ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『MANIJU』 佐野元春

2017-08-05 21:09:20 | 邦楽


先行で「純恋」が配信されていたけど、佐野君髪をバッサリ切っていたね。ポール・ウェラーみたいでカッコいいけど、曲の方は?だった。
それでも聴きこめば良さがわかるだろうと、発売してからずっと聴いていたが、今作は佐野元春で一番の駄作と決定した。

まず、一番に言いたいのは「詞」について。曲のタイトルだけ見ても佐野元春っぽさは皆無。自分は佐野元春はサウンドが好きで詞はに対しては思い入れはそんなにない。それでもときたま心にささるフレーズはある。今作は「詞」というよりは「詩」である。ただ、それっぽい単語を並べているけど、頭に、心に染み入ってこない。
また、サウンドもパッとしない。コヨーテバンドの演奏を否定したくはないけど、佐野元春にとって彼らのギターサウンドは若すぎる。キャッチ―さも口ずさみたくなる曲もないうえにサウンドが詞を、詞がサウンドを限定しているような感じ。もっと自由に肩の力を抜いてくださいって言いたくなる。

好きなミュージシャンだからなんとかいいとこ見つけようと頑張ってはみたけど、今作はホントにダメ。思わず口直しに過去の音源や映像を振り返ってしまったよ。『COYOTE』や『ZOOEY』で新たな境地に入って期待していたのだけど、次作を買うのも怖くなる。

ところでタイトルの「マニジュ」ってどういう意味でしょうか。

『言の葉の庭』

2017-08-05 21:08:31 | 邦画
なんだかんだで『君の名は。』は楽しんでしまったが、やはりあの一作はラッキーパンチだったのかな。この気持ち悪さ、自分に酔っている作風でこその新海誠ではないか。

終始こんな奴いないだろうとイライラして観ていたが、中編なのがまだ救いであった。これ2時間だったらキツイな。画に書いたようなナヨナヨのセカイ系だ。
ただ、前々から薄々は思っていたけど、作画はもの凄くきれいだ。細かい水の描写なんかもとても美しい。もう、登場人物、セリフ無しで2時間くらい延々東京の街を描いてほしいな。

『勝手に生きろ!』 チャールズ・ブコウスキー

2017-08-05 21:00:39 | 
ここまで来ると非常に清々しい。特に物語の核となるようなエピソードがあるわけでもなく、ひたすら酒を飲む、女と寝る、職に就く、クビになるの繰り返し。本の表紙が映画で主人公を演じたマット・ディロンだが、著者の人となりがよくわかる一冊だった。

前述した通り、ひたすら酒と女の小説。変な言い方だが、アメリカンドリームとは対極にあるアメリカンドリームの生活って感じ。また、ページ数もさほど多くなく、章の区切りも短くテンポよく気楽に読めるのが良い。昼間に読むというよりは夜に酒を飲みながら、音楽界の酔いどれ詩人トム・ウェイツをBGMに本をめくっていきたい。自分は昼間に一気に読んでしまったけどね。

世の中には就活性のために様々な本があるが、自分はそれらのどの本よりもこの一冊をすすめたい。どんな美辞麗句も主人公チナスキーの前には霞んでしまう。型にはまらず自分の欲望のままに生きていくことがどんなに素晴らしいことか。彼の生き様は教師にも反面教師にもなり得るが、結局はタイトルにある言葉通りだ。

『リミットレス』

2017-08-05 21:00:22 | 洋画
面白いことは面白いのだけど、予想していたのとはちょっと違う展開。もっと薬を利用した頭脳戦かと思ったら、薬の奪い合いになっちゃった。あのヒロインがピントをどう脱出するのかワクワクしていたらまさかのスケート靴で笑ってしまった。ピンチは脱しているけど、賢くなった結果があれか。
頭脳戦の映画でありながら、観ているこっちは頭使わなくていいのは非常にポイントが高い。が、もうちょっと作りようがあったのではとも思えてもしまう惜しい作品であった。

『ライ麦畑でつかまえて』 J・D・サリンジャー

2017-08-05 20:59:47 | 
映画『陰謀のセオリー』でこの本を知って、渋谷の本屋に買いに行って読み終えて大人になったような気がしたのが高校生の時。何度か読んだけど、読もうとするたびこの本を嫌いになっていたらどうしようかとドキドキするが、何度読んでも素晴らしい名作で安心する。

人に言うのはなんだか恥ずかしいけど、一番好きな小説で本棚にあるだけで安心する。好きすぎて原文でも読んでしまったくらいなのはこの本くらい。
何度読んでも主人公のホールデンがクズすぎて好きになれない。自分のことは棚に上げてどんなこと、どんな人に対してもインチキだのなんだのとケチをつけてばかり。そのくせ弟と妹には超溺愛で。「俺はこんな奴とは違う」とは思っていても、ホールデンの気持ちがわかってしまうのが、この小説の辛いところ。自分は別に不良でもないし、退学もしたことはないけど同じスピリットを持っているんだなと思ってしまう。ああ、こんなこと書いていて恥ずかしくなってくる。

大人と子供の間の難しい時期をここまで赤裸々に 描いた本はないだろう。国や時代を越えてこの小説が愛されるのはそこにある悩みが不変だからなんだろうな。

浜田省吾の「反抗期」を聴くたびにこの小説が連想されるんだよな。この小説を下敷きにしたのではと自分では勝手に思っている。

酔いつぶれた町深夜喫茶午前4時
誰かにさよなら言おうと電話の前
だけど誰ひとり思い浮かばない
寒いほど一人ティーンエイジブルー


何年か前にサリンジャーがなくなったとき佐野元春が自分のラジオ番組で彼の死に触れ「ロックンロール・ナイト」を流した。言われてみればニューヨークの香りがするような気がする。

たったひとつの夢が今この街の陰に横たわる
でも今夜は思いっきりルーズにみじめに汚れた世界の窓の外で
すべてのギブ&テイクのゲームにサヨナラするのさ