★ 宇治では珍しい雪景色。雪見障子があるのを思い出し、何年かぶりに開けて庭を望む。
★ そう言えばと清少納言の「枕草子」から「雪のいと高う降りたるを」を読んだ。
★ 「雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火おこして、物語などして集まりさぶらふに、
『少納言よ、香炉峰の雪いかならん』と仰せられるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑わせたまふ。
人々も、「さることは知り、歌などさへうたへど、思ひこそよらざれつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり」と言ふ。
★ 平安時代の京は寒かったであろう。重ね着をしているとはいえ、すけすけの住宅に炭櫃ぐらいしか暖房器具がない。炭櫃の周りに寄り集まって談話して寒さをしのいだのであろう。
★ そんな京に雪が降った。中宮は清少納言になぞかけをする。「香炉峰」とは白楽天(白居易)の詩に詠まれたもので、その詩に倣って清少納言は御簾を高く巻き上げた。この機転に中宮はたいそう満足された様子で、他の女官たちも賞賛の声を上げたというもの。
★ まぁ、ひねくれて見れば自画自賛のエピソードだが、情景が目に浮かぶようでいとをかし。
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