「おやめ!」
争いはやめなよ。罵り合うって大人げない。もっと言えば人間的じゃない。だったら共存するなんてできないの。もう出てお行き! 月にでも火星にでもお行きなさい。できないって? 罵る時だけ威勢がよくて、謝るときには元気がないじゃないか。
「お取りよ!」
今2つ取るなら普段1つ取るよりもお得ときたもんなんだよ。だったら取らなきゃ損だろうがい。あんた何を暢気におとぼけてんだい。凹んでる暇があったらお取りったらお取り! だけどお下がり! お取りの方は他にもたくさんおいでなすってんだよ。おわかりかいこの世間知らずのお坊ちゃんが。お下がりったらお下がり!
もうよくわからないや。この人ずっと怒ってるのかな。何の落ち度があったと言うか。
頼りになる持ち物を探していたけど、それが何であったのか思い出せない。大事なのはそれ自身よりもそれに携わった人の魂、あるいはそれに刻まれた言葉の方かもしれない。
詩の終わりを伝えるのに、ある人はベルを鳴らした。またある人は3日置いた。僕はどうしたらよかっただろう。完とつけてみたものの、どうせすぐに始まって、それは世界を欺くも同然だった。そうか、その手があったんだ。だけど、知った瞬間、もう手を放れていった。
「お高くおとまりだよ」
時空の隙間に挟まったペンを救出するには猫の助けも必要だけど、日当50万そこらでも動きやしない。腐るほどぼったくらせてやってるのに、これじゃ全く埒が明かないや。こうなったら特等席にでも招いて極上のゲームを見せながらミルクでも振る舞いましょうか。ああ、だけど自分だけの力じゃね。
「お困りかい?」
アイデアが尽きたらおやすみよ。少し休んで英気を養うようにするといい。おおよそのことはそれで上手くいくんだから。お前さんおやすみよ。おっかない夢なんか見るんじゃないよ。やさしいものに包まれてお調子者になりなさい。おっ始めるのはそれからのこと。ゆっくりとお大事に。そうそう、今度はお薬手帳も持っておいでね。
(おしまい)
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お取り寄せグルメに紛れ旅をするひんやり君は夏の幽霊