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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

詰将棋を読む、詰将棋に勝つ

2020-08-26 08:39:00 | 将棋の時間
「あらゆる合駒を考える」

 詰将棋の中でも合駒問題は難しい。詰将棋のルールでは玉方は盤上に存在しない残り駒全部を使える。(何という戦力差!)実戦ではまずそのような状況にはならないはず。しかし、実戦では詰将棋にはない攻防の要素が加わる。その複雑さを考えれば、あらゆる合駒をすべて考えるということは、実戦を見据えた読みの訓練にもなる。慣れてくれば条件によって読みを飛ばせるようになるだろう。(強い駒では駄目だとか、頭の丸い駒でないと駄目だとか、金以外は無効だとか)合駒に中合いの要素が加われば、更に読みは複雑化する。中合いも実戦では滅多に現れないが、それ故に詰将棋でしか研究できないとも言える。


「作者の物語を読む」~ギリギリ詰まないという罠

 難解な作品では、初形から詰み形を描くことが難しい時がある。有力な王手をかけていく内にギリギリ詰まないという変化に突き当たる。詰将棋を解いていて非常にもやもやとする瞬間だ。
(何か見落としがあるのではないか)あと一歩で詰みそうなだけに、自分の読みの深さや精度に疑いをかける。実際、読み直す内にやはり詰んでいたということもないわけではない。
 もしも、それが紛れ筋の方だとすると、どこかで読むことを止めねばならない。それには不詰めを読み切るという方法と、変化に見切りをつける方法とがある。(まあ、この先はあっても詰みはないなという推測)
 不詰みを読み切ることも、「読む」という訓練においては、詰みを読み切ることと同じ価値がある。その時間も決して無駄ではない。
 ところが速解きの競技/選手権に参加するという場合、事情は大きく変わる。詰将棋には、直線的な読みを磨くという面と、作者の描いた物語を読むという面がある。訓練の中では紛れ変化に深入りすることも不詰め変化を読み切ることも意義があるが、スピード競争においては時間を無駄に使うだけ損と言える。(詰み筋/正解筋のみを発見すればよい)
 作者の用意した偽のストーリーを見破り、本筋のみを読み切ることが正解への近道になる。その時、あなたの真の敵は周りにいる選手ではなく、目の前にある問題そのものということだ。


「本当は読まされていた」

 紛れ筋に見切りをつけることを躊躇った場合、納得がいくまで変化手順を読むことになる。不詰みに行き着くことを読み尽くしてしまえば、もはや自分の読みを信じる他はない。
 ようやく初形にかえって改めて局面を眺めてみると……。
 あなたは至って「シンプル」なことに気づく。
 そして、合駒も、中合いも、紛れ一つない、詰み筋が現れる。
 なんだ、簡単じゃないか。
「難解なのはサイド・ストーリーの方だった」
 長い回り道の末に、幻を読まされていたことに気づくのだ。


脳天気会談

2020-08-25 11:19:00 | ナノノベル
 大統領が専用機から降りてくるのを首相が笑顔で出迎えました。両国の首脳が直接会って会談するのは久々でした。
「お久しぶりです。お元気そうで何よりです」
「あなたも大変お元気そうです」
 まずは互いの健康を気遣う挨拶から始まりました。
 その後は桜並木を歩きながら夜遅くまで活発な意見交換がなされました。

「顔色がよいですね」
「あなたも姿勢がいいですね」
「いえいえ。背が高いですね」
「いい色のネクタイですね」
 国境を越えた親密振りが見て取れる内容となりました。

「お宅の国の政治は一流ですね」
「お宅の国はマンガが一流ですね」
「いえいえ。政治も一流ですが軍事力も一流ですね」
「あなたのとこは暮らしも福祉も充実してますね」
「いえいえまだまだ発展の途中でして」
「わっはっはっはっ」
「はっはっはっはっ」
 互いに腹を割った活発な意見交換がなされた模様です。

「経済も一流ですが映画の方も一流ですね」
「お宅の国はお笑いは多様性がありますね」
「あなたの国は銃産業が多彩ですね」
「あなたの国は芸能が活発ですね」
「いえいえ。そちらもなかなか」
「今夜は月がきれいですね。わっはっはっはっ」
「はっはっはっはっ」
 会談は深夜まで及び、かなり踏み込んだ内容に及びました。

「野球がお強いですね」
「いえいえ。卓球がお強い」
「宇宙開発が進んでらっしゃる」
「治安が大変安定していらっしゃる」
「いえいえ。お宅の国は銃産業が安定してらっしゃる」
「わっはっはっはっ。不倫が大変話題だとか」
「はっはっはっはっ。陸上が大変なスピードで」
「いえいえ。そちらのマラソンもなかなか」
「スポーツ人口の底上げに努めておりますが」
「厚底シューズが問題になっているようだが」
「厳しく受け止めねばなりません」
 テーマは多岐に及び、首脳は共にコートを羽織りました。

「桜がきれいですね」
 と大統領が言えば、
「ああそうですか」
 と首相が答え、それに対し大統領は、
「また来ます」
 と応じ互いにきつく握手を交わしました。
 二人は終始穏やかな笑顔を浮かべながら、久しぶりの会談は好感触の内にお開きとなりました。



【短歌】気まぐれ睡魔

2020-08-25 07:48:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
訪れてほしくないのに訪れる今夜睡魔は雨の気まぐれ

集中と意欲を削ぎに押し寄せる睡魔よ何故に今頃来るか

願望を裏切るように訪れる訪れぬああ気まぐれ睡魔

あるとこに偏っている平等と自由を欠いたアンフェア睡魔

そこいらに疎ましいほどあったのに睡魔よどこへ逃げて行ったの

朝が来るまでには来ると信じたい呼んで来ぬならただ願うのみ

訪れてほしい時には訪れぬ今夜睡魔は猫の気まぐれ

モチーフを集めよう

2020-08-25 07:37:00 | フェイク・コラム
「身近にあるモチーフ」

 モチーフはどこにでも落ちている。ちょっとしたこと、些細な出来事に気をとめて、モチーフを拾ってくる。時には少し嫌なことにも目を光らせて、それもモチーフに取り込んでみる。モチーフを集めることを癖にすると、日常の風景への関心が増す。アンテナを張っておくことで、モチーフは集まってくる。「モチーフ好循環」だ。日々モチーフを集めて、メモリーにキープしよう。


「モチーフにはかなわない」

 モチーフは日々降り積もっていく。かつて拾ったモチーフは時の中で色褪せて、難解な化石のように謎を深めていく。そこにあったモチーフを消化しようとする間にも、そこここに湧いて出るモチーフを拾わずにはいられない。どれほど集めたところで、モチーフは手に負えない。
 モチーフが集まることはうれしくて、かなしい。
 モチーフは人間の限界と無力さも教えてくれる。


「モチーフを発酵させよう」

 取るに足りないと捨ててしまっては、モチーフはゴミになってしまう。時には自分の感性を疑ってみることも必要だ。今は何も広げることはできないけれど、それは後から何かに化けるよいモチーフかもしれない。少し気になるなら、モチーフにして取っておいた方がいい。
 例えば、嫌なことを言われた時、その場で感情的になって反論しない方がいい。一瞬の爽快感と引き替えにモチーフを手放している可能性がある。モチーフのことを第一に考えるなら、その場ではぐっと堪えて「モチーフ・キープ」である。
 その時がきたら、モチーフは熟成されて、ストーリーに化ける。(「モチーフ・ブレーク」)しかも、1つとは限らない。よいモチーフは、1つから2つにも3つにも化けることもあるのだ。「モチーフ分裂」である。
 今が駄目でも先のことはわからない。モチーフは未来である。


「モチーフとは何か」

 私のpomeraの中には10万を超えるモチーフ群が眠っている。もしも他人に見せたなら、人はそれを指してこう言うだろう。
「なんじゃこりゃあ……」
 モチーフの本質を見事に突いた真っ直ぐな言葉である。
 モチーフ、それは見方によっては、ガラクタ、意味不明、子守歌のようなもの。

 本当のモチーフは心の中に存在する。心のあり様によってモチーフは時に光り、曇り、揺らぎ、浮かび、移ろい、見失われてしまう。
 心の中の見えないものだからこそ、危うくもあり、心強くもある。
 劇的な暮らしに触れて飛んでいくモチーフもあれば、不動の心でつなぎとめておけるモチーフもある。
 どこにいても、どれほど縛られていたとしても、自分の内側で密かに守られる。(「モチーフ・ガード」)
 先輩のくだらないお説教を聞いて退屈の最中に置かれながらでも、モチーフは育てることができるのだ。


折句の夏休み「コツコツ歌えば」和歌、短歌、いかがでしょうか

2020-08-24 10:39:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
幅広く意見を募り王様が
マスクを破り捨てた8月

(折句「バイオマス」短歌)


お盆まで持って行きたい手将棋の
夏、透明な仕切りを立てて

(折句「おもてなし」短歌)


明日へと懸念をみせて時を待つ
運命論と俯瞰大臣

(折句「揚げ豆腐」短歌)


アンコール
しあわせは選
TAXIで

(折句「あした」俳句)


曖昧な猫 / 猫のモデル

2020-08-24 10:25:00 | 【創作note】
「何それ? 猫か
えらい曖昧な猫やな」

なんやそれ
どんな猫やねん


あなたの指摘は
まあまあ正しい

「曖昧な猫」

確かにその通り

鼻があるようなないような
毛があるようなないような
模様があるようなないような
ここにいるようないないような

描いても描いても
ここにいるのは
曖昧な猫

わかったよ
僕は猫のことをよく知らないんだ


ねえ そこの君
そうそう 君 君
ちょっと僕のモデルになってくれない?

ねえねえって

ねえねえ お急ぎですか




前から猫が歩いてくる
さあ 今がチャンス
スマホを取り出しスタンバイ

顔を上げると猫がいない
壁と壁の間に逃げ込んだ
子猫はまだ溝の手前

はい 撮りまーす!

動かなければ動かない
猫の習性
もう1枚 もう1枚

車道に自転車急停止
おばちゃんは安堵の微笑み

「はーい ……ちゃん! ここにいたのね」

猫のお母さんだった

朝食の時間かな




短い話をしよう

2020-08-24 06:43:00 | 【創作note】
胸がつかえて苦しい時は
定食なんて入らない
幕の内弁当さえも難しい

そんな時には
なるべくシンプルに

牛丼屋さんに行き1つの牛丼を注文する
ラーメン屋さんで1杯のラーメンを注文する
ファストフードに行き1つのバーガーを持ち帰る
回転寿司に行き1皿の寿司を食べて帰る
ご飯を炊いておにぎりを作る
お茶漬けにする

消化できないものは食べられない

長い文章を組み立てる力は出ない
一言のつぶやきから始めよう
短歌もいい

文具フェス

2020-08-24 04:31:00 | ポトフのゆ
 よい本とよい文具があれば全部が全部上手くいくのだ。マイブック、マイ文具。校長は自分の主張を少しも曲げようとしなかった。

「文具が本気で競い合えば、子供たちも本気になる」
「競い合う狙いはどこにあるんです?」

 校長と意見が対立していいことなど少しもなかった。究極の目的が同じところにあるとは思えないほど、それはいつも反対の方向を向いていたのだ。いつしか自分で考えなくても、校長の考えを聞いて振り返った先にあるのが自分の意見だった。周りの先生についてはどうだ。みんな自分の意見を持っているようには見えない。職員室に貼り付いたエキストラの集まりに違いなかった。

「教育の本質はよい文房具を与えることにあります」
 そうして校内文房具王決定戦が開かれることになった。

 確かな消しゴム、名産計算機、気の長い物差し、賢者仕込みの鉛筆、強面の万年筆、芯の強いコンパス、後腐れない下敷き、天性の修正ペン、強靱なシャーペンの芯、次々と名乗りを上げた文房具たちが、次々と予選で姿を消していく。気むずかしい消しゴム、浅ましい鋏、踊るボールペン、潜在能力の高い鉛筆、少年の手帳、献身的なサインペン、転がり続ける定規、狐の筆箱、義理堅いテープ……。まるたにグループは次々と温めておいたアイテムを出してくる。

「先生。戦いの様子をしっかりと記録しておいてください」

 しかしかくたにグループも一歩も引かなかった。
 エムのガムテープ、天狗の鉛筆、あみの鋏、薫製サインペン、ディープなシャーペン、天使のくれたコンパス、足付きのノート、ゆみの手鏡、ウールのボールペン……。延々と予選は続くが、誰も勝ち負けをつける者がいなかった。運営に問題があったからだ。

「どちらが勝っても負けることになるのよ」
「そうです。こんなフェスはフェアじゃない!」

 カリスマ教師の声に、まるたにグループの一部から賛同の声が上がったが、審判は文具総とっかえのサインを出した。
 邪心を洗うインクが床に滲み出て、感性ばかり磨く消しゴムがその上を転がっていった。


【短歌】消える魔法

2020-08-24 03:33:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
肉体に1つの傷も残さずに自分を消せる夢入りツール

描き込む猫の時間に消えて行くなんて自分はちっぽけなもの

深海の浦島さんになりたくて世間を捨てて長編ダイブ

上達と浄化のために当たりたい壁をみつけて千本シュート

表層の自分を消して現れる君は私の本当の俺

打ち込んだPomeraの中に消えて行く自分のあとに生まれる世界

三間に振って消え行く観念と勝ち負けだけの狭い手さばき

解のないパズルを空に解き放ち旅立つ君の問題行動


生きた仮説

2020-08-24 02:36:00 | ナノノベル
「生きるということは、通りすがりの猫に竹輪をあげるようなものだ。出会うことは幸いかもしれない。でもそのあとは」
「そのあとは」
「君は猫の明日を知ることはない。猫は君の行方を知ることはないのだ」
「だから……」
「出会うが故に抱え込むものがあるということだ」

「わからない。どうして竹輪なの?」
「それは物の喩えじゃないか」
「喩え?」
「トータルで理解してほしい」
「どの道わからないな」

「わかったか」
「わかりません」
「わかったようだな」
「ちっともわかりません」
「ようやくわかったようだな」
「何もわかりません」

「それが正解だ」
「まさか?」
「そう。君はわからないということを理解したのさ」
「わからなくていいの」
「私の話はまだ仮説にすぎない」
「なんだ、それじゃあ……」
「私だってよくわかっておらんのさ」


起源司会

2020-08-24 02:07:00 | ナノノベル
「言い出しっぺは誰でしたか?」
「私です」
「そして、あなたからどこへ?」
「私から私の妹へ」
「私です」
「今度はあなたですか。あなたはあなたからどこへ?」
「私から私の親友へ」
「私です」
「あなたもですか?」
 我よ我よと皆が手を挙げる。

「私から私のわんちゃんへ」

「わかりました、もういいです。
不和とはエゴの競合にすぎなかったのですね。
みんな元は一人の自分から始まっている。
みんな同じじゃないですか。何も変わらない」

 出発点は自分を思うところからだった。
 それが身近な友へ、家族へと広がり、町へ地域へ国へ大陸へ、やがて星へと広がっていった。その間、複雑に絡み合った感情の糸がもつれて誤解が生じることが、あらゆる問題を引き起こしていたと結論づけられた。

「もう、争うことはやめましょうか」
 思い切った提案が示されたところで、宇宙細胞会議は一旦幕を閉じた。

お邪魔寿司

2020-08-24 01:41:00 | ナノノベル
ピンポーン♪

「はまち、いか、マグロ、それと赤出汁くださーい!」
「あいよー!」

 5分後。

「お待たせー」
 元気な声でおかみさんが膳を運んできてくれた。
「狭いですけど」(暑いですけど)
 玄関先にかけていただくお寿司はどれも絶品だ。
 ここは秘密の一軒家。
 暖簾を下げた大将が衰えを知らぬ手で握ってくれる。

「お邪魔しました!」(ごちそうさま)

エンドロール職人

2020-08-23 08:51:00 | 自分探しの迷子
 エンドロールに背中を押されて、僕はレーサーになった。密度の高い学習の成果ですぐに素晴らしいタイムを弾き出した。だが、世界は思うほど甘くはなかった。次々に新しい奴に追い抜かれていく。僕には基本がないことは明らかだった。

 エンドロールに押し出されて私はスパイになった。ハイテク機器と母譲りのとんちを駆使して各国の機密情報を持ち帰った。ほとんどのミッションは問題なくクリアできたが、希に正体がばれて命を狙われることもあった。やりがいのある仕事ではあったが、他人に話せないことが不満だった。長いレースだった。疾走する内に幾度もコースは延長され変更された。国境を越えることも珍しいことではなかった。

 レースの途中で紛争に巻き込まれてしばしば足止めを食うこともあった。車を降りて現地で暮らす中で僕は様々な言語を学んだ。文法はわからなくても話すことはできる。チームは常に流動的で各土地土地で出会いと別れを繰り返した。メンテナンスを繰り返しながら、リタイヤしないために車はより強い形であることが求められた。大きな波を前にした時には船となり、戦火に包まれた時には、翼を広げた。
 自分がレーサーであることを忘れた瞬間、僕は最もレーサーであったかもしれない。チームが空中分解した時、僕はハンドルを放しマラソンランナーになった。エンドロールに押し出されて俺は殺し屋になった。

 俺のターゲットは、錆びついた自尊心。卒業文集の通りには進まない。「若者の未来に悪影響を与えるから」俺のような極端な例を持ち出して、奴らは映画をやり玉に挙げる。だが、いったい何が職業選択に関与するだろう。何かは何かに影響する。それは避けようがないじゃないか。だったらみんな消し去るか。
 依頼者からメッセージが届く。俺は気を引き締める。今度のターゲットは執拗な先入観のマークだ。失敗は許されない。俺はこれで最後にするつもりだ。俺のようなベクトルを持って、海賊や大泥棒になった奴もいるだろう。だが、そんなのは一過性のブームみたいなものだ。ハロウィンの仮装みたいなものだ。翌朝には何もかも脱ぎ捨てられて正気に返る。それよりももっと深く胸の奥に刻まれるものがある。例えばそれは不屈の闘志、例えばそれは忘れ得ぬ友情だ。俺はこれからそんなスクリーンを生み出すつもりだ。

 騙したり騙されたりの繰り返し。裏切りの街に疲れてスパイを離れることになった私はしばらくの間、パティシエを目指して働いていたけれど、情熱が途切れた折りに帰国して寿司を握り出しました。
 醤油とマグロに馴染んでからはしばらく寿司職人を続けていたけれど、突然それもやめてしまいました。私はあまり魚が好きではなかったから。
 今は実家に帰って野鳥の撮影を中心に暮らしています。記録的なランナーになどなれなかった。自分の足で走っていくことにも限界を覚え始めた。

 エンドロールに押し出されるように僕はドライバーになった。だけど、もうレーサーじゃない。主に東から西へ魚を運んでいる。先のことはわからない。今はお気に入りのラジオを聴くのが楽しみだ。





マッチアップ、猫

2020-08-22 15:15:00 | 忘れものがかり
猫が歩き、止まり、隠れ、
にらみ、見上げ、ひっくり返り、
背を丸め、目を伏せ、尾を伸ばし、
揺らぎ、移ろい、思い上がり、
はしゃぎ、化けて、静まって、

ひと時の間
僕をかき回した

じゃあね

猫を置いて
猫の庭を離れた


「猫なんてどこにでもいる」
と思われるでしょうか

今日は 猫の詩が胸に沁みます


【短歌】チョコバット・キャンペーン(折句)

2020-08-22 14:55:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
ちょうどいい
輿を担いだ
8月に
ツノを伸ばした
友の中飛車


ちょうどいい
小島をみつけ
はなれたい
ツッコミのない
鳥の境地へ


ちょうどいい
恋がはじけた
バス停に
強がるタンク
トップの戦士


ちょうどいい
効果をうたう
馬鈴薯に
つかれてまわる
トップダンサー


ちょうどいい
小屋にこもった
旗揚げの
月は見えない
遠く見えない


ちょうどいい
コットンシャツを
羽織ったら
つべこべ言わず
飛べ! 海外へ


ちょうどいい
古書店前に
歯を出して
翼を閉じた
透明な傘