こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

誰にでもできることは誰からも求められない

2023年01月27日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
空は厚い雲によって覆われているが、放射冷却現象が起こらなかったのか気温は1度。
とはいえ、関東地方は午後には雪が降るかもしれないという予報だし、何よりお日様を拝めないというだけで心は冷たくなる。

大騒ぎしていた今月末締め切りの原稿だが、なんとか脱稿にこぎつけ昨晩ポストに押し込んだ。
心許ないところがないわけではないが、あとは校正で挽回しよう(編集者さん、ごめんなさい)。

仕事というのは不思議なもので、引き受ける時は簡単にできてしまうと思っている。
今度の原稿だって一応スペシャリストということで依頼があって、安易に引き受けたのだが、いざ着手したら大変な山が聳え立っていることに気がついた。
そう、着手した次の瞬間、そこには責任が生じる。
そして、仕事を全うするために、入念な準備が必要になる。
原稿の場合、その疾患の発症機序について調べ、発症機序の詳細を調べ、その詳細に出てくることを調べ、とキリがない。
もちろん、RNA干渉のことを勉強できたのは良かったが、それに1ヶ月を費やしてしまった。
だが、そのおかげで、なんとか体裁を保った文書になったように思う。

誰にでもできるようなことは、誰からも求められない。
そんなもの、自分でできる。

私だって、当たりの出るとわかっているスロット台になら一週間でも一ヶ月でもその前に座っているだろう。

関東を中心に各地で起こっている強盗事件の実行犯たちは日給100万円で集められたそうだ。
お金欲しさに、自分とその家族の個人情報を担保に仕事を引き受けたうえ、その仕事は犯罪。
犯罪は犯罪でしかなく、困難でもなんでもない。
何かを生み出すことが仕事であって、人のものを横取りすることは仕事とはなり得ない。
個人情報を渡した後になって後悔しても手遅れで、引き返す場所はなく、強盗に加担するしかなかったのだろう。
今回失われた個人情報は、それを得た犯罪者から別の犯罪者へと受け継がれ、そのことで本人のみならずその家族までが一生苦しむことになるであろうということはなんともやりきれない。

なんにしても、仕事をしてお金を得るということは大変な苦行だ。
絶対勝てるスロット台だって、一旦離れたらその権利が失われるとなったらどうだろう、死ぬまで座り続けていられるだろうか。

あんなに頑張ったのに見返りはたったこれだけ、と感じることは少なくないが、それがその仕事の価値なのだから仕方がない。
かといって、安易な仕事や犯罪に手を出すようなことは、今度は自分の尊厳をおとしめることになる。
仕事の価値をどこに見出すかは難しい。
日本人の給料が30年間上がっていないことが話題となっているが、これは日本でする仕事の価値が相対的に下落しているということかもしれない。
人材の海外流出が止まらない

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