ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.7.2 旅行2日目、役者気分のまま785段制覇、そして坊ちゃんの街へ

2016-07-02 22:47:06 | 
 昨夜はブログ記事をアップした後、しつこく二度目の入浴。夫は暑い中歩き回った結果、疲労困憊と見えて実に不愛想なままさっさと寝てしまった。大浴場はまたしてもほぼ貸し切り。露天風呂がライトアップされていて薔薇風呂が素敵だった。

 そして、今朝。目覚めた時間はまだ朝風呂にも早過ぎて、二度寝。せっかくだから、ともう一度三回目の大浴場へ。今回は結構混んでいて、気づけば中国語が飛び交っている。それにしてもどこへ行っても中国旅行客に会わないことはない。凄いパワーである。早々に退散して朝食レストランへ。

 和洋折衷、郷土料理に朝からうどんまで(結局、昨日のお昼、昨夜の夕食に続き3回連続!)頂き、すっかり満腹。チェックアウトを済ませ荷物を預けて、まずはホテルに近い金毘羅大芝居を目指す。それにしても朝から強烈な日差しだ。今日の県内の予想最高気温は33度という。
 
 金毘羅大芝居は天保6年(1835年)建立の日本最古の芝居小屋だ。江戸時代中頃から金毘羅信仰が全国的に高まったことで定小屋として建てられたという。明治33年以来「金丸座」の愛称で親しまれ、昭和45年に国重要文化財に指定。その後4年間をかけて昭和51年に移築復元された後、昭和60年からは「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の開催が続いている。四国に春を告げる風物詩となっているそうだ。

 さて、腰を折りながら鼠木戸から入場すると、案内の男性が迎えてくださる。「ご希望があれば15分ほどで案内が出来ます、あとはご自由に見学を」とおっしゃるので、お願いすることにした。ここもまた客人は私たち二人。収容人員740名というが、役者になった気分で鳥屋の暖簾をくぐって花道を出ていくと、それはこじんまりした実に臨場感溢れる舞台である。

 花道と桟敷席がとても近いので、お客さんが役者さんにごくごく接近して手を触れることが出来るそう。回り舞台、空井戸、明かり窓などの説明を丁寧にして頂き、実際に桟敷席に座って写真も撮ってもう大興奮。冷暖房設備はないということで、可愛らしい鶴のマークの団扇をもって説明に聞き入る。

 楽屋では、江戸時代の身長に合わせて天井が低くかつ階段が急なので、頭をぶつけないように、こけないように、と大変だった。地下の奈落に降りてみると、天然の冷房でとても涼しい。今なおすべて人力で廻り舞台を回転させる仕掛けも大した技術である。舞台からの眺めもこれまた格別。

 毎年4月の講演はなかなかチケットが取れないというが、さもありなんである。平成9年には、皇太子ご夫妻が行啓されたというロイヤルボックス席にも座らせて頂き、すっかり満喫した。結局、1時間ほど過ごしただろうか。来てよかったね~と夫と言い合う。入口には4月の興行に出演された役者さんたちの直筆の札も飾ってあり、それぞれなかなか達筆でびっくりする。

 すっかり気をよくして、さて、金比羅宮参りに出発、である。あまりの暑さにホテルで杖と麦わら帽子、汗拭きタオルをお借りして、いざ出発。実際、この3点セットがなければ途中でUターンだっただろう。庶民信仰の聖地、“こんぴらさん”は785段の石段、おそらく途中で音をあげて引き返すのだろうなと思いきや、石段駕籠のお世話になることもなく、足取り軽く(途中から若干青息吐息ではあったが・・)登り切ることが出来た。

 汗が噴き出してだんだん膝がきつくなってくる。けれど、ここまで来たらもう引き返せない、という感じ。お土産物屋が軒を連ねる表参道を歩き、駕籠もここまでという大門で、五人百姓が扇の形を模った加美代飴(べっこう飴)を売る姿を横目に見ながら、宝物館を抜け、神馬舎、書院にも見向きもせず、ひたすら階段をもくもくと登る。

 洒落たカフェ・レストランを目にして「お茶でもしようか・・・」と言う夫に「帰りまで我慢我慢!」と叱咤激励して歩を進める。ようやく旭社まで到着。汗をふきふき水分補給。ここは森の石松が御本宮と間違えて刀を奉納して帰ったところだという。もうひと踏ん張り、と御本宮を目指す。ここからの急な石段はとてもきつかったが、見事無事到着。もう感激である。よくも登ってくることが出来た。海抜251メートル、見晴らしは素晴らしい。

 讃岐富士がそびえ、緑豊かな讃岐平野が広がっている。さすがに奥社までは行こうなどとは言わず、まずはお参り。カラカラののどを潤した後、幸せの黄色いお守りや笑顔元気守りをゲットして下向道へ。帰途は、夫が往路に我慢させられた生姜の利いた冷やし甘酒で生気を取り戻し、加美代飴も購入。無事下界まで戻ってきた。香川の名酒「金陵」の製造元の資料館も覗いた後は、和三盆のソフトクリームや焼き菓子とお茶でほっと一息。ホテルに戻って態勢を立て直し、JRの駅まで送って頂いた。

 琴平駅は三角屋根の洒落た作りでちょっと国立駅に似ている。お昼ご飯を買い込み、特急券等も買い求める。アンパンマンのスタンプラリーをやっているそうで、息子が好きだったね、と話しているとご親切にもラリー帳をくださる。早速スタンプ。若干遅れていた特急南風号(鉄男だった息子は小さい時に「なんぷう」と発音が出来なくて、「な、ぷー」と言っていたのも懐かしい思い出だ。)に乗って多度津まで。

 乗換駅の多度津では新しいアンパンマン号が停車中で、思わず写真を撮って息子に送付。ここで特急しおかぜに乗り換えて、終点松山まで2時間ほどの列車の旅である。最近すっかり東海道新幹線ばかり乗っているので、在来線特急はいかにも旅に出ている感じがしてとても新鮮だ。右手に瀬戸内海の海を見ながら、遅いお昼。お腹がいっぱいになったら、瞼はさがりすっかり眠りこけてしまった。
 
 予定より15分ほど遅れて松山到着。ここも暑い。34度だという。早速市電の1日乗車券をゲットして、まずはホテルのある繁華街まで。県庁の建物もとても素敵だ。山の上には松山城。初めてやってきた坊ちゃんの街はとても賑やか。ホテルでチェックインの後、態勢を立て直して、繁華街を散策。夜市の最中で、びっくりするほどの人出である。今朝までの静かな香川県とは打って変わって、愛媛パワー恐るべし、といった感じ。
 一日乗車券のお楽しみプレゼントになっている松山市駅前の観覧車くるりんに乗車。冷房が効いた個室で空から松山市内を見下ろすことが出来ていい気分。松山城ライトアップも始まっている。

 今度は市電の終点、道後温泉まで移動。駅舎も明治レトロ調ですっかり坊ちゃんワールドに。ハイカラ通りを散策しながら、ミーハー丸出しで夫は坊ちゃんの、私はマドンナの衣装をレンタルしてそぞろ歩き。恥ずかしいけれど、テンションはアップ。辺りは既に真っ暗だけれど、旅行客や地元の方たちでとても賑やか。
 お風呂に入る前には名物一六タルトとゆずジュースでほっと一息。さて、記念写真も撮ってレンタル衣装を脱いで身軽になって、いざ入浴せんと窓口に行ったものの、土曜の夜で個室はすべて満員御礼。入浴のみならどうぞ、と言われたけれど何の支度もしてきていない。残念ながら明日リベンジすることにして再び繁華街まで戻り、夫の趣味でなぜか久留米ラーメンを夕食にしてホテルに戻ってきた。

 朝から晩までよくもここまで動き回って我ながら元気なことである。明日はホテル近辺の観光スポットを散策の後、リベンジ道後温泉で汗を流して帰京の予定である。
 
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2016.7.1 文月スタート、30数年ぶりの地で鯛、松、薔薇に癒される

2016-07-01 23:20:51 | 
 今日から7月。早いもので今年も折り返し地点である。先週の土曜日出勤の代休を頂いた。黙って家にいるのももったいないといういつもの癖で、当初は阿蘇、別府の温泉巡りの旅を予約していた。ところが、その後すぐの熊本地震。ツアーキャンセルにならなければ、応援の意味も込めて中止にはしたくないと思っていたのだけれど、残念ながら催行中止となってしまった。
 そこで諦めないのが、私たち。夫と息子は10年前に男二人旅で訪れたけれど、私はお留守番だった四国の旅を計画することになった。

 最寄駅からリムジンバスで空港へ。渋滞もなく予定通りに空港到着。スムーズにチェックインした後はラウンジで一服。定刻の離陸とあいなった。1時間ほどのフライトではお天気が良く、下界がよく見えること。無事予定通りに着陸し、リムジンバスで高松駅に向かった。終点まで小一時間乗ったのは私たち夫婦2人だけ。予報通りの晴天である。かなり蒸し暑い。既に30度はありそうだ。

 高松は父の生まれ故郷である。今を溯る30数年前、大学の友人と2人で、宇高連絡船で生まれて初めて降り立った四国の地。その時、連絡船で頂いた讃岐うどんの美味だったこと。本当に何も入っていない(父はこれを“素うどん”と呼ぶ)温かいシンプルなかけうどん。それはつるつるしこしこ、お出汁が効いていてお腹に染み渡る美味しさだった。

 瀬戸内海で育った父は、東京の魚も濃い口醤油の真っ茶色な汁のうどんも、最初はとても食べられなかったそうで、東京育ちの母は随分苦労したようだったが、いつの間にかそんなことも言わなくなった。

 駅周辺はすっかり再開発されて、モダンな駅舎やホテルが立ち並んでいて驚いた。駅ナカを見学しているうちに腹時計が鳴る。ちょうどお昼。朝が早かったのでお腹もペコペコ。
 地元のビジネスマンらしき人たちが列をなしている、駅前のうどん屋さんに入った。スダチをぎゅっと絞って大根おろし、青ネギと生姜のトッピング。それだけのおうどんが実に美味しい。地元の方たちも思い思いに好みのランチタイムだ。お腹一杯になって元気になったところで、街歩き開始。

 立派なアーケード街を、お店を冷やかしながらブラブラ。平日だからか、セール初日の看板が目立つが人通りはそれほどでもない。東京では銀座にあたるのだろうか。百貨店やブランドショップが軒を連ねている。いつもお世話になっている紅茶専門店を見つける。香川県限定の青蜜柑の爽やかな紅茶「空と海と」というネーミングのものを試飲してゲット。ちょっと歩くだけで汗が滲んでくる。カフェでお茶をして涼み、百貨店でも小休止。エントランスでは七夕飾りの短冊に願い事を書いてきた。

 続いて史跡高松城跡である玉藻公園へ。暑さのせいか、平日のせいか、殆ど園内は誰もいない貸し切り状態。旭橋を渡り、旭門から入る。重要文化財指定の艮(うしとら)櫓を望み、園内へ。さすがに高松というだけあって公園内は松の木で溢れている。砂利道を通り抜けると桜の馬場。桜の季節はどれ程お花見の名所だろうと思う。と、そこには「お城内ヨガ」ののぼりとマットが。
 毎週金曜日の早朝“朝日を浴びて深呼吸、お城ヨガで始まる新しい週末”というイベントの名残である。どなたもいないことをいいことに、ずうずうしくポーズをとって記念撮影。さすがにじりじりとした暑さで長く続けることは出来ず退散。陳列館や披雲閣を見学し、さてもうすぐ出口というところで、「城舟体験」というのぼりを見つける。

 船頭さんがお二人、「どうぞ、今ならすぐ乗れますよ」とおっしゃる。見れば5分ほどで次の便が出るという。チラシによれば“天守台の迫力と真鯛とのふれあい、和船「玉藻丸」で楽しむ30分のタイムトラベル”というキャッチフレーズ。では、とお願いしてチケットを頂くと、乗船記念の缶バッジまでついてくる。さらには傘を被って法被まで着せて頂けるという。

 舟は5人乗り、1日15便しかないので、最大でも75人しか乗れないそうだ。土日は数時間待ちもざらとか。それを私たち2人が貸し切りという贅沢さ。船頭さんもノリノリで親切この上ない。鯛の餌もついてきて、ちょっと撒けばとんでもない数の黒鯛、真鯛が姿を現す。これは楽しい。思いもかけず大満足の体験だ。舟から鯛に餌をあげることができるのは、千葉の鯛の浦とここ玉藻公園のお濠だけだという。鯛の浦は半世紀前の子供の頃、家族旅行で行ったことがある。あまりに沢山の鯛がやってきて怖かったっけ・・・と懐かしく思い出す。鯛の歯はとてもきついので、餌をあげる時に近づきすぎて手を噛まれて大けがをした方もいたらしい。

 そして、もう一つラッキーだったのは、白蛇を拝めたこと。お濠の石垣から出てきたと思ったら、いきなり水の中をスイスイと泳いでいるではないか。船頭さんも「こんなのは珍しい、きっといいことがありますよ」と嬉しいことを言ってくださる。いや~凄い体験をした。きっといいことがある、信じたいと思う。

 公園を出てすぐの高松築港から、ベージュと黄色のツートンカラーの2両編成の琴平電鉄(琴電)に乗り込んで、特別名勝・栗林公園まで。こちらにも30数年前に友人と訪れているのだけれど、赤い太鼓橋で写真を撮ったこと以外殆ど記憶はない。
 園内は一千本もの様々な種類の松の緑で溢れている。緑深い紫雲山を背景に、6つの池と13の築山を巧みに配した、400年近い歴史を誇る江戸初期の回遊式大名庭園である。ちょうど園内の松は剪定中で、沢山の職人さんがハサミと梯子を片手にお仕事中。石段を登り芙蓉峰から見降ろした朱色の梅林橋の美しさは、それは素晴らしかった。

 暑さの中、延々とお散歩したので園内に設置された香川県のアンテナショップで一休み。小原紅早生みかんのジュースが乾いた喉に染み入る美味しさ。冷房の効いた店内で再び英気を養って、琴電で終点まで。小一時間の電車の旅である。これが揺れること揺れること。ウトウトすると椅子から落ちそうになって目が覚めるといった次第。緑濃い可愛らしい山々と溜池と田園風景を楽しみながら琴電琴平駅に到着。

 ホテルに電話をしてお迎えに来て頂く。ロビーでチェックインして冷たいお茶と和三盆のお菓子を頂き、ほっと一息。夕食前には自慢の温泉へレッツゴー。大浴場で歩き疲れた足を思いっきり伸ばすこの贅沢な金曜日。生きていてよかったと思う瞬間である。女性用の露天風呂には数えきれないほど沢山の薔薇の花が浮かんでいる。3つのお風呂、すべて貸し切り状態。サウナで汗を絞って出てくると、数人の方たちが入ってきて貸し切りは終了。それでも3つのお風呂に2回ずつ入って、お風呂から出て体重を計ったら普段より2キロも減っていてちょっとびっくり。マッサージチェアでだらりとして、夕食に向かった。

 暑さと、早起きの寝不足と歩き疲れで、それほどお腹がすいていないなあと思ったけれど、あれこれ趣向を凝らした懐石料理に思わず舌鼓。桜をモチーフにしたお料理や器を愛でつつ、お腹がはち切れそうになるまで頂いて、余は満足じゃ状態でレストランを後にした。

 夫はもうお風呂は十分入りましたから、ということで、せっかく頂いた別棟の湯めぐり券は無駄にしそう。せめて明日の朝、一人だけでも朝風呂を楽しんでおきたいと思う私である。
明日は金比羅様をお参りした後、隣の県へ移動して、再び温泉三昧の予定である。





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