経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

本屋にて

2005年03月17日 | Weblog
 久しぶりに、本屋で1時間ぐらい楽しんだ。立ち読みのためでもない。買うためでもない。
どんなタイトルが多いか。どんなジャルに、消費者が興味を示しているか。さらに自分の足と目が何に惹かれるか、といったことを感じて、楽しんだ。

 本を大きく分けてみた。1は、即効タイプ、2は未来永劫型。
なんと成功に関する部類まで前者なのだ。

 次にまた2つに分けてみた。1は手直し、あやかり、手軽。2は、根こそぎ変える体質転換型。
なんと1の前者が、ほとんどなのだ。

  私の関心は、企業の増収増益の体質構造づくりにある。ここで言う構造とは「永続的に増収増益を生み出すもの」と理解して頂きたい。だから一過性の増収増益には、あまり関心がない。しかしほとんどの経営者は、「先のことより、この今」と、即効性を求める。そうした彼らには私は不評で不親切である。だから私ではなく、他の方へということになる。

 それで最近は起業・創業には大いに力を入れている。なぜかといえば、当然のことだが、最初に増収増益の構造を組み込んでおけば、その事業は増収増益の途を歩まざるをえないからである。これが私の理想。つまり、この時代は手直し、修正、やり方を変える、といったことでは対応できないのです。スイッチにはオンとオフがある。オフをいく押し直そうと電気は入らない。ことは簡単だ。オンを押せばいいのである。石油を濾して水にする苦労など必要ないのである。水を得ればいいのである。映画「キャストアウエイ」の主人公みたいに、木と木をこすり併せて火をおこすことは、まず不要なのだ。将棋のソフトを囲碁のソフトに作り替える必要はないのだ。
 同様、「繁栄しない」液体の入ったカセットを、「繁栄する」液体の入ったカセットに入れ替えればいい。

既存企業が、一過性の売上げや利益を求めて、散々カンフル注射や精力剤を打ち込み、荒れた体質を持っている既存企業を未来営業的な増収増益に持っていくことは、手直しでは実に難しい。
 それに一過性なるものは、いわば30分テープ。これをエンドレステープ、すなわち永劫的な繁栄へ改善などでは得られない。

 このことはみな承知はしているものの、それを「やらないこと、止めること」を恐れる。 そして絶え間なく一過性的なるものを打ち続けることで、死期を早めている。
            
 販売促進に関する理論書、実務書はかなり出回っている。ところが理論書は、高邁な理論、実務書は他一過性的、即効的ノウハウ書に過ぎない。しかもほとんどが、いかにして売り上げるか、という作り手・売り手側に立ったものである。

 売上げは、お客が買ってナンボ。買っていただけるには、という本来の立場と視点が欠如しているのである。

 この向こう岸のお客から、こちらを考えるということは、改善ではない。改革ではない。手直しではない。プランーヅーシーではない。向こう岸へ立つという、敵が味方に、味方が敵に変わるような一種の革命なのである。

 既存を維持するのなら、何も既存を維持しているそうした本を買って学ぶことはあるまい。
 人は新しいことを求めている。刺激を求めている。それを充足する場とモノがない。

 ブックセンターの台頭を契機として、本屋は画一化され、その刺激を消費者に提供するという機能を失った、典型的事例であろう。