「国際労働機関(ILO)の最新のデータによると、非公式経済(注:1)の下で働く人々(農業分野を除く)は南アジアで雇用全体の82%、サハラ以南のアフリカで66%、中国を除く東・東南アジアで65%、ラテンアメリカで51%を占めるなど、途上国で多くなっています」(「しんぶん赤旗」24日付)
「経済強力開発機構(OECD)諸国では、1990年代半ば以降に創出された雇用の半分以上が非典型労働(注:2)で雇用全体の約3分の1を占めています。 日本でも90年以降倍増しており、2017年末には非正規雇用が37.4%に達しています。 非正規雇用で働き続けた場合、生涯賃金が正規雇用に比べて1億円以上少なくなるなど、深刻な格差と貧困をもたらしています」(同紙)
(注:1)「非公式経済=全ての労働者や経済単位による経済活動のうち、法または実務上、公式の取り決めの対象となっていないか公式の取り決めが十分に適用されていないものをさす。 家庭内労働や在宅勤務、路上販売などを含みます」
(注:2)「非典型労働=自営業や臨時フルタイム労働、パートタイム労働などをさします。 どちらも労働法制の保護がない、もしくは不十分なため不安定で、収入が少なく低所得層の間にさらなる貧困化をもたらしています」
「国際通貨基金(IMF)は『世界経済見通し」(17年4月)で労働分配率低下の要因を分析しました。 世界経済のグローバル的統合が進む中、労働組合組織率の低下が団体交渉での労働者の立場を弱め、労働分配率の低下の要因となっています。 その結果格差が拡大しているのです」
そして、「格差の拡大は、社会の団結に影響を及ぼすだけでなく、長期的な経済成長にとっても有害であ<る」と強調。 次の政策パ―ケ―ジを提起しています。
①経済社会への女性の参加、②雇用の促進と改善、 ③技能と教育、④効率的な再配分のための税・給付制度です。
日本にとって、OECDの提起は待ったなしの政策ではないかと思います。 しかし、安倍政権の対策はまったく逆行している政策ばかりではないでしょうか。
特に、日本にとって深刻なのは、労働組合の組織率の低下です。
「2018年 国民春闘白書」では、1970年の労働組合の組織員数は、1,161万人、35.4%でした。
2016年では、雇用者数5,381万人、非正規雇用者は2,016万人(うち、パート、アルバイト1,398万人)組合員数994万人、17.3%となっています。
非正規雇用者数が1,000万人を超えたのが1995年、組織率は23.8%でした。 その後、組織率が20%を割り込んだのが2003年19.2%です。
労働組合が、労働者の要求を掲げて労使交渉を行う、要求の解決、前進のために宣伝し、ストライキを含めて行動することがヨーロッパのような当たり前の日本社会をめざすことの重要性を痛感しています。