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ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『二都物語』チャールズ・ディケンズ

2023-04-12 20:50:37 | 
 

旅行中に持っていた本が尽きたので岡山駅の本屋を物色したが、めぼしいものが見当たらない。そこで手にとったのがこの本。いつかは読みたいとは思っていたが、優先度は低い。しかし、他にないのでこれでいいやと購入した。

どうしても唯一読んだことのあるディケンズ作品の『大いなる遺産』と比較してしまいたくなる。あちらが冒険活劇、マンガ的というのに対し、こちらはもうちょいドラマ性があり、文学的である。

二都であるフランスとイギリスを舞台に壮大な物語は読み応えがある。その中で革命に巻き込まれる登場人物と男女の恋愛を見事に描いている。
ただ、これは私の能力の問題でもあるが、ちょくちょく人物が誰かわからなくなる。

面白い作品であることは間違いないが、読み込みが足りず、物語の奥底まで楽しめたとは言えない。時間を置いて再読したいな(そう言っていつも読まないが)。

『片隅の人生』 モーム

2023-03-19 22:25:56 | 


モームは短編の名手なんて言うけど、私はやっぱり長編の方が断然好きだな。まあ、モームに限ったことではないけど。

そんなに期待して読み始めたわけではないけど、これが結構面白くて嬉しい。
物語は中国に住むイギリス人の医者がひょんなことから航海に出て色んな人と出会ってというものだが、そんな単純なお話では終わらないのがモームだ。

登場人物もキャラクター的に面白く、年老いた医師と若者たちとの対比もいい。医師を通してモームの哲学を感じ取れるのもいいし、青年の謎が明らかになっていくのもエンタメ的で非常に面白い。もちろんお得意のNTR要素もある。

旅行中に読んだが、車窓そっちのけで夢中になった。もっと早くに読めばよかったと思える一冊だった。

『掃除婦のための手引書』 ルシア・ベルリン

2023-03-18 17:39:50 | 


表紙の女性が素敵だが、これはモデルとかではなく作者なんだって。
実はあまり積極的に読みたいとは思わなかったが、話題にはなっていたのでとりあえず読んでみることに。

伝わるかわからないが、どんな作品かと聞かれたら「映像化したら恵比寿ガープレの映画館で上映しそう」と答えたい。あと、『オリーヴ・キタリッジの生活』が好きなら気にいるかも。

一編の長さはどれも短め。ストーリーというよりは生活感のある会話を楽しむといった感じで、その会話もテンポがよく軽妙だ。だからこそ私にとっては苦手というのはあるかもしれない。たくさんの話が収録されていたが、私にはどれもピンとこなかったな。悔しい。

『タタール人の砂漠』 ブッツァーティ

2023-03-15 22:10:18 | 


アマゾンのお気に入りに入れていたら、ある日在庫が切れていたので慌てて買った。すぐに在庫ありにはなったが、誰か忘れたが有名な作家がSNSだかで話題に出していたらしい。

一言で言うと「虚無」を感じる作品であった。
活躍を夢見る若い軍人が赴任したのは誰も攻めてこない重要度ゼロの砦。砂漠という何もない空間で何も起きないのが不思議とドラマ性を感じさせる。この本に「幻想的」という評価がついているが、私もそれは感じることができる。が、何が幻想的なのかはわからない。

本来は自分たちを守るはずの砦が、自分たちを囚え続けているのは不条理かもしれない。



『パニック・裸の王様』 開高 健

2023-03-01 21:54:32 | 


開高健というと賞の名前にもなっているくらいで、ノンフィクション作家というイメージしかなかった。なので自分にとっては芥川賞を受賞しているというのは意外であった。文学好きには周知の事実なのだろうけど。

私は本を選ぶときに「芥川賞」をキーワードにすることはないが、今まで読んだ作品でピンときたものはあまりない。
そんな純文学と相性の悪い私だからこの本も特に思い入れはない。ただ、全編を通して作者の俯瞰的な視点を感じた。役人や大企業、そして教育といった組織等のあり方にメスを入れている様は、ノンフィクション作家ならではとこじつけながら思える。

「パニック」では大量のネズミが入水自殺して物語は終わる。どこかで似たような話を聞いたことがあるし、てっきりネズミにそういう習性があるのかと思ったが、それはガセらしい。
で、そのガセの元がディズニーのドキュメンタリー映画という。あのディズニーがネズミをやらせで殺しているとか面白すぎる。