山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

原子力発電は環境にやさしい?

2013-01-02 | 政治・経済・社会

 かつて地球温暖化対策のために原子力発電比率を大きくする必要があると議論されておりました。今は「原発ゼロ」を訴えている菅元総理でさえ、原子力発電を肯定していたと記憶しております。その論拠として、原子力発電は地球温暖化物質である二酸化炭素を排出しないということが挙げられております。確かに、原子力発電によって二酸化炭素はほとんど排出されません。

 だからといって環境にやさしい(環境に負荷を与えない)といえるのでしょうか。事故等々で放射能が環境に放出されることは、環境に対して致命的な影響を与えることは言うまでもないことでしょう。ここでは、そのことについては考えないことにします。

 原子力発電所は、核分裂により莫大なエネルギーを発生させ、その一部を電気エネルギーに変換するものです。核反応により発生するエネルギーの内で電気エネルギーとして取り出せる割合(発電効率)は、諸説あるようですが35%程度といわれております。

 では残りの65%はどうなっているかというと、それは捨てられていると言うことです。どこに捨てられるかというと、それは自然環境そのものにと言うことです。日本の原子力発電所が海の傍に建設されていることは、ご承知のことと思います。要は、電気エネルギーとして取り出せなかったエネルギー、そのほとんどは熱エネルギーとして海に捨てているのです。

 また、先ほどの発電効率は、原子力発電所での効率であって、発電所から遠く離れた需要側に電気エネルギーを運ぶために送電線、変電所、配電線を経由します。ここでもエネルギーロスが発生します。このエネルギーロスは、長距離であればあるほど大きくなります。このエネルギーロスは、ここでもほとんどが熱エネルギーとして環境に放出されます。

 そして、我々需要家においても、電気製品で消費することによって、時間の差があるとはいえ、そのほとんどがこれまた熱エネルギーとして環境に放出されます。

 このように、全体的にみれば、核反応で発生するエネルギーのほとんどは、熱エネルギーとして環境に放出されているということになります。これは、原子力発電のみでなく、火力発電など化石燃料を使用した場合でも同様のことがいえます。

 一方、水力発電、太陽光発電、風力発電などの太陽エネルギー由来のエネルギーにおいては、元々地球にふりそそいだ太陽エネルギーですから、地球にに新たな環境負荷を与えるものではありません。化石燃料も元々は太陽エネルギーであったともいえますが、厖大な時間を費やして蓄積したエネルギーを極短時間の内に消費しているのですから、環境負荷が大きいものと考えます。

 このように考えれば、自ずと環境負荷の極小化を目指すのであれば、太陽エネルギー由来の自然エネルギーにシフトせざるを得ないということになります。但し、この道は大変な困難が待ち構えております。即ち、太陽エネルギーそのものは莫大ではありますが、我々が欲するエネルギーを取り出すには余りにも広大な面積を必要とするからです。

 いつの日にか、技術革新によって100%自然エネルギーで賄える時代が到来するかも知れません。それまでは、既存の手法に改善を加え、困難を乗り切っているしかないものと考えます。