春になって、近所の街路樹や近隣の工場の庭では、ハクモクレンが咲き、桜が咲き、ハナミズキが咲き、
サツキが咲き、花は咲いては散り、次の花に移り、今は、緑の季節になった。
暑い日があったと思うと、肌寒い日があり、ＧＷに帯広では雪が積もり、今日、宮崎では３０度を超えた。
子供のころは、夏が今より暑くなかった気がする。
子供時代は東京で育った。
泳げないのに、夏休みはプールに行きたい。
気温が３０度を超えないと水泳に行ってはいけない、と言われていて、ひなたに置いた寒暖計が
３０度を超えたとき、「超えたよ～」と言って、プールに行った。
大人がついていないと、子供だけでプールに行かせてもらえなかった。
でも、クラスの友達どうしでプールに行くことになり、私は、母にうそをついて、東京オリンピックで
できた駒沢公園のプールに行った。
「○○さんの叔母さんがついていくから」
と言って。
冬は、今よりもっと寒かった。
今は、服が昔より安く良いものが手に入る。
子供の頃は着ている服も、今ほど暖かくなかった。
部屋も暖房がお粗末で寒かった。
学校の往復も寒くていやだった。
霜柱を踏みながら学校へ行った。
雨の日はびしょぬれになった。
寒い思いをしてやっと家に着いた後、母がどこかから帰ったのか、
「神田さんが足を真っ赤にして歩いていたわ、かわいそうに」
そんなことを言っていた。
神田さんというのは私と同学年の女の子だ。
私は、私も同じように寒くて冷たい思いをしてやっと帰ってきたのに、私のことは
さておいて、神田さんの心配をしていたことがいやだった。
「私も寒かったんだよ」
と、うまく説明できずに言ったことばにたいして、母は、
「神田さんはもっと遠くまで歩いて行かなきゃいけないのよ」
と言った。
神田さんより私をねぎらってほしかった。
うちの中は、祖母と母、母と父の間にけんかがあって、殺伐としていた。
子供の頃が今よりもっと寒かったという記憶は、家の中が「寒かった」印象とつながって
いるのかもしれない。
嫁姑の関係が、私は家の中がおかしいすべての悪の根源だと思った。
結婚相手には、お姑さんがいない人を選んだ。
お見合いや紹介をしてもらった方とご縁がなかったのは今思えば、幸いだった。
のちに、自分でお姑さんがいない人と出会えることができたからだ。
結婚のほかの条件より、何より優先した。
そして、私にとって、それは正解だったと思う。
人にどう思われようと、だ。
男性にはわからないだろうと思う。
そのように結婚相手を選ぶことが。
日本が超高齢社会になっていく少子化の原因は、夫婦がこどもを産まなくなったのではなく、
未婚率が高くなったことにあるという。
ひと組の夫婦は平均二人産んでいることは、あまり前と変わっていないのだそうだ。
結婚しない人が増えて、少子化になってきているのだ。
非正規の仕事では、結婚も難しいだろう。
結婚生活にはお金がかかる。
貯金をして何かあったときのために備えなければならないということもある。
友達にも、結婚していない人がいくらもいる。
良縁に恵まれないのだ。
きっかけもない。
婚活などといっているが、昔は携帯電話もなく、家の固定電話で連絡を取って、よく
結婚まで話が進むことができたものだ。
「合コン」など、学生が使うことばだった。
おとながそんなことばを使うのは、はばかられたものだ。
だが、ネットこそなかったが、結婚相談所はあったし、コンピュータでマッチングした
お見合い相手を紹介してくれる会社もあった。
婚期が遅い仲間が多かった。
遅いと言っても、私は３３歳で遅い結婚だと思っていたが、今の３３歳はテレビで見ていても
まだまだ若々しい。
時代が遅いと思わせたのだ。
別に結婚が遅くても、遅かったからこそ、出会えた人もいるわけで、悪いことばかりでも
ないと思う。
でも、相手がみつからないときの切実な気持ちはわかるのだ。
わかるうえで思うのは、ご縁がある人と結婚すればよいので、遅い早いではない。
結婚したいと思う人がいたら、女性でも、自分からプロポーズすればよいのだ。
結婚したいと思う人に出会ってないなら、出会うまで無理をすることはない。
好きな人と話してみたかったら、
「ごはん食べに行きませんか」
と、言えばよいのだ。
ちょっと唐突にここで終わる。
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