Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

ホログラフィックストレージのInPhase、墜つ

2010-02-09 23:59:59 | Thinkings

 私はカセットテープのストレージは使ったことは無いんですが・・・。

 ここ20年くらいの間に、PCのリムーバブル・ストレージは劇的な進化を遂げました。FDDから、CD、DVDそして各種メモリーカードにBlu-Rayと、容量、速度共に天文学的な伸びを見せています。現在はインターネットの普及やHDDの容量単価の低下によって、データの保存や移動と言った用途はかなり限定的になってきたものの、コンテンツ販売の分野ではCD、DVD、Blu-Rayは第一線で活躍中です。

 このような華やかな、ある意味一時代を築いてきたストレージと比べ、パッとせずに記憶から消えていったストレージ群も当然存在します。例えば、日本では全くはやらなかったZIPや、後のDVD-RAMの礎となるPD、フロッピーディスクの上位互換であるスーパーディスク・・・MOはそこそこ普及しましたが、これらは一般ではまともに使われることもなく、市場からひっそりと退いていきました。
 もっとも、これらは「売られただけマシ」と言えるかも知れません。ホログラフィックストレージに比べれば。

ホログラフィックストレージのInPhase、税滞納で差し押さえ・廃業へ engadget

2000年にベル研究所からスピンオフしたInPhase Technologiesは、ディスク 1枚で数百GBからテラバイト単位の大容量を実現するホログラフィックストレージ技術の企業。数年前から試作品のデモと発売予告を繰り返しつつ、2008 年には一枚 300GBのカートリッジ入りディスクを使うアーカイブ向け製品 Tapestry 300r を年内出荷と発表しましたがやっぱり延期、結局市販されることのない幻のデバイスとなってしまいました

 ホログラフィックストレージは、その名の通り3次元像を保存できるホログラフィック技術を利用した、Blu-rayの次と期待されている技術です。実は、このInPhase社だけでなく、日立マクセルやGEなども研究していますので、最終的には日の目を見るときが来るかも知れません。

 ちなみに、今の段階で発表されていたInPhase社製品の仕様と言えば、容量は300GBと2008年4月当時、価格下落が激しかったHDDと比べても特にアドバンテージがあるわけではありません。肝心の価格も、ドライブが180万円、ディスク1枚1万8千円というべらぼうな価格。50年の長期保存をうたっていたものの、価格競争力は無いに等しく、結局お蔵入りになったまま会社自体が姿を消すことになりました。

 この先、ホログラフィックストレージが実際に市場へでることになったとしても、使用されるのは限定的なシチュエーションでしょうね。Blu-RayでもフルHDの動画を映画一本分きっちり記録できていますので、それ以上の容量を持つコンテンツ流通用メディアはしばらく必要ないでしょう。となると、最終的に残るのは、データの長期保存、保管用が妥当・・・一般向けではなかなか無い用途です。
 もし売るとして、ネックになるのはその値段でしょう。しかし、Blu-rayにしても価格は下落に転じ、今ではずいぶんとこなれてきていますので、一般向けの安価な製品が出回る可能性は十分あります。そのタイミングとして、フルHDコンテンツよりもさらに大容量が必要な映像規格の普及促進が上げられますけど・・・もしそうならば、まだずいぶんと先のようですね。