ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『ジャンキー』 ウィリアム・バロウズ

2017-08-13 23:06:49 | 
『裸のランチ』とどっちを先に手を出すか悩んだが、こちらの方が読みやすそうなのでランチは後回し。映画の方もまだ観てないしね。

これまでも麻薬に関する作品なんかには触れてきたが、この小説はそれらとは一味違う。それまでの作品はドラッグを使用することに対して得意になっているというか、イキっているようなものばかり。この作品は本物の「ジャンキー」が描いた作品で、非常に乾いた、淡々とした描写が続いている。作中にもあるが、ドラッグの使用は別に特別なことではなく、歯を磨くことのように日常の一部になっているのがうなずける。
あくまでジャンキーの生活を描写したものであり、そこにドラッグへの賛美や反対といった感情が一切入っていないのが実に好印象。それでいて読みやすいのも高ポイント。

今でこそ刺激的な作品はそこいらにあふれているが、当時としてはものすごくセンセーショナルだったのではないかと思う。というか今読んでも非常に生々しさが伝わってきてショッキング。これは映像では味わえない小説ならではの体験だと思うと嬉しくなる。

自分の中ではフェイバリット作品にはなったが、人にはお勧めしにくい(読書の話なんか他人とはしないが)。ただ、やはりルー・リードの音楽との相性はよさそうだ。