ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

第13回リーディング会

2018年01月09日 | 演劇
2013年に戯曲セミナーという講座を受講した。

文字通り、戯曲の書き方を学ぶ講座で、大半の受講者は本気の人たちだった。

私はというと、ちょっとした勘違いからまぎれこんでしまったフトドキモノで、
肩身の狭い思いをしながらも、周囲の皆さんの温かさに甘え、
なんとか終了まで休むことなく通うことが出来た。

この時のお仲間の皆さんは、セミナー終了後も色々な形で活動を続けている。

そもそも劇団に所属している方も多かったし、
色々な戯曲賞に応募したり、作品を劇団に提供したり、
仕事を持っている方たちも精力的に作品を作り続けている。

私は・・・
観る専門だ・・・。なんだか申し訳ない。

で、この時の受講者の皆さんは作品を持ち寄り、
リーディングの会を年に3回くらいに開催している。
なんと今回で13回目になるそうだ。
すばらしい継続力。

これから上演を考えている作品、書いてる途中の作品、すでに上演した作品など、
持ち寄った戯曲を参加者が読み合わせ、ブラッシュアップする。

幹事は持ち回り。
会場は極力お金がかからない公民館など。

最近では、メンバーの知り合いや別の年度のセミナー受講生、
メンバーが所属する劇団の俳優さん、など参加者が増え、
俳優さんが読んでくれるのでとても本格的になり、ますます楽しい。

ホントに観るだけで、向上心のかけらも無い私にも声をかけてくださるので、
ついついお言葉に甘えて出かけて行ってしまう。

今回の会場は池袋。
会の重鎮で、メンバーの中では最年長の税理士さんの事務所をお借りする。

池袋の駅からほど近い、抜群の立地。
事務所として借りているマンションの2室のうちの1室、
ご自身が使っている所長室を解放してくださった。

すばらしい

今回は3作品。

1作目は「最果てのさようなら」

長い戦争が続く荒廃した地球が舞台の壮大なストーリー。
15分くらいの短編だけれど、長編にしてみようと書き始めた途中らしい。

作者は若い女性で、唐十郎さんのファン。

いつも、何とも言えない幻想的な作品を持ってきてくれる。
独特の世界観だ。

いつも思うけれど、登場人物のネーミングが秀逸。

今回は色々な過去を背負った色々な国の兵士が半ば強制的に寄せ集められているのだが、
「マエカラウソ」とか「カラッポノソラ」、「ハジメハイッポ」・・・など
名前に使おうとは思わないような言葉たちだ。

それぞれに重いエピソードがありそうで、
これで集まって冒険に出かけたら「ワンピース」になっちゃうけれど、
どうやらそんな明るい未来はなさそうだ。

2作目は「テンに降っては」

人が亡くなった時、あの世とこの世の間にある世界に一度立ち寄る、的なお話。
作者の30代男性は、この作品を5月に上演する予定。

その台本の一部分を今回発表して、ブラッシュアップしようとしている。

彼の作品には死後の世界と天使がよく登場する気がする。

独特のちょっと斜に構えたような、おしゃれなセリフ回し。

今回は本当にごく一部だったので、今一つ内容がつかみきれなかったけれど、
5月の公演が楽しみだ。

3作目は「引力」

これは昨年末にすでに上演された作品とのこと。
3本のオムニバスの中の1本だそう。

こちらは20代の女性の作品。

実在の人物の人格と記憶が完璧にインストールされたヒューマノイドを巡るお話。

すでに上演されただけあって、完璧な仕上がりだ。
大切に思う女性科学者に自らのヒューマノイドを造らせて、
身ごもった彼女のそばに自分の代わりにヒューマノイドを置く、と言う身勝手な男。
でも本当の想いは・・・、と言うのはこの1本だけではわからないが、
作者ご本人の解説のおかげで、切ないストーリーが伝わってくる。
AIは日々学習するため、彼の言いそうなこと考えそうなことを再現し、
周りの人は最初ヒューマノイドだってことも気づかない。
見た目と中身は完全に愛する人だけど、ボディは無機物ってどんな感覚なのだろう、
などと想像をめぐらす。


ボディは人間だけれど、中身がまるっきり別人のようになってしまった人を知っているが、
そばにいるならどちらがいいのだろう、などと思ってみたりもする。

それぞれ、1作終わるごとに、感想や意見を言って、作者はそれを参考に、次のステップに進んでいく。

公演を観るのとはちょっと違った不思議な楽しさがあって、やめられない。

すべてのリーディングが終わったら、重鎮が18時に予約しておいてくれた、近くのお蕎麦屋さんに移動。



彼の行きつけだというこのお店は本当は18時閉店なのだが、私達のために開けておいてくれたらしい。

家庭料理のような懐かしい味の出し巻きタマゴやカツ煮、唐揚げ・・・など次々とお料理が運ばれてくる。
どれもとても美味しい

焼酎の蕎麦湯割なんていうのを飲んでる人もいる。

先ほどの作品の話しや、それぞれの近況など話は尽きないが、
なにせお店の閉店時間はとっくに過ぎているので、
2時間ほどで最後にそれぞれの好きなお蕎麦を作ってもらい、解散となる。

一人2000円、って夢のようにリーズナブル
お腹いっぱいなのに、お酒だってみんなそこそこ飲んだのに。
なんだか申し訳ない。


この日は成人の日。

新成人が今頃ちょっと粋がって同窓会などやっているであろうこの時、
相当大人の私達は大人ならではの楽しいひとときを過ごしている。

年齢も環境も違う大人がこんな風に共通の楽しみのもとで集まる機会ってなかなかない。

迷い込んでしまったように参加したセミナーだったけれど、
こんな幸せな時間が後に待っていようとは、夢にも思わなかった。

この先もこの会が続いていくならば、できる限り参加させていただきたい。

作家にはとてもとてもなれないけれど・・・。

皆さん、楽しい時間をありがとうございました。
また次回お会いできるのを楽しみに

















コメント
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