FORZA世界史inBLOG

世界史の復習をサポートするブログです

女性と社会との関係

2018年07月11日 | 高3用 授業内容をもう一度

 農業社会の方が19世紀以降の工業化社会よりも女性の地位は高かったと考えられます。農業社会において女性も男性同様に生産者という立場にあったことがその理由です。工業社会における女性は、家庭に入り、家庭を守る存在になり、生産者という立場から消費者の立場に変化しました。

 20世紀に入って、そのような女性の地位を第1次世界大戦が変化させたわけです。それがいわゆる「総力戦」という戦争の特徴でしょう。銃後を守る女性は再び生産者の立場に戻ることになったといえます。

 第2次世界大戦後、それぞれの家庭が扱える金額が大きくなりました。社会全体が豊かになった結果、家庭の収入が増加し、大家族で生活を維持する必要がなくなった結果、核家族化が進みました。しかし、その核家族化により女性の地位はまた家庭に縛られるようになります。社会が女性を受け入れるために必要な託児所の整備、介護制度の整備などが遅れていたためです。

 近年、女性の社会進出は急務になっています。少子化による男性労働人口が減少したため、女性労働に社会が依存する必要があるからです。しかし、このことを女性と社会との関係で考えるとき、果たして女性は本当に家事労働から解放されたといえるのでしょうか。女性の社会的進出を可能にした社会制度の改革は、じつは同じ女性によって担われているわけです。託児所で子供を預かっているのは、多くの場合女性の労働に支えられています。同様に老人の介護やヘルパーの仕事の多くも、女性労働に頼っているのが現実です。

 このように考えると、果たして「女性」の社会的地位は向上したといえるのでしょうか。


最新の画像もっと見る