ちょっと前の記事だが、日立製作所出身の松原友夫氏の「日本のソフトウェア産業・衰退の真因」というITProの記事がある。この中で、世代の断絶のくだりがある。ホストコンピュータからクライアントサーバへの移行の過程で、技術継承されないまま人が入れ替わってしまったのだ。
ソフトウェアに従事する人たちはきわめて保守的である。問題が発生すると真っ先に槍玉に挙げられるので、すべてにおいて慎重になる。そのため、パソコンが出てきた1970年代の後半から数年間、企業の基幹業務を担ってきたエンジニアたちは、パソコンを見て、「あんな危なっかしいものどうやって使ったらいいのか分からない」と言って、遠巻きにして腕組みして見ているだけだった。その間にパソコン業界が立ち上がってしまった。さまざまなパッケージソフトも生れた。しかし業界を立ち上げた人たちは、過去のソフトウェアエンジニアリング資産をまったくといっていいほど継承せず、子供のように(実際子供だった)喜々として好き勝手にソフトを開発しビジネスを立ち上げてきた。私は、実はその扇動者だった。大いに反省している。もっと先達に学ぶべきだと言うべきだった。
Biz/Browserを普及させることは、私にとって、遅ればせながら遣り残した仕事をしているという面がある。Biz/Browserを使えば、ホストコンピュータの資産をWeb画面から操作できるからだ。イトーキの事例が典型だ。しかも、クライアントサーバ時代に培った、あの卓越した操作性の画面と同等のものにできる。
断絶した世代間の人と技術を繋ぎたい。それが私が勝手に自分に課した課題であり、Biz/Browserによって少しずつそれが出来てきているのが、なんともうれしい。