『孤狼の血』

観るまでは『アウト・レイジ』的なものだと思っていたが、全然違う。あちらは突き抜けているのに対して、こちらは原作小説があるだけに、やはり文学作品の香りがする。原作者が女性だからと言っては失礼かもだが、泥臭さ、汚さが足りず、どこか模倣感は否めない。まあ、『アウトレイジ」が（いい意味で）バカ映画すぎるというだけかもしれないが。

他の映画と比べても仕方ないので、この映画について言及するが、普通に面白い。アウトローな刑事と生真面目な若い刑事というステレオタイプの組み合わせながら、新鮮味を感じるのは、やはり役所広司の存在が大きい。良くも悪くも。

役所広司側にも彼なりの信念があることは間違いない。だが、それは許されるものでなく、結果無残にも殺す潔さにはあっぱれ。やっぱり比べててしまうが、そこには武イズムを感じざるを得ない。警官だろうが、結局はぐれ者は真っ当に生きられないんだと。

しかし、広島大学出身て広島では相当なブランドなんじゃな。

『博士と彼女のセオリー』

ホーキング博士というと誰もが知っている偉大な物理学者だ。役者の演技にはケチのつけようがない素晴らしいものだが、物理学者としての掘り下げが圧倒的に足らず、平凡な物語に仕上がっているのが、とてももったいない。

ただ、ニュースや教科書でしか知らない偉人の素の面はとてもよく描けている。物理学者だろうが、車いすに乗ってようが、結局は一人の人間には違いはないのだ。
前述した通り、物理学者としての描写は物足りないが、一人の人間の恋愛模様としては面白い。まあ、どうせ物理云々言ったって大半の人が理解できないのだから、限られた尺の中ではそっちに焦点を当てたのは正解かもしれないかな。

実話を基にしているが、中々に見応えのある大人の恋愛模様であった。

ニューシャトル

埼玉県さいたま市
35.918896, 139.617836