経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

淡々型のお店にたじたじの筆者が持論を小声で

2006年04月16日 | Weblog
 「無理して商圏を広げてもリピート率が落ちる。美味しければクチコミでお客は自然に増えます。あとは半径500m内のお客さまに繰り返しきて戴ければよいのです」
 チラシは開店周年記念日の時だけ。宣伝して売っても一人のお客さんが余計食べるわけではないし買い置きもできない。だから売り込むやり方はやらない。1店舗6千万売り、余力ができたら、またその規模の商圏に店を出す。そして500m範囲のお客さんに合わせて商品を作り売る。これが店主があかる店のあり方。こうした話をきくと、「当店の基本戦略」などと言った言葉を使う、自分が恥ずかしくなる。

 一括して作ったものをアイテムの加減と品揃え数で店ごと商圏差異を調整していくビッグのやり方に対して、各店でお客にジャストミートする商品を作る当店の戦略とではどちらに地域消費者は軍配をあげるだろうか。そして製造から時間を経た商品と出来立てほやほや商品とではどちらをお客は可愛がるだろうか。
 
 以上、なんと呼ぼう。共生志向?、地域密着?、淡々型とでみ言うかの経営者に共通する要素は次のようになろう。
 ①経営者の関心が同業者や大型店との競争ではなくお客にある。お客の関心は、お客自身にあることに気づき、全ての発想をお客への個別的関心とその対応へ集中している。
 ②よいことはすぐ実行するという素直さ
と行動力がある。また次々とわくアイデアを無造作に実行しているように見えるが、人間としての優しさと商人としてのしたたかさ(科学的計算性)の両方に裏打ちされているから大きな失敗がない。それに継続性がある。
 ③商品や人的サービス等の差別化により
一定の顧客を固定化し、その顧客によって店の評判が他のお客にクチコミによって伝わる、という善循環システムを戦略としている。

 いつも自問自答していることだが、小さい店は大きくなることが目的であろうか。小は小のままでその存在価値を見出す。すなわち大と小の対比ではなく、また大を否定するのも小を否定するのでもなく、大は大なりの、そして小は小なりの社会的使命を果し得るところにも大きな意義があると私は考える。
 
 大と小は社会というシステムを構築する上でのそれぞれの機能分担の関係であり、それを果たすことにお互いの存在価値があるというのが、私の持論である。
 今、お客の生活をハッピーにするという商業活動の命題に対する機能分担を、小は小として果たすことが個々それぞれの店の責任として求められているのではなかろうか。