奈良大好き☆お勉強日記

奈良大学文学部文化財歴史学科(通信教育部)卒&奈良まほろばソムリエ検定のソムリエを取得したヒトの色々な勉強の日記です♪

奈良大恐るべし

2017年03月05日 | 奈良大学お勉強日記
すでに旧聞に属するハナシかもしれないけど…。

なんちゃら鑑定団(をい)で「すわ!国宝級のお宝現る!」と紹介された茶碗が、
実はつい最近つくられた偽物なんじゃね?
という『事件』がありましたが。

「それホントなん?」ということで奈良大が一肌脱いだ(?)そうです。

”美術品等の鑑定をおこなうテレビ番組で、“国宝級”と鑑定された茶碗。

その後、「あんなものは真っ赤なニセモノだ」という人たちが現れ、
ネット上では真贋論争が盛んに行われているようです。

この茶碗の所有者から、本当にニセモノだと言っている人たちが言うような
モノなのか調べることができないかとの相談を持ちかけられました。
話を聞く中で、ニセモノだと言っている人たちは実物をまったく見ずに
言っていることを知り、文化財調査の原則である、
自分の目で実物を観ることがないまま真贋を云々することに疑問を感じました。

そこで、本学に設置されている対象を傷つけることなく文化財に含まれる
元素を知ることができる「蛍光X線分析装置」を使って、
ニセモノと主張する人たちが言うような発色させるための
釉薬(うわぐすり)が使われているのかを確認しました。

その結果は、発色の原因と考えられるような元素は検出されず、
赤、青、緑、白(黄)、黒のどの色に見える部分も含まれる元素には
大きな違いがないことが分かりました。

http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/02/2017_14882573150769.html

このことで、この茶碗がホンモノであることは証明できませんが、
ニセモノだと言う人達が主張しているようなモノではないことは確実になりました。

文化財学科では、「現地現物主義」という考え方を
大きな柱として日々教育を行っています。

今回の例はほんの一例ですが、文化財の調査に臨む姿勢として、
何かを感じ取っていただければ幸いです。”

(→http://www.nara-u.ac.jp/faculty/let/cultural/news/2017/166)

※いつもは全文コピーはしないんだけど、今回はweb上の文章保存の意味で丸コピしてます。
ということで、以下も丸コピーします>出典も明らかにして。

この話、
発端は、テレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」

”鑑定番組で新たな曜変天目茶碗か 
テレ東の収録で発見 2016/12/20 22:13

鑑定番組で新たな曜変天目茶碗か 
テレ東の収録で発見
 テレビ東京は20日、鑑定番組「開運!なんでも鑑定団」の収録で、
世界に3点しかないとされる「曜変天目茶碗」とみられる陶器が、
新たに見つかったと発表した。現存する3点はいずれも国宝に指定されている。

 テレビ東京によると、徳島県のラーメン店経営の男性が番組に鑑定を依頼。
大工をしていた男性の曽祖父が、戦国武将・三好長慶の子孫が暮らす屋敷の
移築を請け負った際、買い受けた骨董品に交ざっていたらしい。
 20日夜に放送された番組で古美術鑑定家の中島誠之助さんが
「曜変天目に間違いない」とし、2500万円の鑑定額を付けた。”

(→http://www.topics.or.jp/worldNews/worldMain/2016/12/2016122001001980.html)

すわ!世紀の大発見!!!か?(東スポ風)
な話でしたが、「あれ偽物ちゃうん?」という声が上がったんだそうで。

「曜変天目茶碗」鑑定 
県人所有品に真贋論争 2017/1/27 14:20

テレビ東京の鑑定番組「開運!なんでも鑑定団」で、徳島市の50代の男性が所有する
陶器が世界で4点目の「曜変天目茶碗」と鑑定されたことを巡り、真贋論争が沸き起こっている。
一部の専門家は「鑑定は間違い」「どう見ても偽物」と指摘。
テレビ東京側は明確な回答を示しておらず、批判の声も上がっている。

 番組は昨年12月20日に放送された。男性は、曽祖父が徳島ゆかりの
戦国武将・三好長慶の子孫から購入したという陶器を出品し、曜変天目茶碗と鑑定された。

 番組では曜変天目茶碗と鑑定した理由として
▽陶器の高台や口縁部に中国で南宋時代(12~13世紀)に生産された特徴がある
▽高台に室町時代に将軍が使う食器に記された「供御」という文字が彫られている-
などを挙げた。古美術鑑定家の中島誠之助さんは2500万円の鑑定額を付けた。

 これに対し、専門家から異論が出ている。

 親子2代で70年にわたって曜変天目茶碗の再現や研究に取り組む
陶芸家・長江惣吉さん(54)=愛知県瀬戸市=は、男性所有の陶器は中国で作られる
模倣品と酷似した偽物だと結論付ける。その根拠として、陶器の外側に曜変天目にはない
斑紋があることを挙げ、内側の斑紋の色合いなどから18世紀以降に開発された
化学顔料が使われているとみる。

 沖縄県立芸術大の森達也教授(中国陶磁考古学)は「曜変天目には『供御』の文字が
記されたものは一つもない」と述べ、番組の鑑定結果を否定。
「男性所有の陶器は曜変天目である可能性が低い」と話す。

 一方、三好一族に詳しい四国大の須藤茂樹准教授(日本中近世史)は、
長慶の弟で茶人として知られ、勝瑞(藍住町勝瑞)を拠点とした実休(義賢)や、
一族の宗三(政長)らが曜変天目を所持していたことを文献史料(津田宗達「天王寺屋会記」など)
で確認できると指摘。「真贋については分からないが、三好氏の本拠である徳島に
曜変天目があった可能性はある」と言う。

 テレビ東京と番組の制作会社は徳島新聞の取材に「鑑定結果は番組独自の見解に基づく。
番組の制作過程はお答えできない」と回答した。インターネット上では
「テレビ東京は鑑定の経緯を説明する必要がある」などと、批判的な意見が上がっている。

 男性は「こんな騒動になるとは思わなかった。そっとしておいてほしい」と困惑している。
(→http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/01/2017_14854944555476.html)

で、その後、この男性は奈良大に成分分析を依頼した…と。

徳島市男性の「曜変茶碗」 
化学顔料ほぼ検出されず 2017/2/28 14:10

テレビ東京の鑑定番組「開運!なんでも鑑定団」で、徳島市の男性が所有する
陶器が世界で4点目の「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」と
鑑定され、真贋(しんがん)論争が起こっている問題で、
この陶器を奈良大が成分分析した結果、18世紀以降に開発された
化学顔料はほぼ検出されなかったことが27日、分かった。
番組での鑑定結果に異論を唱えていた専門家は、中国の模倣品と斑紋が酷似している
ことを理由に「化学顔料が使われている」と訴えていたが、その主張を覆す結果となった。

 陶器の成分分析は、所有する徳島市の男性(57)が
2月22日に奈良大の魚島純一教授(保存科学)に依頼した。

 魚島教授は、物質に含まれる元素を検出する蛍光X線分析装置を使い、
茶碗表面の色ごとにX線を当て、元素の種類と量を調べた。
その結果、アルミニウムなど10種類の元素が検出されたが、
化学顔料に使われる元素は発色に影響を与えない程度のごくわずかな量しか出なかった。

 魚島教授は「どの色にX線を照射しても、ほぼ同じ成分が検出され、
使われた釉薬(ゆうやく)は1種類とみられる。
この結果が出たことで偽物とは断定できなくなった」と話した。

 分析を依頼した男性は「科学的な根拠が持てて納得できた」と言っている。

 一方、陶器は化学顔料が使われた模倣品だと主張していた曜変天目研究家の
陶芸家・長江惣吉さん(54)=愛知県瀬戸市=は、今回の分析結果について
「これだけでは真贋は分からない。正確な分析に欠かせない器の洗浄が行われておらず、
分析方法に疑念も残る」と話した。

 沖縄県立芸術大の森達也教授(中国陶磁考古学)は「南宋時代(12~13世紀)の
中国・福建省で作られた陶器の成分と比較するなど、総合的な検証が必要。
今回の調査で本物とは判断できない」と話した。

 番組は昨年12月20日に放送され、男性は、曽祖父が戦国武将・三好長慶の子孫から
購入したという陶器を出品。曜変天目茶碗と鑑定され、専門家から異論が出ていた。
【写真説明】奈良大の装置で成分分析される男性所有の陶器(魚島教授提供)
(→http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/02/2017_14882573150769.html)

ちゅうことで、冒頭の奈良大の発言となったのだわね。

しかし、あの検査結果だけでは、偽物か本物かが決まったわけではない。

曜変天目研究家さんは『これだけでは真贋は分からない』とし、
芸術大の教授は『今回の調査で本物とは判断できない』と話したそうですが、
奈良大的にも『この結果が出たことで偽物とは断定できなくなった』とだけしか言ってない。

「絶対に偽物!」というのではなく、
『「絶対に偽物!」とは言い切れませんよ』という現状。

さ。
お次はどうなるんでしょうか。

しかしすごいなー>奈良大。
「蛍光X線分析装置」なんて持ってんだー(って、私が在校時からあったっけ?)
ブツはブツに語らせてナンボだかんなー。

話変わるけど。
天目茶碗なんてものはわたしの興味外にあるものなのですが。

『大工をしていた男性の曽祖父が、戦国武将・三好長慶の子孫が暮らす屋敷の
 移築を請け負った際、買い受けた骨董品に交ざっていたらしい。』

うーん。
売った骨董品に混じっていたって…二束三文、十把一絡げで売っちゃったってこと?
骨董品はよくわからないから、まとめ売りしたら、とんでもないものまで入っていたってこと?
そんなんで売り渡してしまった側の人の心境はいかに?(笑)

そして、三好長慶といえば、奈良検定のおべんきょうの途中で出会いましたっけ。

”1560(永禄3)年には、三好長慶(ながよし)の家臣松永久秀が大和に入り、
筒井氏を攻めて大和を平定し、1562年には奈良市街地の北に、多聞山城を築城した。
1567年三好三人衆といわれる長慶の家臣らが筒井順慶と結んで久秀と戦い、
このとき三好三人衆が陣取った東大寺大仏殿が戦火で焼け落ちた。
1568年には織田信長が京都に入り、久秀は一旦信長に従ったが、すぐに反して、
1577(天正5)年に、本拠の信貴山城(三郷町ほか)で滅ぼされた。”
奈良県の歴史散歩 上 奈良北部 奈良県高等学校教科等研究会歴史部会編 山川出版 2007

松永久秀といえば、信長に「平蜘蛛くれたら俺に歯向かったことチャラにしちゃる」
と言われて「やーなこった、お前にくれてやるくらいなら、爆発させちゃうもんね」と
それに火薬を詰めて、有言実行。
カレ自ら木っ端みじんになったとさ、というエピソードを思い出すけど…。
(マジなのか?!とは思っているけど)

そんなこんなで。
その時代の茶器というのは、現代ともまた違った価値があったんでしょうな。
件の茶器の真贋はともかく(とかゆうな)
三好長慶との決着はつけんといかんかなあ…。

いや、じぶん、その時代が苦手なもんだから。
奈良検定の勉強でも、なかなか深入りしてなかったもんだからして。

いやー、なんか奈良大学から宿題出されたような気分やわー。
(最初の話とはかけ離れた結論ですけど)
コメント (4)
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