宮応かつゆきの日本改革ブログ

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日ロ領土問題をどこに「原点」を据えて考えるかー「主権を奪った」サンフランシスコ平和条約(続・その2)

2018年12月01日 | 千島返還問題と日本共産党

「『法と正義』というならば、やはり、スターリンの横暴をただすこと、連合国が『領土不拡大』宣言を発して、日本が暴力で奪い取った土地は返させるが、勝利したからといって連合国の側で領土の割譲は求めないということを宣言し、ソ連もそれを承認して連合国に参加したのですから、その原理・原則にもどって、スターリンが対日参戦の交換条件として千島を要求したことが不当だったということ」(「千島問題と平和条約」不破哲三著 15頁)

「それにルーズベルト(当時の米国大統領)が応じたことが間違いだったことを明らかにし、その『領土不拡大』の原則に違反したまま戦後処理がおこなわれた、そのボタンの掛け違いを直すという態度で、今後の交渉にのぞまいといけない」(同15頁)

 この不破氏の発言は、21年前の1997年11月7日、日本記者クラブでの講演内容の一部です。 安倍首相は、プーチンロシア大統領と領土交渉を「新たな枠組み」で行うとしていますが、この指摘のいよいよ重要性を増しているのではないでしょうか。

 私は、日本の戦後処理が、サンフランシスコ平和条約で「領土不拡大」の大原則が放棄され、日本の国の主権が奪われたままで今日に至っていると考えています。 その、特徴は、アメリカによる沖縄から北海道に至る日本列島の軍事的、政治的支配です。 もう一つは、千島列島及び色丹島、歯舞群島のロシア(旧ソ連)の占領支配です。

 こうした実態は、支配、占領の形態の違いがありますが、「領土の拡大」そのもではないでしょうか。 そして、サンフランシスコ平和条約は誰にもわかるようにそのことを条文に書き込んでいます。 この戦後の国際政治の是正を求める日本政府の立場が根本から問われていると感じています。

 【サンフランシスコ平和条約】(1951年9月8日、米国サンフランシスコで49カ国が署名)

 【第二条(C)】「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」

 この条文には、千島列島の「放棄」について一切の理由が書かれていません。 なぜでしょうか。 正当な根拠がないからです。

 【第三条】「日本国は、北緯29度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む)~を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。 このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする」

 この条項の下で、戦後27年間沖縄はアメリカの全面占領下に置かれ、苦難を押しつけられつづけました。

 【第六条】(a)「連合国のすべての占領国は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。 但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国間の協定に基づく、又はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん(前2文字協調)又は駐留を妨げるものではない」

 この条文を根拠に、旧安保条約がつくられ、その後の1960年の改定で、日本に軍事・外交、経済上のいっそうのアメリカへの従属体制が強化され、今日の深刻な事態を招いています。

 【第二十六条】「(前段略) 日本国が、いずれかの国との間で、この条約で定めるよりも大きな利益をその他の国に与える平和処理又は戦争請求権処理を行ったときは、これと同一の利益は、この条約の当事国にも及ぼされなければならない」 

 この条文が、日ソ共同宣言に向けて日ソ間で行われていた領土交渉の過程で、日本側が、ソ連側の歯舞、色丹島の2島返還で平和条約の締結を受け入れようとした段階で、米国のダレス国務長官が「承認できない。 これは、サンフランシスコ条約以上のことをソ連に認めることになり、この場合は米国としてはサンフランシスコ条約第26条により沖縄を永久に領有する」と主張したことで注目されています。

 日本は、同条約2条(C)項によって、千島列島の放棄を押し付けられながら、千島列島、(政府の4島返還論を含み)の自主的外交交渉さえできない異常な「主権なき国家」の姿が浮かび上がってきます。

 

 


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