読響サマーフェスティバル2017〈ルイージ特別演奏会〉
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ハイドン:交響曲第82番「熊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
2017年8月24日 東京芸術劇場 19:00
初めてドン・ファンを聴いたときのような色彩感は感じなかったけれど
その指揮棒の先から音楽を紡ぎだしていくのがやっぱりすごかった。
メリハリがきいていて、音楽に対する情熱が伝わってきました。
ハイドンの交響曲もキュートな感じがして、このシュトラウスの間に挟まれる
曲としては絶妙の組み合わせかと思いました。
やっぱり圧巻は「英雄の生涯」。
素晴らしかったです。出だしからクライマックスで流れるように途切れなく
続く音楽。ここにきてコンマスのヴァイオリンが物凄くよくて
「ドン・ファン」の時よりオーケストラの実力を発揮していました。
読響といえばその昔N響よりいいと思ったこともありましたが、今久し振りに
聴いてどうなんだろうと思いました。
わたしの席は3階の中央。とてもいい席でした。制服姿の高校生か中学生、
小学校の先生とかいました。今学校で吹奏楽とか音楽が盛んなので
日本のオーケストラは学生優遇のチケットがあり、聞きやすいのでしょうね。
男性の方が多いくらいなのにも驚きました。休憩時間にトイレの列が
女性より男性の方が長かったのが珍しい風景でした。
「英雄の生涯」では最後の方に安らぎに満ちた旋律が広がり、すごく美しくて
涙がたまりました。父や主人の人生に重なってきて。平坦ではなく困難だった人生。
特に父の人生に幸せだったのだろうかと聞きたくなりました。誰もが課せられた人生を
背負って生きている。どうして主人は人より多くの苦労を背負わなければいけなかったのだろうとか。
ファビオ・ルイージが一般的は勇壮な終わり方でなく、初版のめったに演奏されない
消え入るように終わるエンディングにしたのがとてもよかったと思いました。
最後に得た安らぎと・・
この演奏会でファビオ・ルイージに対する拍手は感謝の拍手のように思えました。
よく読響をここまで引っ張って行ってくれたという・・ いつもの海外のオケで
海外の指揮者のコンサートとは全く違う空気がありました。
人が生きるということ感じさせる、心洗われる演奏会でした。
時々家族のことが浮かぶこともあるけれど、昨日は不意に
浮かんできて、驚きました。心って動かされるのですね。