今日付「読売」紙は、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授のインタビュー記事を掲載しました。 同氏は、16日に開かれた政府の国際金融経済分析会合でも発言しています。
以下、同紙のインタビュー記事を紹介します。
「ーー世界経済の現状は」
「景気後退ではないが、強い成長でもない。 16年の世界経済は15年より悪化するだろう」
「--アベノミクスの評価は」
「金融緩和策は想定通り、極めて強力だった。 財政政策でも当初、景気を刺激した。 デフレがインフレに反転したが(14年4月に)消費税率を(8%へ)引き上げ、間違った方向に進んだ。 今、消費税率を(10%)引き上げると、さらに間違った方向に進むことになるだろう」
「ーー消費税はいつまで延期すべきか」
「(政府が抱える)債務への懸念は理解できるが、私が懸念しているのは、(増税の)タイミングだ。 世界経済は弱く、消費増税するには正しい時機ではない。 消費税よりも良い増税がある。 例えば、投資や賃金に収益を回さない企業には増税し、投資や賃上げをする企業は減税するといった方法だ。 税の構造を変えることが先だ」
「ーー近著の『スティグリッツ教授のこれから始まる”新しい世界経済”の教科書』で、望ましい政策ルールを示した。 日本への提言は」
「女性や高齢者を労働力として十分に活用する環境を作ることができていない。 柔軟な労働時間、十分な育児休業、保育(の整備)が欠けている。 関連するルールを書き換え、(多様さを)包括する経済にしなければならない」