じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

野沢尚「破線のマリス」

2022-02-23 21:16:53 | Weblog
★ うちの塾はほぼ年中無休だが、祝日の出席者はさすがにまばらだ。空き時間を利用して、野沢尚さんの「破線のマリス」(講談社文庫)を読み切った。

★ 先日読んだ福井晴敏さんの「川の深さは」と1997年の第43回江戸川乱歩賞を争った作品。僅差で「破線のマリス」が受賞したという。

★ 「マリス」とは悪意と言う意味らしい。舞台はテレビ業界。人々の暮らしを一変したテレビ。1990年代になるとBS、CSといった衛星放送も登場し多チャンネル時代が到来した。地上波も変革期を迎えようとしていた。

★ キー局の人気報道番組、その人気コーナーが「事件検証」だ。人々が関心を持ったニュースを新たな視点と大胆な仮説で洗い直すことで高い視聴率を得ていた。その映像編集を担当する遠藤瑤子が主人公。映像編集は裏方の技術屋といったイメージだが、画を重んじるテレビ界ではなくてはならない存在。遠藤の大胆な編集は業界でも評価されていた。

★ そんな彼女の自宅に、郵政省の職員を名乗る男から電話がかかってくる、内部告発したいことがあるので、極秘で会いたいという。躊躇しつつも彼女は男と会うことにした。そして事件に巻き込まれることに。

★ テレビ業界のこと、業界と役所(当時は郵政省)との関係がよくわかった。

★ この作品は2000年に、黒木瞳さん主演で映画化されている。映画を観て、作品のこの部分がこういう風に映像化されるのかと参考になった。遠藤瑤子役、今なら米倉涼子さんが良い感じだろうなぁ。

★ 作品が発表されて20年。ネットが広がり、テレビ界も今や斜陽化の様相だ。
コメント    この記事についてブログを書く
« 有栖川有栖「アポロンのナイフ」 | トップ | 森村誠一「単位の情熱」 »

コメントを投稿