ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『アルプススタンドのはしの方』

2020-08-16 15:49:17 | 邦画
ほぼ毎週行っている映画館なのに、予告も見ていない映画だった。なんとなく面白いという評判を耳にしたので、予備知識もほとんどなく行ったが、ホントに面白くて困った。まさかのダークホース映画ながら、今年一番かもしれない。

タイトル通り甲子園を舞台にした映画ながら、野球シーンは一切出てこない。甲子園のアルプススタンドのさらに端という限られた空間ながら、その会話劇はタランティーノ映画や『12人の怒れる男』と比べてもそん色ないと言ってもいいだろう。それでいて『桐島、部活やめるってよ』の要素も入っているかな。

私の母校はこの手の全国大会とは無縁だが、考えてみれば興味もない、ルールも知らないスポーツの応援に夏休みに駆り出せるなんてたまったもんではないよな。原作は高校教師作のようだが、ひょっとしたら、ここまでドラマ的でないにしろ結構リアルなアルプススタンドの端の再現なのかもしれない。

(多分)無名ながら役者の演技もすごく良かった。セリフにはない心の声もしっかり演技に出ていた。園田君の好きなものなんて知らないなんて言われた直後に、「TRAIN-TRAIN」が好きなんだよという言葉を聞いた宮下さんの顔、さっきまで自分と同じく野球に全く興味なかったのに急に熱くなりだした友人に戸惑いを見せる安田さんとか。
それでいてしっかり熱い青春展開も待っているから、キワモノ映画ではなく王道的な青春映画だと胸を張って薦められる。

ラストは原作にないらしく、ちょっと蛇足かなとも思えた。原作を観てないから何とも言えないが、ひょっとしたら差別化、映像化という点では悪くないのかも。というか、普通に舞台版も観たい。

終始変わらないのが、顧問の厚木先生。応援しない生徒を「反乱分子」呼ぶ姿はうざいが、いい先生なのだろう。しかし、出てきたのが綾鷹ではなく、お~いお茶だったのが悔やまれる。
茶道部の全国大会ってなんやねんと思い、気になって調べたが、そんなもんはないらしい。