まず、不破さんをはじめ研究会グループのみなさんに心から感謝を申し上げたいと思います。 2年半の長期間にわたった連載、「前衛」誌の「スターリン秘史ー巨悪の成立と展開」は、「前衛7月号」で完結しました。
不破さんは、「『スターリン秘史』の執筆を終わって」のなかで、この執筆に取り組んだ「動機、決意」について、次のように述べています。
「私は、『スターリン時代の中世的な影を一掃』する理論的な課題のなかで、スターリン覇権主義の『巨悪』の全体像を歴史の事実に照らして解明する仕事がまだ残されていることを、強く感じていました。 私たちがいま取り組んでいる科学的社会主義の『ルネサンス』も、スターリンが世界の共産主義運動に支配的な影響力をおよばした中世的な暗黒の時代そのものに科学のメスを入れて、その実態を解明し、その否定的な現実に全面的な光をあてることを抜きにしては、不完全なものになる、という思いからです」
「そして、その仕事は、若い時代の十数年の期間ではあったが、スターリン時代の空気を吸い、スターリンの理論の研究に打ち込んだ経験をもつ世代に属する人間がはたすべき課題であり、またその経験がなければはたせない任務であることも、私が痛感していたことでした」(「前衛」7月号229頁)
「2009年5月、私が出会ったのが、『ディミトロフ日記』でした。 出会いのいきさつについては、本稿の序論的な部分で紹介しましたが、まず、英語版(2003年、米エール大学出版部、抄訳版)を手に入れて読んでみると、スターリン覇権主義の隠された歴史に光をあてる新事実と探究のヒントがそこに膨大に記録されていることを知って、大きな衝撃を受けたのです」(「同誌230頁)
不破さんは、執筆の苦闘にふれた後、次のように述べています。(以下、「同誌」231頁)
「編みあがってみると、そこに現出したスターリン覇権主義の全体像は、私自身の予想をはるかに超えるものとなりました。 先の報告会では、『日記』の全体を読み通したうえで、そこから読み取った重要な新事実はもれなく報告したつもりでしたが、どの章をとっても、そこで解明されたスターリン覇権主義の歴史の邪悪さは、桁違いに深刻なものでした。 現れたのは、社会主義の精神も革命の大義も完全に投げ捨てて、ひたすら覇権と専制支配の拡大強化を追求する『巨悪』そのもでした」
「スターリンの言動の根底にあるものを、そこまで突き詰めてとらえないと、どの時期のどの分野の問題でも、スターリンの真意は理解できないし、この本質を正確に把握すれば、スターリンの言動が矛盾に満ちているように見える場合でも、その本当の脈洛をきちんと理解することができるーーここに、本稿を執筆しながら私が得たスターリン研究の核心がありました」
不破さんは、最後に、「この研究が、科学的社会主義の『ルネサンス』の日本における、また世界における発展に役立つことを願って、結びの言葉にしたいと思います」と述べています。
私も、「前衛」誌の連載を待ちわびながら、読み続けました。 不破さんが、「大きくいえば、世界の現代史について、認識を新たにさせられた点も少なくありません」とも述べていますが、「大きな共感を覚える言葉」です。