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ジョン=ロックの「抵抗権」

2020年04月26日 | 高3用 授業内容をもう一度
ジョン=ロックは「同意」に基づいて政府が成立していると考えました。「同意」に基づいて成立している政府にはどのような力があるのでしょうか。
ロックによれば、人々は「自然状態」から離れて政府を作ったのは「自然状態」には不都合が生じるからだと考えます。「自然状態」で「自然法」が犯されたとき、人々は自分自身で問題を解決しなければならなくなる。そのとき人々は冷静に問題を処理できないので、第3者に影響するなどといった過剰に反応してしまう。そのため「自然状態」を維持することが難しくなる。

そこで人々は不都合が生じてしまう「自然状態」から脱するために「同意」をする。同じようにに考える人々と「同意」するわけです。人々は「自然権」を放棄して多数決に「同意」し、政府を作ることに「同意」します。しかし、たとえ民主主義的解決法や政府の立法権に「同意」したとしても、人々が「自然権」を失ったり無効になったわけではありません。なぜなら「自然権」は与えたり奪われたしできるものではない「不可譲の権利」だからです。政府も人々の持つ「生命・財産・自由」を侵害することはできないのだ、と考えます。

「自然権」を人々が放棄したわけではない以上、「同意」によって成立した政府も制約を受けるという考え方が成立します。これがアメリカ独立宣言に生かされた考え方、すなわち「抵抗権」の由来です。

ロックは、政府は人々の「所有権」を奪うことはできない。なぜなら人々の「所有権」を守ることが政府の目的であり、ひとびとは「財産権」を守るために「同意」して社会に入ったのである。ただし、政府が何らかの活動を行うには大きな負担が必要になる。そのため人々は政府を維持するための「割り当て」を自分の財産から支払うべきだともいっています。

アメリカ独立革命が「代表なくして課税なし」という言葉に象徴されるように、政府による課税はどこまで認められるのかという問題が残ります。ロックは課税には「本人たちによって選ばれた代表者によって与えられた多数派の「同意」が必要だといいます。

政府は人々が「自然状態」で持っている「財産権」を認めることが前提になります。しかし、実際の社会では、何を持って「財産」と認定し、何を持って「奪った」とするかを認定するのも政府です。

実際の社会で人々は「自然状態」に戻ることはできません。「同意」を取り消すことはできません。すなわちロックによれば「不可譲の権利」である「生命・財産・自由」を与えること、つまり放棄することはできないからです。だからこそ政府は権限を行使することを制限される。

ロックによれば「同意」によって成立した政府は、政府が自分勝手に望む目的のために、あるいは思うまま独善的に振る舞って人々の「自然権」すなわち「生命・財産・自由」を奪うことは許されないと結論づけています。

ロックが国王の絶対的権力を制限しようとしたことはあきらかです。その点で名誉革命を支持したとされます。


15-16世紀 ENGとオランダとプロイセンの関係

2020年04月26日 | 高3用 授業内容をもう一度



 15世紀にジェノヴァの商人によって地中海経済圏と北海バルト海経済圏が大西洋航路で結ばれました。これによって陸路で
この2つの経済圏を結んでいた中仏のシャンパーニュ地方は衰退します。かわって北ネーデルラント(のちのオランダ)が羽石升。
16世紀になると第2次大交易時代が始まり、フランドル地方の毛織物工業が躍進します。本国(ネーデルラントがスペイン領になったのは
1556年フェリペ2世の時)が中南米高地を結ばれ、その地に移住した人々が毛織物を欲したからです。フランドル地方の毛織物業者は
毛織物を本国の大商人に売り、彼らが中南米に毛織物を売る仕組みです。

 これに呼応してENGでは羊毛の増産が始まりました。15-16世紀の羊毛増産を第1次エンクロージャといいます。暴力的に囲い込みを行った
地主によって追い出されたヨーマンは失業したり毛織物業に転職したようです。第1次エンクロージャによって作られた羊毛はフランドル地方に
運ばれました。ENGではデザイン性が高い毛織物は技術が低いために製造できなかったようです。
 
 ヨーマンの数が減少すると、言い換えれば羊毛生産が増えると穀物生産が減少します。その穴を埋めたのがオスとエルベ(エルベ川以東の地方)
で、プロイセン公国などです。ここでは15-16世紀に穀物増産のためにグーツヘルシャフトが始まります。土地が肥沃ではないため増産には
大規模経営が不可欠でした。農奴の生活を支え絵板農民保有地は没収され全て領主直営地に転換されました。農奴は生活基盤を失って地主(ユンカー)
への隷属を強めました。農民の身分は低下したのです。