから、
「奈良ひとまち大学」の講義を聞きましたが、本日は『白鳳三昧』の予定です。
まずは奈良博へ。
今期の出し物は『
開館120周年記念 白鳳-花ひらく仏教美術-』
やると知った時は、「別にいいか~見たことあるもの多いし」
とかとか思っていましたが…。
見た後では、「行ってよかった!!もう一回見たいくらい」
に変化。
それくらい良かったから、まだの方は是非奈良博へ!(9月23日までです)
★
8月23日(日)
朝は定番地でモーニングをいただき、イザ出陣。
東向き通りから興福寺を経て、奈良博へ向かうことに。
興福寺は工事中
建築中の金堂の上部には人影が…。
く~。
”中金堂再建工事現場特別見学”ってのが8月~9月中に開催されるのですが、
ワタシが気づいて電話をかけた時点では、すでに満員で参加できず。
完成するまでの間で、たぶん最後の公開だったと思うので、
あとは完成してお披露目をするのを待つだけですかね。
それまで待ちましょう。
登りたかったなあ
気を取り直して、奈良博へ。
のんびりしていたら、到着した時はすでに10時をまわってました。
入館の待ち行列は無く、中に入ってからも、そんなに混んでいなかったので、そこそこの混み具合。
日曜日でこの程度ですから、快適です。
例によって「空いているところから見る」「混んでいるところは後回し」をしつつ見学。
しょっぱなから「長谷寺のせん仏」とか、「野中寺の弥勒半跏思惟像」とか馴染みのものがずらりと。
「あ、こんにちは」「おひさしぶりです」って感じで安心して見ていけます。
まあ、一度は見たことあるしと思ってはいても、一堂に会するってのはそれなりにスゴイことで。
次第にテンション上がってきました。
「斎尾廃寺出土の螺髪片」が『タケノコの里』に見えたり、
「山田寺跡出土のせん仏」が『不二家のルックチョコレート』か、
はたまた『森永ダース』に似ているとか
くだらないことを思いつつ、あれこれ楽しみます。
そして、東新館の展示されている一番格の高い定番の場所=北東隅には、
とーぜんといっちゃ当然のように、興福寺国宝館のヌシ・旧山田寺仏頭さんが鎮座。
トーハクで「
あなたはどの仏頭がお好き?」とかっていう
度肝を抜くようなアンケートを思い出しましたが、
ワタシが好きな山田寺仏頭は、
正面向かって右側にずれた斜め45度からの眺めが一番好きだということを改めて確認。
最初は顔を注視して見ると、作ったようにキレイな左右対称だし(てか、作ったわけだが)
右の目も左の目も違わないし、右とか、左とか、そういうことなの?と思ったものの。
ぐるりと一周すると、判るんですよ、左右の姿の違いが。
人それぞれに、右からの横顔とか、左斜め45度とか、後頭部(?)とかとか
好きな角度があると思いますが、やはりワタシは右斜め45度
(ご本人の左顔を手前にした角度)からのお姿が一番好きです。
三べんまわって見比べて、どうしてその位置からが好きなのか判りました。
それは、向かって右斜めからのお顔(ご本人の左頬側)は、
それまでの波乱万丈を表しているからでした。
被災して焼け残った首から上の部分でも、損傷は免れず、
長い耳朶は半分で切れ、頭は落ちたときにひしゃげたのか陥没し、
人間だったら即死んでる(!)状態でも、
千年の命をいまだに生きていらっしゃるその生命力の強さに、
私は強く強く惹かれているんだと思います。
(まあ、人間だったら首ちょんぱになった瞬間に死んでるわなあ)
これが左斜め45度からのお姿だと頭頂部の損傷は見えるものの、
頭蓋骨陥没もなく、右のお耳も長いまま現存していますから、
右からの顔とは明らかに違うので。
アイドルでも、どちらから撮られるのが自分にとって一番きれいに写るか、
とかって研究しているようですが、
やっぱり仏頭さんは右からが一番好きだなあ。
これが再確認できたというのも、ぐるっと一周まわって眺められる展示方法だった
ことによるものなので、今回のお出ましも意義があったんだなあと。
(別に興福寺から奈良博まで来ていただかなくてもねーとか思っていたけど)
グルグル見学万歳だ。
そして、東新館の最後の方では、解体修理中の三重塔の水煙まで持ってきちゃってますよ。
あれ見たさに、時間ギリギリに滑り込んで、お写経までして見たっていうのに。
こんなところで再会できるなんて。
それはそれで嬉しいけど。
普段は肉眼では見えない天空にいる水煙が目の前にいて。
天女の衣が揺れている>風が起こっている>空から降ってくる
>笛を吹いている人がいる>その音楽が天界から降ってくる
素晴らしいなあ。
聖観世音さんもおでまし下さってます。
ワタシが日付さえ間違ってなければ、聖観世音さまの御身拭いを
できたのになあと、いまだにイジイジと足元を見るのであった。
黒光りして、相変わらず元気ハツラツに見えます。
そして、あらあら、月光さんはどこにいるんだろう?
今回の目玉のはずですよね。
西新館の最初の部屋を個室にして、独り占めでもしてもらっているのかなと思ったら、
東新館(最初に入った部屋)の中心部(心臓部)に、
ぐるっと回りこんだ”個室”を作ってもらって、
そこで一人(?)どーどーと立っておられました。
オオ、そんなとこにおったん?(笑)
まあ、白鳳ってんだから、薬師寺からもどなたかを…といわれたとき、
「ワシは出歩くわけにいかんし、脇侍を二人とも出すのは(場が)寂しいし、
ここは一つ、月光行ってきてくれんかいな?」とでもご本尊に言われたか(ははは)
「月光はん、お仕事でっせー」とボンさんたちに諭されたかで、
このたびは奈良博へおでましになられたよし。
トーハクでも背中のしょいもの(光背)を取り去って、
裸一貫(でもないか、菩薩だし、いろいろつけてるし)で「どこからでも来い!」
状態で立っておられる姿を、ぐーるぐーるとまわって眺めましたっけ。
やっぱり、この背中はいいなあ(笑)
トーハクでも、背中を見比べて
「日光よりも、月光の肉付きの方が好み」と断定したアタクシ(謎)
どうも、銅像だけど滲み出しているその性格というか、個性というかが、背中に出ていて、
日光に比べて幼いように感じられた(気がする)
その背中に「は・や・くかえりたいぃ!」とごねている子供のような台詞が透けて見えて、
ヨシヨシしてしまうのだな>月光さんって。
今回は目と鼻の先の奈良博までしか出張していませんが、
トーハクにお出ましだった時は、慣れない標準語が飛び交う会場で、
「早く帰りたい…(涙)」と本当に訴えている目をしておりました(ははは)
あなたのお出ましでまた、新しいお堂(食堂)が立つのですよ(オ~ホホホホ)
ドサ周り要員としてしっかり働いてや~。
西新館からは定番のコンパクトサイズの金銅仏が並び、
これぞ白鳳仏ってものが並びます。
西新館での目玉はやはり「伝橘夫人念持仏」の阿弥陀三尊・御厨子入り、かな。
今回は、厨子+阿弥陀三尊+床面の分解展示。
なかでも、床面の「蓮池」の素晴らしいことといったら!
なんなんだこりゃ!!って感じでした。
厨子の前に座って仏様を見上げたら、そんなところまで見えないだろうに。
それも素晴らしかったけど、新たな疑問が。
あの阿弥陀三尊像はあの穴にスポッと差し込むだけで立っているものなのか?
単体で展示されていた阿弥陀三尊像も、
展示用の白い板にスポっとはめられているだけなんだけど。
むふふ。
後屏の造形も素晴らしかった。
阿弥陀様の光背が取り付けられる予定の部分も、
隠れてしまう場所にも関わらず、しっかり作られているし。
その光背は後屏に針金状の”∞”で吊りつけられていたし。
丁寧に丁寧に作られていたんだなあと驚嘆。
会場内にたくさんの、
「童子形♪」
「杏仁形★」
「ほっぺ☆プクプク」
「相貌端厳(かおきらぎらし)」だ!
ビバ!白鳳仏!!
個人的には、
宇陀市「悟真寺」の誕生釈迦仏立像を見られたのが大ヒット。
お花見に宇陀へ行った時に行ったお寺でしたが、
桜もよかったが、お宝は見れなかったもんで。
ここで会えたが百年目(そんなに経ってないか)うれしかったなあ。
なんかそんなに時間がたったような気がしませんでしたが、
実に3時間も会場におりました。
会場を出たときはちょっとクラッとした心地よい疲れも(笑)
地下のミュージアムショップに行くと、300円以上お買い上げで、
元気が出る仏像マグネットをつくれるワークショップをやっているとの掲示。
うわ、やりたい!
慌てて図録を買って「やりたいんですが!!!」
やっている場所へ行って、レシートを見せれば参加できるとのことだったのですが…。
そこには、お子様がたくさん。
時節柄夏休みですので、夏休みの宿題としても最適であろう催しだったので、
「今、順番待ちになっております。しばらくお待ち下さい」とのこと。
仕方ないので、地下の連絡通路の展示物など眺めながら、待つこと30分ほど。
ようやく、順番が来ました。
ワタシのイメージでは「
こんな感じのもの」のマグネットだったのですが、
実は型抜きした粘土(?)に、粘土を重ねて、デコパージュしたものに、
自分で両面テープのマグネットを貼り付けて作るというものでした。
簡単に言えば、粘土細工をして、裏に磁石を貼るというもの。
線描の仏像(阿修羅なんかいいかな~)って思っていたら、
おおまかなシルエットの型でベースを型抜きして、
そこに目鼻だの、飾りだのをつけていくのでした。
まさに粘土細工じゃん。
ああ~こんな作業するとは思わなかった(汗)
どれくらいぶりでしょ>こねこね作業。
最後まで納得できずに出来上がった作品はこちら
↓
※上の絵のようなマグネットが出来るのかと思っていた(汗)
うーん。造形能力ないなあ…あたくし。
自宅に戻って、本体のボンドが乾いてから、
裏面に磁石を貼って下さいねと言われて持ち帰ってきました。
で。
「白鳳」を見た方にはお勧めのスタンプラリーをやってましたので実行。
奈良博と、「興福寺」「薬師寺」「法隆寺」のいずれかの寺で二つのスタンプを集めると、
特別作成のチケットホルダー(チケットサイズのクリアファイル)がもらえるというので、
もちろん行きます!
奈良博を出て、次は当然のように、興福寺国宝館へ。
ここでスタンプがもらえるからですね(へへ)
素通りをすることが圧倒的に多い国宝館ですが、
今回はそんなこんなで入館することに。
中は当然のように「山田寺仏頭」はいらっしゃらないのだけど。
久しぶりに入った国宝館は、奈良博以上に混んでいました。
サクサクッと見て回り、仏頭さんは不在なものの、板彫り十二神将とか、
天燈・龍燈とかと再会して、受付でスタンプをゲット。
残るは薬師寺のみだ~。
(時間の関係で、法隆寺という選択肢はありませんでした)
なんか奈良博を満喫しすぎて、昼ごはんを食べるの忘れていた。
(というか、食べている暇がなかった。おなか鳴りっぱなしだったけど)
とりあえず昼ごはん>コムゴンでランチ
食べるそばから薬師寺へGO!
いつもは写経→参拝の順で伽藍を巡りますが、
本日はゆっくりしすぎて、写経をしている暇がありません。
時すでに、四時になろうとしてましたから(汗)
蓮の鉢がいっぱい
鐘楼のまわりには蓮の鉢が一杯あって、そろそろ蓮の花のシーズンは終わり。
それでも朝方に来たら、まだ花も咲いているみたいです。
(若干開いたままの花もありましたが)
とりあえず東院堂へ。
東院堂のヌシ、聖観世音さまはいらっしゃらないはずだけど(奈良博で会ってきてるし)。
そこには黒光りする、例のお姿がある。
おりょりょ?
そこにいらっしゃったのは…分身の術ではなく、ご分身がおわしました。
実は聖観世音さまも月光同様に、実は出張好きなのでした。
今年の
春からは仙台へ、それが終わると戻る間もなく奈良博へと、
出稼ぎ…もとい出開帳におでましだったのですね。
身軽な聖観音さまと、出たがり(?)の月光菩薩サマサマの働きで、
今日も薬師寺に槌音が響くのであった(ははは)
薬師寺も工事中(次は食堂だぜ!)
金堂と講堂を回って、それぞれのお堂の皆様にご挨拶。
もちろん金堂には月光さんの姿はなく。
月光さんが普段お立ちの場所には巨大スクリーンがかかっていて、
等身大の月光菩薩像が、在りし日のお姿で、掲示されていました(涙)
(って、死んでない!ってか、菩薩なんだから不死身だっ!)
とかとか思いながら、薬師さんに「月光はん頑張ってましたよ」とご報告。
日光さんにも「相方元気ですよ」とも教えてあげました。
とりあえず、金堂はさらっとお参りして、
例のスタンプを押してもらい、こちらで満願。
お約束どおり、
記念グッズ頂きましたよ。
講堂に詣でると、なにやら金堂と講堂の間に椅子が設置されてる。
どうやら、数日後に市川猿之助さんによる奉納舞踊が行われるようで。
そういえばさっき、奈良博でもらってきたリーフレットにあったなあとゴソゴソ。
「吉野山」と「連獅子」を奉納するらしい。
お席はS席12000円!
パイプ椅子&屋外だけど、結構よいお値段するのね(汗)
そうこうしているうちに、お堂はどんどん閉店モードに。
おあかし消したり、扉を閉めたり。
(お寺は閉門準備が早いんですよ)
そういえば、東院堂なんて、さっき参ったときに、四時過ぎになった段階で、
堂内の扉を開け放していたものを、全部閉めにかかっていたし…。
ではそろそろおいとましましょうかね。
午後五時に西ノ京駅から電車に乗って帰宅の途につきました。
は~。
今年は平成27年なんだけど、
気分は一日奈良時代な日でございました。