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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

AIと仕事

2016-05-09 08:21:49 | 日記
 コンピュータソフトウェアの開発現場でこの30年ほど働いて来たのだが、紺屋の白袴よろしく、この世界ぐらいコンピュータ化されない世界はない。ほぼすべての「もの作り」は人の手で行われている。
 
 お客様のご要望を聞き、議事録を作り、お客様イメージに近い簡易版を作り、設計書を書き、お客様の要望にかなうシステム技術を持っている技術者を集めてチームをうまく立ち上げ、プログラムを作って様々なテストを繰り返し、お客様に使い方を説明したり説明用マニュアルを作ったり、過去からずっと引き継がれたお客様の古いデータを移行したり、時には開発チームで飲んだくれたり、予算のやりくりをしたり、そんなことがほぼすべて自動化できずに人の手で行われているのだ。
 
 しかもお客様の要望は時間とともに変化する。ビル建築などであれば、出来上がったビルを壊して新しい形の窓を取り付けたいという要望は、実物のビルを見上げてしまってはなかなか出にくい。ところがソフトウェア開発の世界では、それがよくある。一度直した窓の形を元に戻そうという話しが出たり、やっぱり別のものにしようなどというやりとりが実によく行われる。そのたびに大勢のエンジニアが大騒ぎして残業したり徹夜したりして、やはり丁寧に手作りして直して行くのである。
 
 たまにテストを自動化する話なども出て来るが、自動化するためのテストプログラムやらスクリプトやらをまた膨大な量書かなければならない。一度苦労してしまえば後が楽だから、という理論に押されてやっとのことテスト自動化プログラムを完成させる頃には新しい要望が出て来て変更か発生し、テスト対象物が変更されてしまうために膨大なテストプログラムを一から見直さなければならない羽目になる。遠くにあるゴールはいつまでたっても近くならない。
 
 AIが進化すると人間の仕事が奪われる、という話しがある。確かに危機感はある。しかしソフトウェア開発の現場にまともに使えるAIが入り込んで来てくれたら、それはそれでありがたいことではないか。これまで様々なソフトウェア開発ツールが登場したが、ツールの導入によって生産性が倍増し、そこで働く技術者が楽になって残業しなくても良くなった、という話しを聞いたことが無い。技術者の仕事を技術者並みに代行してくれるAIが現れれば仕事もずいぶん捗るだろう。
 
 だがAIは稼働させると金がかかるという理由で残業しないかもしれない。定時になると雲の上にさっと帰ってしまう。彼らがやり残した設計書通りの動かないシステムに魂を入れる仕事はやはり夜ごと人間の技術者がぼやきながらやらないといけないかもしれず、構図は今とあまり変わらないかもしれない。ただ人手不足解消の選択肢は増える。オフショアのアジアの方々に頼るか、AIに頼るか。結果的に安くて品質の良いものを作ってくれたところを選ぶことになるだろう。
 
 結局問題はお客様要望をいかに正確に理解するか、ということになる。単に今現在のご要望に応えるだけではほとんど意味をなさない。システムが出来上がった頃にはそれは過去のご要望になっているからだ。お客様の今のご要望にこたえつつ技術の現在も理解しながら、少し先から遠い先に至るまで、常にお客様のその時に応えるシステムを設計したい。そんなことも含めてAIがやれるようになってしまうかもしれない未来もいずれやってくるだろうが、今はまだまだ先の話と考えておこう。(三)
 

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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