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撤退戦略の重要性

2015-06-23 22:46:28 | 一般
6/23東洋経済WEBで伝えておりました。長文ですが一読する価値があります。

-なぜ地方は撤退戦略を持たず事業をするのか-

 このコラムでは、「地方を活性化する際のヒント」になるようなトピックをとりあげ、読者の皆さんとともに考えていくことを一つの基本スタイルにしています。

 さて、今回も地方を考えるうえで、ぜひ読者の皆さんにお伝えしたい重要なことがあります。それは撤退戦略についてです。地方活性化事業の基本計画などを見ると、もし失敗したときの撤退戦略について書かれているものは皆無といっていいほどです。本当にまったくないのです。

■ 計画の初期段階から責任の所在が不明確

 これはどういうことでしょうか。撤退戦略とは、「ある事業がこういう条件を満たさなかったら中止、当初の計画である、この水準を下回ったので撤退する」という要件を入れることなのですが、これがまったくないということです。

 地方自治体などの事業をウォッチしていると、「最初は活性化を目的に始まった事業が途中からうまくいかないことが判明し、事実上計画は失敗している」というケースが山のようにあります。

 しかしながら、ほとんどの場合、責任の所在が明確化することを恐れ、無計画に資金を入れ続けてしまうのです。そして気づいてみれば、累計でとんでもない巨額の資金を垂れ流してしまう。「地域活性化の起爆剤」となどと言われ期待されたプロジェクトが、まったく別の意味で起爆してしまうなどという笑えない話が各地で見られます。

 地域活性化事業を経営の視点で見るとき、「いかに成功するか」ということ以前に、「失敗した時には『適切なタイミングで致命傷にならないうちに撤退する』ことをあらかじめ決めておく」のが大切なのは言うまでもありません。なぜなら、企業以上に「ゴーイング・コンサーン」(=継続性)と向き合うことが地域経営の基本だからです。

 こうしたことを考えず、自治体の首長などが一時的な注目を浴びようという目的で華々しいプロジェクトを次々とブチ上げ、撤退戦略もないままに突き進むと、後々、地域は大変なことになっていくのです。

■ 撤退戦略を設定していない場合の「2つの危険性」

 頭に入るように、整理して考えていきましょう。撤退戦略の設定(撤退設定)がなされない場合の問題点は、大きく言って2つあります。

 まず1つは、「失敗した時の傷が深くなる」という問題です。

 撤退戦略がない場合、もし状況が著しく悪化した際、客観的に「撤退をする時期にさしかかっている」という議論が起きないという基本的な問題を抱えます。

 状況が悪化した時は、関係者はどうしてもそのような失敗を認めたくないので、撤退の決断は常に遅くなります。結果、最初はプラスを目指したプロジェクトなのに、責任回避のためにズルズルと発生するマイナス部分を別の予算で埋め合わせることになってしまいます。活性化どころか、赤字垂れ流し、何も地域に効果をもたらさず、逆に「衰退加速」となってしまうわけです。

 もう1つは、最初から撤退設定ができないような事業は、そもそも失敗しやすいという問題です。

 事業の初期段階で撤退設定について議論すると、「縁起でもない」「最初から失敗を語るな」など言い出す人がいます。別に「失敗しろ!」といっているわけではないのですが、最初から頑なに成功することしか話してはいけないという論調になってしまうことがあります。

 プロジェクトを任されたチームが、最初の段階で大事な撤退設定についての議論が起こせないような空気感に覆われている場合、それは自分たちが特別であるなどと思い込んで競合を軽んじるなど、客観的な状況を冷静に議論・判断できない環境にあることを意味します。

 当然ながら、取り組む事業も一人よがり、もしくは「形式的、手続き的」となりがちです。しっかり実情と向き合い、柔軟に当初の計画を変更するという、事業に成功な作業を導き出すことができなくなってしまいます。

 事業の成否は、無謀な突入や、手続きばかりはキチンとしている「形だけの一貫性」ではなく、常に変化する状況と向き合う柔軟性にかかっています。そもそも、撤退などの話ができない状況自体、その事業を推進するチームへの大きな「危険信号」なのです。

■ 失敗責任から逃げると「追い銭」は高くつく

 地方活性化では、大層な計画を立て、膨大な税金を投入して、公共施設や商売施設開発を行ったり、公共交通網を再整備したり、さらにイベントなどを開催したりしています。

 しかしながら、それらの事業が全く思うような成果も出せず、さらに経済的にも自立しないままに常に公的財源に依存しつづければ、活性化事業はそのまま自治体の財政負担になってきます。

 悪い例を紹介しましょう。ある地方の有力都市が「コンパクトシティ」の名の下に整備した施設は、事業費として当初約180億円かかったものでした。

 しかしその後、施設の経営が失敗だったと事実上判明した後も自治体が支援をし続け、投入した予算は、施設完成後から今に至るまでで合計200億円を優に超えてしまっています。

 つまり当初費用以上にさらかにおカネをかけてしまったのです。しかも、再建計画を何度も立てなおしていますが、計画は軒並み未達を続け、出口が見えない状況になっています。

 このように、地域の活性化事業に最初から撤退条件をつけておかないと、潰すと責任問題になるので、関係者は皆、誤魔化そうとしていきます。結局、再建計画などといっても、ほとんどの場合、根本治療ではありません。ズルズルと小さな予算を逐次投入するという「当座しのぎ」を繰り返し、気づいてみると膨大な損失に膨れ上がってしまうのです。

 しかも、そうしているうちに、事業の担当者なども入れ替わってしまい、時には市長などのトップも選挙で交代、となり責任問題はいずこかへ押しやられます。事業の一部を任されていた民間業者も「私たちは、単に行政から依頼を受けて動いただけです」みたいな方ばかりになります。結局、こうした不幸な地域活性化の事業は責任者が不在のまま、誰も撤退の意思決定をせず、惰性で続けられてしまうわけです。

 では、どうすればいいのでしょうか。本来は「ある一定の段階」を超えたら、過去の投資については「サンクコスト(回収不能費用)である」と、諦める必要があるのです。つまり、いったんすべてをリセットしたうえでなければ、経営支援などしても効果はありません。計画の初期から撤退することを誰も決められないプロジェクトは、失敗しても誰も撤退を決められず、地域からヒト・モノ・カネをだらだらと奪っていく危険を常にはらんでいるのです。

 撤退要件は危機的な状況になればなるほど、当事者の判断が鈍くなってしまいます。

 撤退要件は絶対に最初に定めなくてはなりません。誰かがそのときどきで決めるのではなく、ルールで定めなくてはならないのです。もし属人的な形でプロジェクトが開始され、初期に撤退要件を決めていない場合は、前述のように、首長も担当者も、「自分の任期の間だけは逃げ切ろう」と、無駄なおカネをつぎ込みがちなのです。

 今、地方創生でもKPI(重要業績評価指標)の設定やPDCAサイクルを通じた検証などが叫ばれていますが、併せて決めるべきは撤退要件です。どの程度目標を下回ったらプロジェクトを中止するのか。これを明確に最初に定め、取り組むことがすべての基本です。誰かが危険になったら決めてくれる、などという希望的観測はやめなくてはなりません。特に縮小社会の場合、一つのミスが地域の命取りになりかねないのです。

■ 撤退戦略とは、「未来につながる前向きな話」

 われわれが地域で仲間と共に事業に取り組む際にも、時間軸でのリミット、資金軸でのリミットを最初に大枠定めます。「これ以上時間をかけても事業が実行できなかったら中止しよう」「この額以上に損が出たら中止しよう」といった具合です。

 あらかじめ決めておけば、万が一これらの撤退要件にひっかかる状況になれば、誰も反対せず、「ここらへんでいったん考えなおそう」ということが、ためらうことなく言い出せます。でないと「まだもう少し頑張ろう」とか「もう少しだけ投資すればどうにかなる」といったように、損切りする、しないで論争になってしまいます。

 地域活性化事業で重要なのは、成功することと共に、大きな失敗をしないことです。もし大きな失敗をしたら再挑戦することは困難になります。地域での事業は、常に「挑戦と失敗の繰り返しをどれだけできるか」にかかっています。

 挑戦して、まずくなったらいったん手仕舞いして、再度やり方を変えて挑戦してみる。この繰り返しを続けられるようにするためにも、大きな失敗はしてはいけないのです。初期に撤退条件を話すことは決して後ろ向きな話ではありません。未来につながる前向きな話なのです。

-引用終わり-

私は心で頷きました。原発なんかは多分撤退時期を見誤ってしまいましたね。

ジオパークの2度目の挑戦が通らなかったら撤退するのでしょうか。既に関係者の人件費が出ているでしょう。取り戻せるのでしょうか。どうも活用する戦略性が低いような・・・。

安渡館は3年目の利用客が2万人行かなかったら戦略の見直しですね。最初は珍しさと行事を押し込めれば人数は稼げます。しかしながらリピートを増やし継続的な維持管理費分は死守しなければなりません。

クルーズ誘客の観光戦略も甘いような気がします。

体育館は新しく作るとはいえ、有効活用できる見込みがあるのでしょうか。財政再建が目途着くまで克雪ドームを市民体育館として共有できないのでしょうか。

下北縦貫道路が出来れば、観光客がどれだけ増えるのでしょうか。沿道の企業誘致の見込みはどうでしょう。まさか原発事故の避難目的だけで管理を含めた税金を投入する訳ではありませんよね。道路は電力事業者の単費ではありませんし・・・。

これらはちょっと見当違いな意見かもしれませんが、つまり、すべての事業の評価指標を明確に設定しておく事が重要だと思いますね。
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