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ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『一号線を北上せよ』 沢木耕太郎

2024-05-26 19:22:21 | 


2000年くらいに出た沢木氏のベトナム旅行の本。深夜特急同様にバスを使って移動して安宿に泊まってというテイストは同じなのだが、やはり20代の時とは違って旅慣れしている感が出てきている。
しかし、そこにがっかりするのではなく、若かりし頃と今とでは誰しも違うのだから、その差異を楽しみましょうよ。本も我々の現実も。

本としては面白いけど、これ読んでベトナムにそんなには惹かれなかったな。なぜかはわからんが。

『城』 カフカ

2024-05-06 21:16:10 | 


カフカという人は長編は3作しかなく、そのどれもが未完で終わっている。今作は600ページ以上もありながら未完というのは読み手としてはもやもやする。

読むまで代表作の『変身』や『訴訟』のようなシュルレアリスムともとれる不条理さに満ちた作品なのかと思った。測量士として呼ばれたのに測量士としての仕事は一切せず、城に翻弄される主人公は不条理ともとれるが、それぞれのキャラクターとその背景が面白い。ひょんなことから村八分にされた一家の話は切なくも生々しくて好き。

とはいえ全部が全部いいわけではなく、結構ダラダラした会話部分も多い。そして前述の通り謎が謎のまま終わるというのは最悪。最後の最後でお内儀との意味ありげな会話が繰り広げられるが気になりすぎる。




『ギリシア神話』 中村善也・中務哲郎

2024-05-04 23:04:58 | 


色々あって投稿できないでいたが、一応生きていたし本も読んでいたし、浜田省吾とジェームズ・テイラーのライブも観たし、ちい活もしている。映画は全然観ていないが。

生きているうちに『ユリシーズ』は読んでみたいが、長いし難しそう。それに読む前にホメロスも読んでおきたい。その前哨戦という意味も含めて、教養を深める意味でも岩波ジュニア新書でギリシア神話について学んでみようと思う。

ギリシア神話に関しては私も含めてゼウスだとか、ポセイドンだとかメドゥーサとかいう名前とミノタウロスの迷宮やパンドラの箱のエピソードをなんとなく知っている程度だろう。
世代ではないが、ビックリマンの主要人物になるくらいのゼウスだからギリシア神話とはさぞかし高尚で幻想的なのかと思ったら全然そんなことはない。登場人物は全員畜生だらけで。強姦、近親相姦、家族間での殺しといったエピソードだらけである。中でもゼウスは特にひどく、愛人作りまくりだし、娘をさらって結婚するだとか外道すぎる。

しかしながら、エピソードの多くは現代の創作に通ずるところが多い。よく、演劇やる人や創作する人は、あらゆる元ネタであるシェイクスピアを読めというが、ギリシア神話においても同じことを言えそう。
また、哲学、星座、絵画にも関係していたりとギリシア神話を知っていると様々な場面で楽しみ方が増えそうだ。

この本はギリシア神話の登場人物やエピソード抜粋をしながら、統括的に説明しており全貌がつかめるという点でいい本であった。

『昔も今も』 モーム

2023-05-01 22:43:07 | 


モームの作品だから読んだが、苦手な歴史物なので手が出せないでいた。
主人公はマキャベリだが、聞き覚えがある。調べると『君主論』を書いた人だ。

歴史物なので堅い話なのかと思ったが、そこはモームなのでユーモアに溢れている。基本は外交官としてのマキャベリを描いているが、小説的に美化してはいない人間臭さがある。出会った女性をなんとか抱こうと色々策を講じる姿は笑えるし、そのオチもいい。

どこまで史実に忠実なのかわからない…というか脚色もだいぶ入っていそうだが、普通に面白い一冊であった。予備知識無しでも読める。
歴史的なことはわからないし、登場人物の名前も覚えにくいが、読んでよかった。

『少年法入門』 廣瀬健二

2023-04-26 22:47:32 | 


ヤフーニュースのコメント読んでいると少年犯罪が起きると必ず「厳罰化しろ」とある。感情論としてはわかるが果たしてそれが正しいのか。
ということでこの本を読んでみた。

まず大前提として少年という特性を考えなくてはいけない。少年というのは大人と比べて未熟であり、犯罪を犯すも環境の影響も大きい。また可塑性もあるため教育効果も高い分更生のことも考えなければいけない。

未成年が犯罪を犯すと即刻少年院送りかと思ったが、必ずしもそうではなく、必要に応じて教育を施している。逆に言うと厳罰化すると必要な教育が受けられないということになる。以前読んだ『ケーキの切れない非行少年たち』にもあったが、そもそも自分の犯した罪を理解できない、反省ができないという少年がいる。そういうことを鑑みると少年法の必要性がわかってくる。

少年法の入門書としては十分な一冊だと思う。
明確な答えがないことだからこそ、感情論を振りかざすことなく、学んでいくことが大切だ。