眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

狐の湯、竜の背

2021-07-10 20:28:00 | 短い話、短い歌
 一番風呂を頂こうとすると先に狐が入っていた。

「どこから入った?」
「遅かったな」
「勝手に入ったな!」

「自分が一番と思ったのだろう」
「そうだ」
「他にライバルはいないと思ったか。わしのようなものは完全にノーマークだったのだろう。思い上がりだな」

 確かに狐の言う通り、そうした部分もあっただろう。反省の意味も込めながら、私は狐の背を流した。

「将棋はどうじゃ、強くなったか?」
「えっ?」

「相変わらず三間飛車か。振り飛車は苦労が多かろうに」

「お、おじいさん?」
「相変わらず鈍いのー」

 見覚えのある竜が、背中で微笑んだ。



評価値は-200振り出した三間飛車はメルヘン・ライク
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする